第七十三話 休日(後編)
近寄っていくとそこには様々な建物が建設されている途中だった。
「ここって・・・・・」
「あ、リユイ」
僕に気付いたユミが僕に駆け寄ってくる。
「どうしたの? 珍しいね、城から出てきているなんて」
「アレンと散歩していたんだけど・・・・・意味不明な事言われて逃げられた」
「え?」
そうですよね、よくわかんないですよね。
僕もわかんないんですもの。
「ところでユミはここで何をやっているの?」
「表向きの仕事であるお店の建築。っと言ってももうそろそろ終わりそうだし・・・・・この後デートでもしない?」
ユミはそう上目使いに少し照れながら僕に聞いてくる。
「いいね、そうしよう」
国作りが終わったらと言ってなんだかんだで今までないがしろにしてしまっていたユミとの関係をやっと本格的に行える。
そう思うと国作りが速く終わってよかったなと今更ながら思う。
「終わったよ。それじゃあ行こっか」
「うん」
さりげなく僕はユミの手を繋ぎ歩き出す。
が、何処に行こうか?
店なんてまだ営業してないし、かといって景色のいいスポットなんて僕の部屋ぐらいしか思い付かない。
「どこ行く?」
分かんないなら聞いちゃった方がいいよね?
「特に行くとこ無いもんね~。どうしよっか?」
な、返されただと!?
マズイ、こういう時ってどう返せばいいんだ?
何か、こう、楽しめるような所はないだろうか?
・・・・・あ、いっそカマクラ国に行ってしまうのはどうだろうか?
昔もらった半額カードも使えるし。
「じゃあカマクラ国まで行かない?」
「いいね、そうしましよっか」
その返事を聞いたとき、サラと僕は似ているな~と思った。
ということでカマクラ国へ飛んで来た。
お腹も減ったので料理店に入ろうと思ったのだがいまいち何処のお店に入ればいいかのか分からない。
どうしよう?
と、突然通りすがりの人にぶつかってしまった。
「すみません」
「こちらこそ、フードの中、気をつけて下さいね」
「え?」
フードの中?
何でそんな事を?
と思いながらもフードを確認すると紙切れが入っていた。
確認するとオススメの料理店、服屋、スポットが丁寧に書かれていた。
この字は・・・・・カマクラ王?
先程ぶつかった人が行ってしまった方を見るがもう既にぶつかった人はいなくなっていた。
カマクラ王の粋いきな計らいに感謝しつつ僕は紙切れに書かれた料理店へとユミをエスコートするのだった。
「この後どうしよっか?」
他愛ない話をして食事を終えると会計を済まし店から出た。
するとユミがそう聞いてきた。
「服、見ない? お洒落なドレスとか持っていた方がいいんじゃない? それに僕もそういうユミの格好見てみたいな~」
単純に思ったことを言ったらユミが少し頬を赤らめて照れながら頷く。
意外にも照れる要素があったらしい。
「じゃあそうしよっか」
今度は恋人繋ぎをして歩き出した。
紙切れに書かれていた服屋に入るときらびやかなドレスが沢山あるお店に着いた。
中には着物までもがある。
流石はカマクラ国。
「ねえ、リユイ。流石に高すぎるんじゃ・・・・・」
「大丈夫。そんな事心配しなくていいから好きなもの選んで着てごらん」
ユミは気まずそうに頷くと僕の手を引き店へと入っていく。
女性の店員さんと話し合いながら一つのドレスを指差すとそのドレスを持って試着室へと店員さんと入っていった。
数分後。
ユミが試着室から出てくると派手すぎない可憐な青色のドレスを着て出てきた。
あまりの美しさにしばらく見とれてしまう。
「ど、どう?」
「・・・・・凄く綺麗」
「そう? ありがとう。・・・これ欲しいです」
上目遣いでユミが僕にねだる。
もとから気に入ったものがあったら買ってあがるつもりだったので僕はすぐにいいよと言った。
ユミは嬉しそうにありがとう!と言うとすぐに試着室へと戻っていった。
半額カードを使ったが思ったよりもドレスが高かった。
今月はもう何も買えないなと思いながらも僕達はまだカマクラ国王都の大通りを歩いていた。
ユミはドレスの入った紙袋を嬉しそうにしっかりと持ち、少しスキップをしている。
このまま帰るのもいいがどうせならもう少しデートを楽しみたい。
そこで僕はまた紙切れを見て次の目的地を確認する。
「ねえ、ユミさん」
「どうしたのリユイさん」
「最後にちょっと、寄りたいところがあるんだ」
そこはカマクラ王都を一望できる高台だった。
王都の景色はとても明るくて綺麗だった。
碁盤の目のような建物の配置に真ん中に大きな和風の城、それの王都の光が海に照らし返されとても幻想的だった。
「綺麗だね」
「そうだね」
「あのさ・・・・・これからもよろしくね」
「どうしたの、突然?」
「いや、なんか言っときたくて。だってこれからもいっぱい大変な思いをさせちゃうと思うし」
「・・・・・分かった。私からも、よろしくね」
「うん」
うわ、なんだろう。
すっごく恥ずかしい。
「リユイさん」
「何?」
「キスして」
「え、あ、うん」
突然でちょっとびっくりしたけど何とか気を持ち直し、ユミを正面から見る。
ユミは既に目を閉じており僕が来るのを待っている。
僕も目を閉じて唇を近づけていく。
これ以上のことが出来ないと思うと三度目のキスはとても切なかった。
そう、三日前の平和な休日を僕は迫り来る龍人達の軍隊を見ながら思い出していた。
そして確信した。
もうあんなにも平和な休日は当分ないだろうなと。




