第五十八話 オイトさんとサラ
時は少し前に遡る。
サラはソウの案内のもとオイトと感動の再開をしていた。
「サラ・・・・・まだ数ヶ月しか経っていないのに随分と立派になったね」
「はい、お父さん」
久し振りに会うことができたのだ積もる話もあるだろう。
だが今は一刻も速く仕事をしなければならない。
そう思ったサラは早々に本題を話始めようとしたがついついオイトを見ると今まで辛かったことを吐き出したくなる。
慰めてほしくなる。
「何かあったんじゃないか?」
オイトの優しい問いかけを聞き、自分がここに来た目的を思い出させられる。
サラは分かってはいるのだが喋りだそうとするとどうも自分の感情を優先させたくなってしまうのだ。
サラはぐっと自分の感情をこらえ気持ちを押さえつけると本題に入った。
「今、リユイさんは国を作ろうとしています。その国に建物がたつまでの間魔人の方々のすむ場所が必要なのです。ここに置いてください」
「分かりました。でもその分しっかりと魔獣退治に励んでもらいますからね」
「はい!」
そう話がついた瞬間、突然ドアが思いっきり開かれた。
「ソウ様、いらっしゃいますか?」
「ドアを開けるときはノックをしろ」
ソウの配下である若い獣人が入ってきた。
ソウは配下の無礼をオイトとサラに「スミマセン」と言い謝ると部屋の外へと出ていった。
「何かあったのでしょうか?」
「恐らく今、町の方でソレイさんがソウさんを呼んだのでしょう」
「ふむ、町のほうにもお願いしているのですね」
「はい、そうです。何しろ人数が多いので」
オイトさんは席から腰をあげる。
「サラ、少しお話をしませんか?」
「でも・・・・・」
「少しぐらいならばいいのではないですか?」
サラの心を見透かしたオイトはサラを優しく諭すとベルを鳴らした。
すると少しして獣人がティーセットがのったお盆を二人係で咥えて持ってきてた。
オイトはその二人からお盆を受けとると「ありがとう、馴れないことをやらせて悪かったね」と言い二人撫でると机に上にそのお盆を置いた。
「ティータイム、とでも洒落混みましょうか」
それから話すこと一時間、サラはまだ話途中だったがドアをノックする音で話は中断された。
「入って大丈夫ですよ」
オイトがノックの主にそう応えるとドアが開く。
ソウだった。
「どうした?」
「町の方でも先程の話がありまして、その結果条件として町の者達をリユイ様の国の国民としていただき住まわせていただくことが決定いたしました。また我々獣人もその国に住むことが決定いたしました」
「つまり?」
「その・・・・・オイト様はどうなさいますか?」
町の者や獣人が居なくなっることが決定した今オイトはここら一帯では誰も人とは交流出来なくなる。
それでもオイトは残るのか?
ソウが言いたいことはそういうことだろう。
「私は・・・・・」
この牧場はオイトと今はなきオイトの妻との思い出の地である。
オイトにとって簡単に手放せる地ではないだろう。
だが実質問題獣人達が消えてしなっては一人でこの牧場を生きていくことはできぬだろう。
はっきりいってオイトには選択肢があるようで無いのだ。
「一緒に行きましょう」
オイトは何かを思い付いたようにそういった。
オイトの即決についていけないソウとサラは聞きたいが聞けない様子だ。
「リユイ君にいっそのことこの土地ごと全部転移してもらえばいいのではないですかね」
「「えええ!」」
やはり前回来たこともあってかすんなりとカマクラ国王に会えた。
カマクラ国王は以前と変わらず立派な王の椅子に腰かけている。
「久し振りです」
「久し振り? そんなに経ってたか?」
「ああ、そうでもないですかね。いや、色々あって何だか久し振りな気分だったもので」
軽い挨拶を交わすと僕は話の本題に入る。
「率直に言います。実は僕、国を作ろうと思いまして今頑張っているのですが出来れば国の作り方と大量の魔人を国に建物が出来るまでの間置かせてもらいたいのですが・・・・・」
「食糧はどうするつもり?」
「魔人は食べなくても大丈夫なそうです」
カマクラ国王は魔人が食べなくてもいいと聞くと少し驚いたが直ぐに無表情に戻る。
そして隣に控えていたメイドに何かを伝えると喋りだした。
メイドは部屋から出ていく。
「分かった、いいだろう」
「え?」
「だが条件がある」
即答したカマクラ国王に僕はいささか動揺が隠せなかった。
何故そこまで直ぐにこれ程のお願いをすんなり了承出来るのか?
それほどまでに条件がきついのだろうか?
「俺の国と君の国とを繋ぐ貿易道路の開拓と他国との友好的な関係を築くことを条件とさせてもらう」
「そんな事でいいのですか!?」
意外だ。
そして寛大だ。
それだからこそここまで国を造ってこれたのかもしれない。
僕も見習わないといけないのかも。
いや、人には人のやり方があるか?
まあいい部分は吸収してよくないと思う部分は捨てればいいか。
まるでスキルをコピーするかのように。
なんてな。
「ああ。でも一年もは置いておけないぞ?」
「はい、充分です!」
「では話はこれでおしまい。メイドに全部書いといた物を渡しとくから後日来てくれ。そうだな・・・・・三日後、三日後に来てくれ」
その言葉を最後にカマクラ国王は部屋を出ていった。
出ていく前に「後はこの試練に耐えられたら、だな」と言った気がしたのは気のせいだろうか?
そしてなんだかあの態度はまるで一刻も速くこの場から立ち去りたいような・・・・・。
ふと入ってきた扉を見てみるとそこには扉の隙間から誰かがこちらを見ているのが分かった。
今までずっとカマクラ国王はそれを気にしていたのか?
カマクラ国王が座っていた椅子を見てみるとそこには『頑張れ!』と書かれたメモが残されていた。
き、気づいていたのかああああ。
恥ずかしい。
そして恐ろしい。
なぜそこまで知っている?
あの王は記憶を見るスキルでも持っているのか?
「リユイ、入ってもいい」
ユミの冷たい声が部屋に響き渡る。
「なんでいるの?」
「実はね、城の前で待っていたらメイドさんに声を掛けられて。そしたらここに連れてこられた」
え~それはないよ。
王様よ、そんな配慮はいらないよ~!
「・・・・・その・・・さっきの話の続きをしない?」
「・・・あ、ああ。うん」
何を話せばいいか分からない。
どうしよう?




