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廻る乖離転生  作者: 朔
第六章 第一次魔王討伐編
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第七十四話 龍人

 事の発端は龍人国の理不尽な要求だった。

いつも通り朝目を覚まし部屋の空気を入れ換えようと窓を開けた時、突然ドアが物凄い勢いで開け放たれた。

今回はベッドが近くになかったので隠れられなかった。

まあ隠れる必要はないのだが。

ドアを開けたのはアレンだった。


「どうした?」

「龍人の者が話をしたいと言っているんだが・・・・・どうする?」

「王の間に通してくれ」

「了解」


  速やかに王の間がある下の階に移動する。

王の間に入り僕専用の王に椅子に座り龍人が来るのを待つ。

しばらくすると今度はノックをしてアレンが入室の許可を求めてくる。

許可を出すと静かにドアは開かれ一人の龍人が入ってきた。

ドラゴンのような鱗があるが形は人。

鋭い目付きはまさにドラゴンだ。

完全武装の龍人が僕の前まで堂々とした足取りで歩いてくるとピタッと止まり喋り始めた。


「警告だ。一週間以内にこの地を去れ。さもなくばこちらもそれ相応の対応をとらせてもらう」

「・・・・・それは宣戦布告と捉えても? と言うかこの地を捨て置いて何故この地を欲する?」

「ここは我々の故郷だ。魔獣がいなくなったのならば帰るのは当たり前だろう?」


  何言ってんだこいつ。


「それなのに貴様らが我々の許可を取らずに魔獣がいなくなったからといって勝手にこの地に住み着いたのが悪い」

「は?なに言ってんの?お前ら龍人が巻いた種を僕達が摘んでやったんだぞ?それなのにその態度は可笑しいんじゃないか?」

「あれは仕方がなかった。事故だ。だがその尻拭いをしたからと傲ってもらっては困るな」


 イライラしてきた。

散々土地を荒らしといてそのせいで沢山の死人を出したというのになんという傲慢で怠惰な態度だろうか。


「そうか、そっちがそういう態度ならばこっちもそれ相応の態度をとらせてもらおう。僕達はこの森から出ていくつもりは一切ない。この地が欲しいのならば力ずくで奪ってみろ!」


 しまった。

つい言ってしまった。


「その言葉、確かに聞いたぞ。我が主にしかっりと伝えるからな」


 龍人はそう捨て台詞を吐くと踵を返し王の間の外へと出ていった。

龍人が出ていきしばらくするとアレンが来た。


「よし、やるか」

「ああ、会議を開くから全員呼んでくれ」

「りょーかい」



 緊張感に包まれた中会議は始まった。


「これから緊急会議を開始します。内容は龍人との戦争について、です」


  戦争。

その単語に皆顔をしかめる。


「敵の目的はこの地の奪還。そこで我々の勝利条件は敵軍の撤退、及び降参。または殲滅。今回はあくまで防衛戦なので殲滅はないと思いますが。ここまでで質問がある人はいますか?」


 皆手を上げず話が進むことを待っている。


「では話を進めます。現在罠の設置、また軍隊の戦力はどのようになっていますか?」


 アレンがはいと言いながら椅子から立ち上が手元の資料を見ながら話始める。


「罠は全て配置完了、軍隊の陸の数は十万、空の数は五万です」


 少ない・・・・・けどこの世界は数より質だ、何とかなるだろう。


「大変です!!」


 突然獣人が会議室の扉を物凄い勢いで開け入ってきた。

まったく、最近物凄い勢いで開けるのが流行っているのか?


「どうした?」

「龍人が攻めてきました! 数は二十万、全員空を飛んで来ているため罠を気にせず、かつスピードも速いです!」


 マジですか。


「リユイ・・・様、命令を」


 アレンが皆の前では僕を様付けで呼ぶようになった。

というのは置いておいて、命令をださねば。


「まず警備団、軍隊の海は急ぎ一般市民の避難。軍隊の空は龍人の撃破、軍隊の陸は空の援護を。近衛兵団は僕ではなく一般市民を守ってくれ」

「「了解」」


 それぞれの班長が皆そう言う。


「リユイ様は?」

「僕は・・・・・ユミと共に龍人の王様と話をつけてくる」



 そして今に至ったのである。


「よし、行くか」

「はい」


  僕とユミは背中に翼を生やし飛び立つとお互い心映武器を出現させる。


「「はああああああ」」


  二人でわざと声をあげながら龍人の軍の中に突っ込んでいく。

勿論龍人達は僕たちを撃墜しようと魔法を放ってくるが斬撃で相殺するか避けるかして近づいていく。

ある程度近くになった瞬間、刀から巨大な食虫植物のような形になった僕の心映武器が大量の龍人を捕まえる。

そのまま振り回し散らばっていく龍人の軍隊に捕らえていた龍人を投げつける。

突然の出来事に龍人は混乱している。


「撃てええええ」


 その僕の合図で魔法や弓矢が一斉に放たれる。

混乱のなか放たれた攻撃に龍人はすぐに反応できず回避することにいっぱいいっぱいになり更に散らばっていく。

その隙に僕とユミは龍人の合間を縫って龍人の主を探しに行った。



「撃てええええ」


 リユイの合図と共に戦争は始まった。

一斉に様々な属性の魔法や、弓の心映武器から放たれる特殊な矢が放たれる。

そんな中ホムラとヒトミは圧倒的な力の差で龍人達を翻弄していた。

ヒトミは闇魔法で森全域を暗闇に包み込み、またその暗闇に触れる龍人から生命力を吸収していく。

暗闇のせいで迂闊に行動できない龍人達はその場でホバリングするも生命力が奪われていくので何もしない訳にもいかず一先ず陸へと着地した。

が、そこでも龍人達はそれ以上進むことは出来なかった。

何故か?

まったく把握できない罠とホムラに徹底的に仕込まれた軍隊の陸部隊を同時に対処しきれなかったのである。

ホムラが直々に戦い始めてしまったのもあるのだが。

こうして防衛戦はリユイ軍の徹底的な守りと過剰なまでの攻めで充分優勢だった。



 一方僕の方は。

只今龍人の王と対峙しているのである。

そう、龍人の本拠地に着いたのだ。

因みにだが本拠地の外ではユミがドラゴンの姿で暴れている。


「何をしに来た?」

「無益な戦争を長引かせるのはお互いに損でしょう? だから提案をしに来たんですよ」

「提案?」

「はい・・・・・僕の配下に加わりませんか?」


 瞬間、龍人の王の顔が真っ赤に染まった。

手に持つ心映武器ではない普通の槍を投げつけてきた。

僕はかわすでもなく立ち尽くしわざと肩に槍を刺さらせる。


「ハッ、口ほどでもないわ」


 龍人の王は僕があまりの速さに避けられなかったのだろうと思い僕を鼻で笑う。

が、まったくその刺さった槍に反応を示さない僕にみるみる顔を恐怖の表情に変えていった。


「どうやら力で示されないと分からないようだね」


 僕は肩に刺さった槍を引き抜く。

肩から大量の血が吹き出るがすぐにみるみると傷は塞がっていく。

それを見た龍人の王は更に顔が青ざめる。

極めつけに槍を龍人の顔面に突き刺そうとするが顔に刺さるすれすれで止める。

僕に槍を投げつけてからその槍が自分自身に突きつけられるまで約一秒。


「あれ? この程度のスピードについてこられないんですか? それだったら・・・・・僕の配下の一人も殺せませんよ」

「ヒ、ヒ、ヒ、ヒエーン」


 そう耳元で呟くとそれを聞いた龍人の王は膝から崩れ落ち泣き始めた。



 実のところ龍人族は見た目こそ厳つくて威圧感があるけど心は違った。


「ほ、本当は、ヒック、死んじゃった、パパとママの故郷に、ヒック、お墓作ってあげたくて、ヒック、でも、ヒック、なんて言っていいか、分からなくてええええーん、えーん」


 実はこの王、まだ五歳なのだった。

見た目は魔道具で大人と入れ替えているらしい。

亡くなったご両親の産まれ故郷に墓を作ってあげようと思ったが魔獣のせいで森に入ることさえ出来なかった。

だが僕達が魔獣を追い払ったお陰で一応森に入れはしたが国が出来ており困ってしまったそうだ。

色々考えたがいい考えが浮かばないなか王の側近が国を奪ってしまえばと呟いてしまったせいで戦争になってしまったらしい。

なんだそりゃあと思ったがそれが事実なのだから仕方がない。

結果的に戦争自体は大した被害もなかったし死傷者も出なかったのでおとがめなしということにした。


「・・・・・僕達の配下に加わわらない? お墓も作ってあげるし国にも住まわせてあげるよ?」

「うん、そうする」


 既に元の姿に戻ったチビッ子ドラゴン《龍人です。ドラゴンじゃないです》は頷いた。


「じゃあ名前を付けてあげないとね」

「え、いいの?」

「うん。じゃあチビドラ」

「チビドラ・・・・・分かった。ありがとう、リユイ様」

「どういたしまして」


 こうしてまた新たな配下と国民、そして戦力が仲間に加わった。

僕の心配は杞憂で終わったのだった。


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