第七話 サラと買い物
僕はいつも通り変わらずやるべきことをこなすとオイト牧場の原っぱで寝転がっていた。
サラも同じく横で寝転がり、だが寝てはいなかった。
何故かというとオイトさんに起こされたからである。
「サラ、買い出しにいってきてくれないか?
この前の買い出しで買ってきた食料や、魔石がそろそろ無くなりそうなんだ」
この前、というのは僕がサラと出会ったときか。
あれからもう1ヶ月が経つ。
時の流れは早いものだ。
そしてこの前知ったのだがオイトさんは魔獣から魔石を取るのではなく町で冒険者が売っているものを買うようにしているらしい。
というのも冒険者の少しでも腹の足しになるようにとしているらしい。
オイトさんはやはりとても優しい人だ。
「あ、あとリユイ君も。
君が増えた分、量も多くなるからサラだけでは運べないと思うんだ。だからよろしく。
昼食は町で二人で食べてきなさい。私は適当に作って食べるから」
「畏まりました」
「了解です」
こうして僕とサラは町で買い物デートをすることになったのである。
今僕たちは初めて出会った場所に来た。
町に行くときに必ず通る道らしい。
「ここ、私好きなんです」
「どうして?」
「自然がとても綺麗だからです。後、リユイさんにも出会えた。だから私、ここがとっても大好きなんです」
サラさんがそういった時、風が吹き草木と共にサラさんの髪を揺らす。
髪を抑え、透き通った目で草木を眺めるサラさんを見ていると何故か心配になってくる。
この先様々な困難が彼女の人生に迫り来るだろうか。
その時に何かの表紙にこの純粋な感情が崩れ去りなんにでも染まってしまうのではないかと。
ならばせめて僕が近くにいる間はしっかり彼女が道を踏み外さないようしっかり支えてあげよう。
勝手ながらそう考えてしまった。
町に着いた。
前回と変わらず多くの人がこの町へと買い物をしに来るため人でごった返している。
「リユイさん。時間も丁度いいですし昼食にしましょう」
「うん」
「何を食べたいですか?」
サラさんが手を後でくみながら振り向く。
僕は少し考える素振りをしながら考えるが全く思い付かない。
この世界には大体の地球料理がある。
けれど素材は全く異なるため、向こうでは簡単に手にはいる食材がここではなかなか手にはいらないといったこともあるので地球では安いものはこっちでは高級料理といったことがある。
故にお財布を苦しめる料理を選んではいけない。
非常に悩める。
「あの~リユイさん?なんだったら私がいつも行くお店に行きますか?」
「あ、ああ、うん。そうだね、それがいい」
助かった。
サラさんの行きつけのお店はこじんまりしており落ち着きのある喫茶店のようなもお店だった。
店に入る席に着くとと少し白髪混じりの年配の方(以後店長と呼ぶ)がお水を持ってきてくれた。
そしてしばらくサラさんと世間話をした。
「それにしても久しぶりだね、こうやって話をするのは。最近は全然来てくれなかったから」
「そうですね」
店長が唐突にこっちを見た。
「君は・・・・・確かこの前ちょっと騒ぎになった亜人君か」
「はい。亜人のリユイと申します」
「よろしくね」
店長はそういいながら手を差し出してくる。
それに受け答え握手をする。
手を離すと唐突に何かを思い出したかのような顔になった。
「そういえば最近君が捕まえた盗賊達が逃げ出したんだ。もし見つけたらまた捕まえてくれ」
あいつら逃げたのか。
でもなぜ僕に・・・いや僕じゃないと捕まえられないか。
「わかりました」
食事が運ばれ来た。
オムライスだ。
とてもいい匂いだ。
どうやら卵はそこまで高級品であるわけではなくそれにこの店は安く仕入れているらしいので値段は高くないことが判明した。
ざっと1000ルピーくらいだ。
目の前に運ばれてきたオムライスのケチャップを薄く伸ばす。
これでまんべんなくケチャップがオムライスを包み込む。
どこから食べても大丈夫。
右端をスプーンですくい口の中へと入れる。
そして数回噛んだ瞬間味が口の中いっぱいに広がる。
オムライスのまろやかさとケチャップの酸味が混ざりあい最高の味が成り立つ。
そこに米のような物の食感が合わさりオムライスの匂い、味、食感の全てが揃った。
最高だ。
「美味しいですか?」
「ああ、とっても美味しい」
「ですよね。私も初めて食べたときビックリしました」
そういいながら食べるサラさんを見ているとふと雑念がよぎった。
今までやってもらいたいなんて前世でも微塵も思わなかったこと。
「サラさん」
「何ですか、リユイさん?」
「やってほしいことがあるんですが」
そう言いサラさんに耳打ちする。
「え、べ、別にいいですけどそれってどういう意味ですか?」
「いいからいいから。ほら、速く」
「え~」
そう言いながらもサラさんは渋々了承してくれた。
サラさんは両手でハートを作る。
そして・・・
「美味しくなーれ、燃え燃えきゅん?」
・・・・・やっぱり自分の趣味ではないですね。
何か悪いけどやっぱり僕にはそういうのは合わないや。
それに燃えてるし。
「ごめん」
「え?何で謝るんですか?それにその表情は?」
「・・・無かったことにしてくれ」
「え、え~?」
オムライスを食べ終えサラさんと共に店の外へ出る。
しばらく歩いていたが突然サラさんが歩を止めた。
「どうしたんですか?」
「ちょっと寄り道しませんか?この世界の勉強もかねて、ね」
「じゃあそうしようかな」
珍しい。
サラさんが自分からこうして誘ってくることはあまりない。
「このお店、入ってみませんか?」
サラさんが指差す店を見ると普通の何処にでもあるようなお店が見えた。
何を売っているのだろうか?
「雑貨屋みたいなところなんですけど」
ハイ、今完璧に心を読んだでしょ。
「前々から気になってたんだけど僕の心読んでるでしょ」
「いえ。私はそのようなスキルは持ってませんけど?」
怪しい。
「そんなことよりもほら、入るんですか?入らないんですか?」
「入るよ」
店のなかは棚が大量にあり様々な不思議な物が置いてあった。
「これはいったい?」
「魔道具です」
「魔道具?」
「はい、魔道具です。それぞれに一つずつ特殊な効果があります。例えばこの靴」
サラさんが棚から古ぼけた靴を取り出した。
そして履く。
「ちょっとだけ魔力を込めると・・・・・」
あっ、浮いた。
「こうなります。つまり魔法を流すと特殊な効果が発動するという道具です」
なるほど。
ふと周りを見渡すととても綺麗な指輪がお揃いで二つ置いてあった。
気になり近づく。
そしてその指輪の片方を手に取ってみる。
「サラさん、これはなんですか?」
「それは・・・・・」
そう言いながらもう片方の指輪を手に取るサラさん。
するとその瞬間狂った魔力が体の中を巡り始めた。
これはいわゆる魔力が暴走しているということか。
必死に押さえつけないと勝手に魔法が放たれてしまいそうだ。
急いで指輪から手を離す。
すると狂った魔力は消えていった。
「すみません、リユイさん!」
「え?」
「どうやらこの魔道具触れたもの同士の魔力を共有するらしくて・・・・・」
じゃああの狂った魔力はサラさんの・・・・・?
「サラさん・・・」
「あのっ!・・・さっきの魔力は忘れてください」
「・・・・・分かった」
サラさんは何もなかったかのように店を出た。
僕もすぐにその後を追いかけ出ようとしたが立ち止まる。
回れ右をし、先ほどのお揃いの指輪を買うとすぐに外へ出た。
その後食材や日用品、魔石を買いそしてその全てを僕が持ち、オイトさんの家へと帰った。