第五十四話 名づけ
確かに今後どうするかは重要なことだ。
王の子供達は僕の配下になったのはいいがこの後どのように過ごしていくのか全く決めていないのだし。
今回場合迷惑を掛けられたのはゴブリン族だ。
だが、もうゴブリン族達には大人がいない。
だからといって子供にその罰を考えてもらう訳にはいかない。
「最初の問題はそれぞれの種族の住む場所だ」
「え?」
そっちか。
てっきり戦争を起こした罰をどうするのか決めるかと思ったが。
だが何故住む場所なのだろうか?
そのまま住み続けてはダメなのだろうか?
「なんで住む場所を?」
「ああそっか、リユイは知らないだったな。実は俺達がここに向かう途中にユミがドラゴンの姿のまま暴れたんだ。そのせいでほとんどの建物が全壊、土もダメになっちまった」
そ、そうか。
ユミの方を見ると少し拗ねたようだった。
「だって放ってくる魔法が鬱陶しかったんだもん」
おいおい。
限度ってのがあるだろ。
アレンは苦笑いしながら話を続ける。
「そのせいで住む場所がダメになった。そこでどうするかだ、誰か意見はあるか?」
「はい」
気になることが一つあるので手を挙げた。
挙げる必要なかったかもだけど。
「種族ごとに住める場所の条件ってあるの?」
「特にないかもなの」
ウィズ族の妹が答えてくれた。
てかなんかいちいちこういう呼び方するのは面倒だな。
後で名前付けるか。
「いっそのこと全員で暮らすなんていいんじゃないでヤンスかね。国・・・・・そう!国みたいなのを造ってなんて・・・・・何でもないヤンス」
皆黙っている。
僕は言いと思うけれど・・・・・?
「それ、凄くいいじゃないですか!」
「私も言いと思うわ」
サラとユミがゴブンの意見に意見に賛成した。
僕も・・・・・。
「おおおいいなそれ!いっそのことそうしちまえばいいんじゃねえか?リユイが王様で」
「え、いやちょ」
「おお、おお!そりゃあいい!リユイ様が王なら文句無しだ」
「兄さんが文句ないならあたしも文句なし!」
ちょと待てよ、おい。
確かに普通に考えれば僕がその様な立場になるかもしれないがそもそも王国主権というのは・・・・・。
「リユイ様が王ならいい感じですね」
「リユイ様ならいいかもなの」
「私も賛成です。リユイ様が王なら」
おいおいそうやって引けなくするなよ。
皆が僕に期待の眼差しで見てくる。
どうしたものか。
「リユイ様。ボクはリユイ様が王に相応しいと思います。出来れば我が獣人族もその国に加えて頂きたく思います」
「・・・・・分かった!じゃあ僕が王になろう!」
僕のその声を聞くと皆が歓声をあげた。
こうして魔人国が誕生したのであった。
「それはさておき、王の子供達よ。君達に名前をつける。その方が便利だし強くなるから一石二鳥でしょ」
王の子供達は喜びで目を輝かしながら僕の前へ来た。
ソレイに聞いたのだがどうやら魔人にとって名付けとはこの上ない素晴らしい行為らしい。
そのためみすみすこの機会を逃さぬよう謙虚にもならなかったし動きも速い王の子供達なのであった。
「まず君」
ウィズ族の姉を指差す。
「君の名はヒトミだ。そして君」
今度はウィズの妹のほう。
「君はシズクだ。そして君」
今度はオーガの兄のほう。
「君はホムラだ。そして君」
今度はオーガの妹のほう。
「君はカエデだ。そして最後、君は・・・・・」
最後の一人、一人っ子のオークを指差す。
「・・・・・ブーたん、だ」
ごめん、思い付かなかった。
一気に魔力が抜けていく感覚が目眩を起こさせるが何とか堪える。
名前を授かったヒトミ達は喜ぶ。
だが皆この後すぐに起きるであろう進化のために跪き目を閉じた。
するとヒトミから進化が始まった。
背が一気に伸びていき中学生ぐらいだった身長が大人ぐらいになる。
するとフードが勝手に取れた。
ヒトミの顔は大人びており髪は紫色だった。
次にシズクの進化が始まった。
シズクもまた背が伸びていき小学生の低学年ぐらいだった身長が中学生よりは少し小さいぐらいの背の高さになった。
フードが勝手にとれるとシズクが幼い顔つきだと分かった。
髪の毛は青。
彼女の顔を見た瞬間ロリという単語が頭に思い浮かんでしまったのは内証だ。
次にホムラ。
彼の髪はますます赤みを増した。
そして背が思いっきり伸び僕の背を超えとうとうアレンの背さえ超えた。
筋肉もガッチリとついたが引き締まった理想といえる筋肉だった。
次にカエデ。
彼女の赤い髪は茶色が混ざると背まで伸びて行った。
そして引き締まった柔軟そうな筋肉がついた。
最後にブーたん。
彼の茶色い髪は特に変わらずだが、顔はより人間に近づいたように感じる。
それ以外特に見た目的な変化は感じられなかった。
こうして進化を終えたヒトミ達は互いの変化に喜び合い皆それぞれに僕に礼を言った。
「あ!」
そんな中突然声をあげたヒトミに僕は少し驚くも声を掛けた。
「どうした?」
「・・・・・無くなっている」
「え?」
「〈病弱〉が無くなっている!」
「お姉様、それは本当なの?」
首を傾げる僕を押し退けシズクがヒトミに駆け寄る。
一旦どうしたのだろうか?
《長年悩まされていたスキルが進化したことで消えてくれたのでしょう》
そんなスキルを持っているって戦闘中言っていたっけお前?
《いえ、必要ないと思ったので言っていませんが?》
そうか。
まあ確かに必要ないなそんなスキル。
それにしても長年悩まされていたスキルが消えてよかったな、ヒトミ。
そう心の中で思っているとヒトミとシズクが近づいてきた。
「リユイ様、本当にありがとうございます。私、一緒リユイ様についていく感じです!」
「リユイ様、姉の悩み事を解決していただき本当にありがとうなのかも」
「う、うん」
何故だろう。
二人とも本気で言っているのだろうけどそうは聞こえない。
口癖って不思議。
「ねえ、リユイ」
「何?」
「名前どうやって決めたの?」
ユミが小声で話し掛けてきた。
僕もまた小声で返す。
「特に深い意味はないけど、なんとなく属性にちなんだ名前にしているよ。ブーたん以外。ブーたんは完全に思い付かなかったから思い付いたらその時変えるよ」
「ふ~ん。皆いい名前だね」
ユミに褒められると何故かとても嬉しかった。
でも同時に恥ずかしくもあった。
僕は照れ隠しで皆に声を掛けた。
「皆これからよろしく! これから頑張って行こー!」
「「おー!!」」




