第六十話 勧誘
ユミと共に城から出て、来た道を帰っていく。
その中で僕達は意外な人物に出会った。
「・・・・・? あれは!」
僕は急いでその人物達に駆け寄る。
肩を叩かくとその人物はとても驚き振り返った。
「びっくりした! なんだ、姉ちゃんか」
「お久しぶりです、グラッドさん」
その人物とはグラッドさんだ。
隣にはキャシャさんもいる。
「デートですか?」
「ははは、そんなわけないじゃないか。こう見えてもお互いもう三十代なんだぞ」
いやいや、三十代でもデートぐらいするだろ。
少なくとも僕はする。
絶対。
いや、待てよ。
確かこの世界では確か大人は十五歳からだからその倍である三十代は十分初老に入るのか?
前世でも二十代の倍である四十代ではもうすでに初老だ。
そうなるとこの世界の一般的な考え方としてはデートする歳ではないのだろうか?
四十代でも僕はデートをするつもりだがな。
「お久しぶりです、リユイさん」
「キャシャさん、お久しぶりです。それにしてもお二人ともお元気そうでよかったです」
「私達あの魔王が攻めてくる前に引っ越しが終わっていたので。実は今グラッドさんと同棲しているんです」
キャシャさんの意外な話に驚きながらも僕は二人の背後にいる男が物凄く気になっていた。
「その方は?」
僕は二人の背後の男に手を向け二人に質問する。
「ああ、最近仕事のことで色々手伝ってもらっているユウリ・サクラダさんだ」
名前と見た目が日本人なところから考えるに転移者か?
そいつは優しそうな笑みを浮かべ握手を求めてきた。
「ユウリ・サクラダです。以後お見知りおきを」
「リユイです」
差し出された手を握り握手を交わす。
レベルが僕より上なのだろうかコピーや鑑定ができないのでユウリのスキルが分からない。
この者も何らかの特殊スキルを持っているのだろうか?
持っているだろうな。
僕の第六感がそう言っている。
「そう言えば姉ちゃんはここで何をしているんだ?」
「ちょっと国を建てようと思ってアドバイスをカマクラ王に聞きに行ってた」
「ほ~そうか・・・・・ってえ!? 国を造る? カマクラ王に相談?」
「えええ!?」
「ほう」
三人ともそれぞれの驚き方で面白かったぞ。
・・・・・待てよ、グラッドさんとキャシャさんを誘ってしまうのはどうだろうか。
グラッドさんは信頼できる鍛冶屋だし、キャシャさんには我が国でギルドの受付嬢的なことをしてもらいたい。
今いる仲間の中にはいない分野の人達だ。
「そうだ、グラッドさん、キャシャさんもしよかったら僕の国に来ませんか?」
「「え?」」
「そう言うことなら私もそうさせてください。私は金勘定が得意なので予算のことなら多少手伝えます」
お前はお呼びではないのだが確かに今予算をどうこう考えられる人はいない。
とてもほしい人材だ。
「まあ、ユウリがそこまで言うなら俺もそうしよう」
「え、じゃあ私も」
なんだかんだで二人とも来てくれることにはなったがなんだか嫌だな。
どうもユウリとか言うやつの意見で二人が入ってくれることになった感じなのが気になる。
ユウリ・・・・・マークしておこう。
しかもよくよく考えればこいつ国の重要なところをサラッと手伝うと言ってきた。
それに先ほどもさほど驚いた様子を見せなかった。
何か裏があるのか?
今はまだ分からないので利用できるところは利用したいので泳がせとくか。
「リユイ、そろそろ」
「あ、うん。じゃあ一週間後にまたこの国へ来ますのでその時に昼、城の前で」
僕はそう言うとユミと共に国の外へと歩き出したのであった。
カマクラ王国から出るとドラゴンの翼を生やしはためかせ空へと舞う。
ユミも翼を生やし後ろから飛んでくる。
向かうは魔物の森だ。
一旦ヒトミ達の元へ戻ろうかと思ったが早急に見ておきたいのでもう行くことにした。
僕は今までのなかで最高速のスピードを出し魔物の森へと飛んでいくのだった。
着いた。
上空から行こうかと思ったのだがやめておいた。
何故かと言うと真っ暗なのだ。
日光が雲のせいで遮られてとか雰囲気的にとかそう言う訳ではなく暗い。
ではなぜ暗いかと言うと空が鳥のような様々な大きさの魔獣達で空が埋め尽くされているのだ。
最初に見たときあまりの数の多さに吐き気がした程だ。
ユミなんか一瞬意識を離しかけた。
攻撃するならばこの数を一瞬にして消す攻撃でなければ生き残った魔獣達が襲ってくるだろうから僕達だけではできない。
確かにユミがドラゴンになり暴れれば掃除出来なくもないがそれをしてしまっては土地は駄目になってしまいわざわざ掃除した意味がなくなってしまう。
そう言うことで地上から行くことにしたのだ。
「リユイ」
「何?」
「怖い」
「僕も」
そう、この森空を多い尽くす魔獣のせいで暗いし、そこらじゅうをうろうろ歩いている魔獣達のうなり声が森じゅうに溢れ返っている。
ちょっとしたパニックホラーゲームをしているかの様な雰囲気なのだ。
はっきり言って僕も物凄く怖い。
だが二人して怖がっていては進まない。
僕が王になる為の試練だと思い一歩一歩を進めているのである。
そして森に入って十分が経過しただろう頃、ユミが落ちた枝を踏み折ってしまった。
その音が森じゅうに響き渡る。
ベタ過ぎる展開だ。
だいたいこういうことをした時に決まって起こることがある。
そう、魔獣の大軍だ。




