第六十八話 お礼
魔獣を狩終えた僕達はミシェルさんのいる大きな家へと戻った。
クロードは僕達から離れミシェルさんの横に控える。
「よし、ではこの魔物の森を君達の国の領土という事で我々は金輪際関わらない」
「魔物のいなくなった魔物の森はおかしくないか?」
アレンが考えなしに思ったことを口に出してしまった。
「いや、すまん。けど魔物の森ってのはなんか違和感があるってかなんというか・・・・・」
アレンは魔獣に家族を殺されている身として魔獣と言う言葉に異常に反応する。
そのため今から自分達は住む場所に魔獣という言葉が付くのが嫌なのだろう。
「では丁度いい機会ですし考えてみませんか?」
サラのさりげないホローが入る。
皆は何故そんな事をと言いたげな顔だったがサラの一言でならばと考え始めた。
ナイス、サラ。
流石心読みメイド。
「じゃあリユイの森は?」
アレンが最初に言い出してからずっと考えていたユミは思い付いたというようにパッと顔をあげるとそう言い放った。
散々迷っていた挙げ句にそれかよ。
良い訳がない。
「却下」
「私は言いと思いますよ?」
サラが今度は敵にまわっただと!
まずいこのままではマズイ・・・・・!
「ここは無難に地形の特長から大陸接続森と言うのは?」
「確かにそれならすぐにこの森がどの場所にあるのかわかって良いですね。流石リユイ様、ボクは賛成です」
ソレイの賛成の意思を表すために前足を挙げる。
「賛成でヤンス!」
するとゴブンも手を挙げた。
よし、今二票。
さあアレンよ、君はどっちだ?
「俺もリユイに賛成だな」
ハイきた!
僕の勝ち。
ユミは何でもないような顔をしているが内心穏やかではないだろう。
昔からそうだった。
という事で魔物の森改め大陸接続森に決定した。
「君達そろそろいいかね?」
「あ、すみません」
待たせてしまったミシェルさん に謝り、話を続ける。
「では続けさせてもらおう。大陸接続森に私達は金輪際関わらないようにしようと思う」
「え、なんでですか?」
「はっきり言って儂等にはここの地には良い思い出がない。ここに留まっていても苦しくなるだけなのだ」
そっか。
確かに大勢の仲間が死んでいった場所、いや、戦場にそのまま残っていた兵士なんていないのと同じか。
でも何らかしらの恩返しがしたい。
はっきり言って門の撤去は僕達の国を作るのに重要なことだった。
それを確かに自分達にも害があるがかといってわざわざ自分の村の一番強い者を貸す必要は無かったのだ。
それをわざわざ貸してくれて僕達が死ぬ確率を大きく下げてくれた。
はっきり言ってクロードさんがいなかったら僕達は門を撤去出来ていなかったと思う。
だからお礼をしたい。
何がいいだろうか?
・・・・・あ!
「村の方々は全員で何名いますか?」
「三十人だが?」
それなら多分大丈夫だろう。
「僕、クロードさんとミシェルさんにお礼がしたいんです。それでもしよかったらカマクラ王国に移住しませんか? 本当なら僕の国に来てほしいんですがこの森にはもう関わりたくないと言うのでしたら」
こんなこといってもしカマクラ国王が許可してくれなかったらどうしよう・・・・・。
「それには及ばない」
クロードさんが静かにそういい僕の提案を断る。
「いえ、させてください。はっきり言って見るに耐えないんです。僕と同じ亜人がこんな貧しい暮らしをしているのが。だからお願いします、僕に恩返しをさせてください」
クロードとミシェルさん二人とも黙ってしまう。
が、ミシェルが諦めたように頷くと僕と目線を合わせた。
「分かりました。ありがたくそうさせていただきます」
こうして僕からの恩返しが決定したのであった。
「・・・・・という訳なんですよ」
僕は一旦大陸接続森を離れ魔獣討伐隊をヒトミ達をリーダーにして組ませて大陸接続森を掃除してもらっている間にユミと共にカマクラ国王と話をしている。
そしてこれまでのことを今説明し終えたところだ。
「で、俺に難民を受け入れろと」
「簡単に言えばそうなります。ですが思いの外早く国が完成しそうなので国民を預けるというのと引き換えに・・・・・というの変ですがどうでしょうか?」
珍しいことに今回は悩んでいる。
確かに前例を作ってしまうと後々大変になるからだろう。
当初の国民を預かる方はまだ隠せたが国民にするとなると隠すわけにはいかなくなる。
悩むのは当たり前か。
「・・・・・分かった」
カマクラ王は渋々と言った様子で頷いてくれた。
「しかしプラスで条件がある」
「なんですか?」
「桜田有理。知っているか、いや、知っているだろう?」
聞き覚えのある名前を言われた。
確かグラッドおじちゃんと一緒にいたあの男だ。
でもなんでそんな事をカマクラ王が知っている?
「はい。ですが何故あなたがそれを・・・・・?」
「あいつが原因かもしれない」
原因?
なんのだ?
「忘れたか?時間の流れ方だよ」
「ああ!」
「思い出したか。あいつどう考えても異世界人だ。でも俺が鑑定した結果なんのスキルも持っていなかった。怪しいと思って今調べているところなんだがなんのアクションも起こさない」
鑑定出来るんだ。
「そこで尾行していた俺の配下がお前と話している所を見たらしい。どうやらお前の国に奴が入りたいと言ったいるようじゃないか。そこで、だ。お前の下に置くことで奴が何か動き出すかもしれないと思ってな。どうだ?」
尾行、盗聴もやっていたのか。
「監視は俺の配下がやるからお前は奴を置くだけでいい」
「分かりました。その条件を飲みましょう」
こうして三度目になる交渉が無事終わった。
国の作り方の資料はまだ出来上がっていないので当初の予定の一週間後、今となっては六日後にミシェルさん達と引き換えでということになった。




