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廻る乖離転生  作者: 朔
第六章 第一次魔王討伐編
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第八十一話 『俺』と『二人目』と『僕』

 その頃国では・・・・・

緊急会議が開かれていた。

出席者はオイト、サラ、ユミ、カエデ、ホムラ、シズク、ヒトミ、チビドラ。

それ以外の者は既に避難を開始している。


「それではリユイが不在のため私がリユイの代わりに命令を行います」

「リユイ様帰ってきたんじゃないんですか?それにアレン様は?」


 ヒトミがユミの言葉に質問する。


「確かにリユイは一旦帰たけど魔王の元へ行ったわ。アレンはリユイの元へ向かったわ」

「え? それじゃあリユイ様と共に戦わなくてはいけない感じです!」

「駄目です。今はリユイよりも国民のため防衛戦の準備を――」


 次の瞬間、ヒトミは思いっきり立ち上がった。

それによりヒトミが座っていた椅子が転がる。


「何でリユイ様の応戦に行かないのですか? 先程からユミ様はリユイ様が魔王に勝たない前提で話をしているのはなぜですか?」


 その言葉にユミは俯く。

だが歯を食いしばると顔を上げ言った。


「リユイでは魔王に勝てない。私達が今やるべきことは国民の安全を考えることよ」

「な、何でそんなことを言えるの? 私はリユイ様の所に行くかもなの」


ユミの言葉にシズクは反発する。

オイト、サラ、カエデ、ホムラ、シズク、チビドラも皆訝しい顔でユミを見る。


「そう、なら勝手にするといいわ。そのかわり隊長の任は辞めてもらうことになるけど」

「分かりました。では私達は行かせてもらう感じですが本当にいいんですね?」

「ええ。じゃあ行くものは今すぐ部屋から出ていって」


 その言葉にヒトミ、シズク、ホムラ、カエデ、チビドラは部屋から出ていった。

ユミはその様子を無表情に眺めていた。

そして全員が部屋から出ていくと残ったオイト、サラはユミを見つめる。


「そ、それじゃあ――」

「流石にこの人数では厳しいんじゃないですか? ユミさん」


 そう言ったのはオイトだった。

オイトはそっとユミに近寄り俯くユミの肩に触れた。

オイトに言われた言葉が胸に刺さりユミはそれ以上話を進めることは出来なかった。

サラが立ち上がりユミのことを優しく抱きしめる。


「ユミさん。話を聞かせてくれませんか?」


 歯を食いしばっているユミにサラがそう優しく問いかける。

その言葉を聞いた瞬間、ユミの中にある気持ちは溢れ出した。


「私だってリユイを信じたいよ! でも、でもリユイが魔王を殺しちゃったら、リユイは今までのリユイにではなくなっちゃうし・・・・・私はどうすればいいのかわかんないよ!!」


 涙を流しながらユミはサラに抱き着きそう叫ぶ。

サラはそんなユミをしっかりと抱きしめ背中をさすった。

オイトはそんな二人の様子を見るとサラに目で合図をし、ゆっくり会議室からそっと出ていった。


「リユイさんが今までのリユイさんではなくなってしまうと言うのはどうしてですか?」


サラがゆっくりと子供に質問するようにサラに聞く。


「精神科医の先生が言っていたの。タカシ・・・・・リユイが人を殺すようなことをしてしまったら全てを思い出してしまうかもしれないって。そしたらまた、またあの壊れたタカ・・・・・リユイになっちゃう!」


 ユミの言っていることにサラは理解できなかった。

人を殺してしまようなことをしてしまったら?

またあの壊れたリユイになってしまう?

サラはその言葉が頭に回り始めた。

リユイに昔どんなことがあったのか?

サラはそれが気になって仕方が無かったがユミにそのことを聞けなかった。


「リユイは昔、ちょっとでも他人を傷つけただけでも物凄い罪悪感で過呼吸になってしまう程優しい人で、他人が苦しむぐらいだったら自分が苦しんだ方がいいって言う人だった。でもその度を過ぎた優しさは過去の出来事で既におかしな方向に歪められてしまっているの。でもその気持ちは、今は忘れている。でもまた人を殺すようなことがあれば・・・・・リユイは確実に狂っていく」

「そ、そんな事って・・・・・」


 何とか涙をこらえながらユミはリユイの心を教えた。

サラはユミの言うことが良く分からなかった。それでもリユイがそうなってしまうのは良くないと言うことは分かった。


「私が・・・・・私がリユイさんの代わりに魔王を――」

「馬鹿な事言わないで。そんな事できっこないわ」

 「そう、ですよね・・・・・」


 サラの行動をユミは止めようとサラの肩を強く掴んだ。

肩を掴まれたことでサラは冷静に戻った。


(私では魔王を倒すことは出来ない。でも、どうすれば・・・・・?)


 ユミの抱える悩みに触れてしまったサラはユミと同じ気持ちになり迷ってしまった。


『僕にこの世界を見せようとしてくれてありがとう』

『ごめん』

『お蔭で僕はこうして楽しく生きていける。僕はサラさんに感謝しているよ』

『前を向いて生きていこう!』

『ありがと。看病してくれていたんだね』

『・・・・・分からない。でも心配かけたのは分かる。だからごめん』

『何で僕が・・・・・こんな辛い思いをしなければならなかったの?』


 サラの中でも今までリユイとの思いだがフラッシュバックする。

そして思う。


(私は・・・・・今までのリユイさんのままでいてほしい!)


「ユミさん、行きましょう!」

「え?」

「リユイさんの所へ!」




 一方アレンは・・・・・

馬に乗りリユイのいる魔王城へと向かっていた。

だがいくら馬に乗ろうと魔王城へはリユイの国まで三日はかかる。

それでもアレンは諦めずにリユイの所へと向かっているのである。

そこに影がかかった。

大量の影だ。

驚きアレンが振り返るとそこには龍人の軍隊がいた。


「アレン様~」


 いつの間にかチビドラがアレンの横を飛んでいた。


「チビドラ? なんでお前が」

「アレン様、私達もお供する感じです」


 そして反対側の横にはヒトミが飛んでいる龍人の背中に乗っていた。


「私にお乗りください」


 龍人の一人がアレンに背中を貸そうとする。

アレンは素直に頷き馬を止めると龍人に飛び乗った。

こうしてアレンとヒトミ達はリユイのところへと向かっていったのであった。




 そしてリユイは・・・・・

魔王カゲインの首に刀を突きつけたまま固まっていた。

が、カゲインはそんな隙を逃さなかった。

カゲインはリユイの背後に<影転移>すると足の裏から短剣をだしリユイを蹴りとばした。

リユイは動揺しきっておりカゲインの蹴りを避けることが出来なかった。

リユイは吹き飛ばされ壁に打ち付けられた。

その衝撃によりリユイは気を失った。




リユイが目を開くと、そこは精神世界だった。

目の前には肉の扉がある。

リユイはまたかと思いながらも扉を開けた。

そこにはやっぱり鎖に繋がれた二人目がいた。

そしてその二人目を隠すように『俺』がいた。


「渡さないよ」


『俺』そう言い二人目を庇うように手を広げる。

リユイはその『俺』の行動で理解してしまった。

二人目を取り込まなければ自分は人を殺せない、と。


「邪魔だ、どけ」

「駄目だ」

「僕は、魔王を殺さなければいけないんだァァァ!」


 リユイは『俺』を押し退け二人目を取り込もうとする。

が、その鎖に邪魔され二人目に近づくことは出来なかった。


「クソッ・・・・・お前か」


 リユイは思い出してしまった。

二人目を制御しているのは『俺』だと。

リユイは『俺』へと近寄っていく。


「俺を取り込むというのかい? 言っておくが今君が俺を取り込んでしまったら二人目に君は取り込まれてしまうと思うよ? 本当にいいのかい?」

「僕は二人目なんかに取り込まれない。大人しく取り込まれてくれ」


 リユイは『俺』の胸を貫通させ掴む。


「やっぱり君は・・・・・最低最悪だ」


 その言葉をリユイは無視し『俺』の胸から核である光の球を引き抜くと自分の胸に押し当て取り込んだ。

『俺』の体は消えて行った。

そして鎖はパチンと音をたて弾け飛んだ。


「フ、フハ、フハハハハハハハハ」


 二人目は高笑いしゆっくりと立ち上がる。


「ハー、やっっとこの時がきた」


 瞬間、リユイの胸に二人目の手が入る。

そしてリユイの核を握り掴んだ。

あまりの痛みにリユイは顔を歪ませる。


「フハ、フハハハハハハ、その表情だ。なんて素晴らしい表情なんだ」


 そして二人目がリユイの核を引き抜こうとしたその時、リユイは二人目の腕を掴み、爪を突き立てた。

二人目の腕からは血が流れる。


「お前が僕を操るんじゃない。お前は僕に取り込まれるんだ。調子に乗るなよ!!」


 そして二人目の胸にはリユイが手を思いっきり突っ込み、核を強引に掴みとると引き抜き、そして自分の胸に取り込んだ。


「な、は、ハハハ、そんな」


その瞬間、精神世界は眩い光に包まれ、そして崩壊した。


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