第六十九話 建国、そして亜人達との別れ
カマクラ王と話を終えた僕は一旦重要人物を集め会議を町の会議室で始めた。
今いるのは僕、ユミ、サラ、ソレイ、アレン、ヒトミ、シズク、ホムラ、カエデ、ブーたん、オイトさん、町長さん、ソウだ。
「では報告と今後の国作りの本格的な方針を話そうと思う。今回魔物の森に行き最初に亜人の方々と会った。その後魔獣を召喚する門を無事撤去した。今は残った魔獣を討伐隊が狩っているところだ」
「その亜人方々はなんと?」
町長さんが口を挟む。
「魔物の森から離れると言うことだったのでカマクラ国に移住してもらうことにしました。では話を進めます。次に本格的な国作りの方針ですが、一ついい知らせがあります。どうやら僕の空間操作で今まで住んでいた家や思い出の建物を全部転移できるということです!」
一瞬皆が静まる。
が、僕が言ったことを理解すると全員が思わず席から立ち上がり喜んだ。
良かったなこれで今まで住んでいた家をそのまま暮らせるよ。
「話を続けます」
僕の声に皆ハッとし落ち着きを取り戻し席についた。
「取りあえず僕が空間操作で建物を全て森に転移させるのでそしたら土魔法を使える者が壊れていたら直して、というのを繰り返して住む場所を建てていきます。ある程度建ってきたら国民を移動させます。国の運営などについては全ての国民を移動させてから決めていこうと思います」
全員が頷くのを確認し、話を続ける。
「ではそれぞれに指示を出します。まず・・・・・」
こうしてそれぞれの配置を決めると今日は寝て明日からということになった。
地面にそのまま寝る。
国民と同じだ。
意外と草が柔らかい。
隣ではユミが文句を言いながらも横になっている。
「何で私達もわざわざここで寝るの?」
「国民と合わせることで国民に文句を言わさないため」
「リユイなら国民ぐらい押さえつけられるじゃん」
「ハハハ、あんまりそんなことはしたくないかな」
寝る前の他愛ない話を終えると僕達目を閉じて寝た。
国家建設一日目。
午前、オイト牧場。
午後、町。
建物や敷地が少なかったためすぐに終わった。また、一気に全ての敷地を転移させようとすると激しい頭痛と吐き気を催すので区間を区切って行うことにした。
国家建設二日目。
午前、ウィズ国
午後、ウィズ国
領土が思ったよりも大きかったので一日丸ごとかかってしまった。
スキルのレベルが上がったため転移できる敷地が増えた。
国家建設三日目。
午前、オーガ国
午後、オーガ国
オーガの領土はウィズよりも大きかったため一日では終わらなかった。
一般市民の移動も開始。
国家建設四日目。
午前、オーガ国
午後、オーク国
オーガの領土は終わりオークの領土を転移開始した。
オークの領土は他の種族と比べとても大きいので時間がかかるだろう。
国家建設五日目。
午前、オーク国
午後、オーク国
予想通り終わらなかったが、明日の午前中には終わるだろう。国民の移動も大方すんだし、順調に国ができていっているそうだ。そうだ、と言うのは実のところ僕は見に行っていないので詳しいことがまだわかっていないのだ。
明日、完成を見るのが楽しみだ。
国家建設六日目
午前、オーク国
やっと全ての建物を転移し終えた。
大変だったけどあっという間だった。
まるで数行しかなかったような・・・・・。
いや、そんな事はどうでもいい。
これから飛んで完成した我が国に行く。
今まで一切帰っていなかったのでとっても楽しみだ。
の前に残りの国民の転移をしなければ。
「どうですか、リユイ様? 私達頑張った感じです」
ヒトミの案内の下、森に入っていくと突然に開けると、そこには見慣れた町や牧場、かつてボロボロになっていたそれぞれの国の家がそこにはあった。
そして円形状に広がる家の真ん中。
そこには大きな城があった。
「す、凄い・・・・・」
にしても大きすぎる。
まるで三種族の城が一つに合わさったかのような・・・・・。
「凄いですよねあの城。あれ城三つを全部くっ付けて作った感じなんですよ」
本当にそうなのか。
にしても立派だ。
そして美しい。
「あ、リユイ」
僕が来たのに気づいたユミが駆け寄ってくる。
ユミはこちらで建物をどこに置くか指示を出していたのだ。
「凄いな」
「えへへ、そうでしょう? 私が考えたんだ」
ユミの案だったんだ。
いいセンスだ。
「早速案内してくれ、っと言いたいところだがこれからミシェルさん達とカマクラ国に行く。一緒に来てくれ」
「了解!」
ミシェルさん達と共にカマクラ国に着き、カマクラ城の門まで来るとそこにはグラッドさん達がいた。
グラッドさんは背中に大きなリュックを背負っており、それとは真逆にキャシャさんはちょっとした鞄一つだった。
二人の後ろにいるユウリにおいては何も持っていない。
「お、おう!凄い人数だな」
「グラッドさん、こんにちは。皆さん国に来てくださるという事でよろしいのですよね?」
「ああ、よろしく!」
「よろしくね」
「よろしくお願いします」
全員が僕に挨拶をし握手をする。
「では着いたら僕の配下が案内する手筈になっています。ではまた後で」
そう言い僕は手を一振りするとグラッドさん達は消えていた。
空間操作で転移させただけだ。
今は速くカマクラ王に会いたいのでな。
部屋に入ると既にカマクラ王はいた。
「連れて参りました。よろしくお願いします」
「ああ。よく来ていただきましたね、えっと・・・・・ミシェルさんにクロードさん」
「ああ、いえ」
突然名前を呼ばれたミシェルさんは慌てて礼をする。
二人が話し合いを始めた時、僕は後ろから肩を叩かれた。
カマクラ王のメイドさんだった。
「あの、これ」
「ああ、有難う御座います」
メイドさんから渡されたものは例の資料だった。
軽く会釈をし受けとるとメイドさんが横に来て少し顔を傾け話しかけてきた。
「あなたの後にこの世界に来た転移者が私です」
「え?」
「最初にあの方と話し合ったときに出てきた転移者が私です」
ああ、最初にカマクラ王に会ったとき時間の流れが逆になったという証明になった人か。
「あなたが」
「はい。あなたが亡くなった事件、新聞に載ってましたよ」
「新聞に?」
「はい。コンビニ強盗が中学三年生男子を殺害。だが、相討ちになり強盗犯も死亡、って」
懐かしいな。
あの事件が僕がこの世界に来た原因だ。
にしても新聞に載ったか。
にしても強盗犯もやっぱり死んだか。
僕は・・・・・人殺しか。
でもあのときは必死だったのであまり人を殺したという感覚はなかった。
それにもうあまり覚えていない。
・・・・・言い訳か。
「若いのになかなか殺るね~」
「殺るね~、って。仮にも僕は人殺しですよ? 怖くないんですか?」
「う~ん、君が殺したのは仕方なかったんでしょ? てか私なんか恋人を殺そうとして逆に殺されちゃった人間だから」
え、何があったし。
あれ、でもそんな事を聞いたけどあんまり怖くない。
メイドさんがにやっと笑い話しかけてくる。
「ね、話を聞いただけならそんな怖くないでしょ? そんなもんだよ人間なんて。実際にその場を見ていなかったらその人のことなんてなんとも思わない」
「そう・・・・・ですね」
「じゃあ行こっか」
「え?」
メイドさんはえ?と言った顔で僕を見てくる。
何言ってんだこの人?
だが、メイドさんは思い出したような顔をして一人で納得している。
「あ~そうか。まだ聞いてなかったっけ? 私がユウリの監視係、佐藤 巴。よろしく」
「え、あ、よろしくお願いします」
この人が、か。
いったいどんなスキルを持っているのだろう?
凄い気になる。
「リユイ」
「あ、はい!」
カマクラ王に呼ばれたので聞きたがったが仕方なくカマクラ王とミシェルさんの所へ戻る。
「最後のお別れでも言え」
「あ、はい」
いや、別に最後ではないのだけどね。
「クロードさん。よかったら僕に修行をつけてくれませんか?」
「俺が、か?」
「はい。僕は民を守るために少しでも強くてなりたいんです! だから・・・・・僕に修行をつけて下さい!!」
今の僕では魔王に攻め込まれてしまえば民を守ることが出来ないだろう。
それでは王として失格だ。
だから僕は今以上に強くならなければならない。
そして僕の周りで一番強い人はクロードさんだ。
僕は少なくともこの人を越えなければならない。
でないと、また僕は誰も救うことはできない・・・・・。
「分かった」
クロードさんはそれだけ言うとカマクラ王に頷いた。
話が終わったということだろう。
クロードさんの言葉の意味をやっと理解した僕は心の底から喜びが溢れだしてきた。
「有難う御座います!!」
こうして僕達はクロードさんと別れメイド服から着物へと着替えたトモエさんと共に僕の国へと帰ったのだった。




