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廻る乖離転生  作者: 朔
第六章 第一次魔王討伐編
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第八十四話 カゲインの過去(2)

 女の子が泣き終えると二人は身を寄せあいお互いの体温でお互いを暖めあった。


「君はどうしてここに?」

「たまたま馬車が魔獣の群れに襲われて・・・・・私だけでも逃げろってお母様が・・・・・」


 女の子は少しまた泣き掛けるが今度はなんとか押さえる。

まだ母親が死んだとは限らないのだから。

そんな女の子の様子を見ながらも智は疑問に思っていた。


「魔獣?」

「モンスターのことです」

「そんな呼び方もあるんですね」

「うん・・・・・ところで貴方はどうしてここに?」


分かっていないことなのでリユイも耳を傾けた。


「狩りに来ていたんだけど突然強いモンスターに襲われてしまい、一緒に狩りに来ていた人が僕を助けてくれたんだけどそのせいで死んでしまい・・・・・僕は走って逃げているうちに迷子になってしまいました」


 リユイは自分の推理が間違っていなかったことが分かり、そしてなんとも言えない気持ちにもなった。

幼い子供の目の前で人が死ぬなんて、と。


「じゃあ、私達二人とも迷子だですね」

「うん、そうですね」

「・・・・・」

「・・・・・」


 二人は黙り混む。

そうしている間にお互いに涙が出てくる。

まだ二人とも幼い子供だ。

仕方ないだろう。

だが智はなにか話をして女の子を安心させようと思うが何を言おうか思い浮かばず言いかけては止めるという動作を繰り返していた。


「そう言えば」


 そこに突然女の子が口を開いた。

智は少し驚き体をびくつかせる。


「貴方のお名前をお聞かせ願いますか」


 智は少し躊躇うが話しだす。


「僕の名前は影中かげなか さとしと言います。えっと・・・・・カゲインって呼んでください」


(カゲイン・・・・・なんでそう呼んでと言うんだ?)

《それについての記憶を再生します》



 瞬間場面は小学校になる。

一年生の教室のど真ん中にリユイは突っ立っている。


(机とか椅子とか凄く小さいな・・・・・)


昔を思い出しリユイは昔を懐かしむ・・・・・がいじめの事を思い出してしまい嫌な思いが込み上がってきたので急いで回想を止めた。


「ねえ、カゲナカ君」


番号順に座っている小学生達の中で影中は速い方である。

それゆえに智は教室の右端の後ろの席に座っていた。

そして今、智の前の生徒が智に話しかけている。

リユイは二人に近づき話を聞く。


「何?」

「俺ちょっと英語勉強したんだけどさ、中ってインって言うんだって」

「イン? inだろ?」

「うわっ、発音良すぎだろ。ってそうじゃなくて。インって言うじゃん。だからお前のあだ名はカゲインってのはどうだろうかと思ってね」

「お前・・・・・あれからずっと考えてくれていたの?」

「え、当たり前じゃん! 俺達トモダチ、だろ?」


 智の友達が智の肩をバシバシと叩きながらそう言う。

智は少し感激したような眼差しで智の友達をしばらく見つめるが流石にずっと叩かれていつのは鬱陶しかったのだろう、バシバシと叩く智の友達の手を掴み止めさせた。


(あれから、って何だろう?)

《それについての記憶をさいせ――》

(いや、別にいい)

《・・・・・分かりました》


「てかさ」


そこで智が話始める。


「それ言うんだったらin the Shadowだろ」

「え、なんて?」

「いや、なんでもない」

「えーなんだよ教えてくれよー」

「うっさい、もっと英語勉強しろ」

「お前小学一年生にそんな事言うなよー」

(おい、もうこれいいだろ。速く戻してくれ)

《了解》


二人にやり取りに痺れを切らしたリユイは世界説明に命令する。



世界説明は言われた通り場面を智と女の子のところへ戻す。


「? カゲイン・・・・・さん、ですね。えっと、私は――姫と言います」

(え?)


瞬間、リユイの頭は真っ白になった。

二人の話し声が聞こえてくるなかリユイは一人フリーズする。

しばらくしてからリユイやっと我に返えった。


(まだこの姫がカゲインとどう関わってくるか分からない内はあまり推測しないほうがいいな)



 二人は夜の草原の中お互いを励ますようにずっと喋っていた。

その中でお互いが夢を語りだした。

それを聞いてリユイは二人がどうなりたいかを知った。

姫は姫という身分を捨て自由に暮らしたい。

カゲインは拘束された生活ではなく自分の意志で自由に生きたい。

そう二人は語った。

似たよう夢を持つ二人は意気投合し、お互い大人になったら自分達を縛り付ける大人たちから逃げ一緒に自由に生きていこうと言うことになった。


「その時が来たら僕が君を城から助け出すよ」

「うん」


  二人は夜の寒さで頬を赤らめながら話を続ける。


「眠いな」

「寝てていいよ。僕が見張っているから」

「う・・・・・ん」


 姫は何とか頷くとそのままカゲインの肩に頭を預けると眠ってしまった。


「よし、行くか」

カゲインは姫を背中に背負って歩きだした。

リユイはその後についていくのだった。



 そして日が明け始めた頃。

とうとうカゲインは町についた。

町の入り口ではどうやら兵士たちが姫の捜索を開始しようとしていた。


「あの」


兵士の一人にそう智が話しかけるが聞こえていないようすだ。


「あの!!」


先程よりも大きな声を出しやっと兵士が気づき、そして驚く。

姫がいたからである。


「ひ、姫様!!」


兵士達はカゲインの背中から姫を引ったくると安否を確認し安堵する。

そのせいで姫は目を覚ました。


「あ、あれ? カゲインは?」

「カゲイン? もしかして姫様を送り届けて下さったあの少年――」


姫を抱き上げた兵士はカゲインを探すが既に居なかった。

リユイも慌ててカゲインを探す。

そして見つけた。

数人の大人に連れていかれているカゲインが。



また場面は変わる。

カゲインは前と同じ部屋にいたがドアには鍵がかかっていた。

稽古も中庭ではなく地下室で行った。

カゲインは前よりも厳重に縛り付けられるようになったのだろうとリユイは考えた。


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