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廻る乖離転生  作者: 朔
第五章 魔人国誕生編
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第五十三話 魔神三種族戦争その後

皆の所へ戻ると全員縄をほどかれていた。

ふと気になりゴブンを見ると一人部屋の隅で泣いていた。

結局ゴブリン族の人達は子供だけしか助けられなかったのだ。

つまりゴブンの妻も死んでしまったということだ。

声を掛けようか迷ったが結局掛けなかった。

いや、掛けられなかったの方が正しいかもしれない。

結局その場で立ちすくんでいるとユミが僕のことに気づいた。

サラはユミにつられて僕の方を見て気づく。

二人がこちらに歩いてくる。

だがその足取りは決して軽いものではなかった。


「倒した?」

「・・・・・うん」


僕の表情から何かを察したのかユミはそれ以上聞いてくることはなかった。

サラもそのまま元の作業に戻ろうとしたので肩を掴み止まらせる。


「どうしたんですか?」

「少し話せる?」

「大丈夫ですが?」


珍しくサラは何故呼び止められたのか分からないという表情だった。

いつもは心を見透かしているというのに。

僕はサラとともに部屋の隅へ行くと話を始めた。


「ゴブリン達を殺したのは魔王に操られていたエマさんだった」

「・・・・・! そ、そんなことって!?」

「あと、実は僕が見つけた時にエマさんは首が変な方向に曲がっていたけれども実は生きていたことが分かった」


サラは驚きのあまり手で口をおさえてしまっている。


「・・・・・分かりました。それでエマさんは結局?」

「〈炎鎧〉で灰にした」

「・・・・・」


サラの目が少し潤み始めた。

かと思うと今度はサラが歪んでいく。

どうして?

簡単なことだ、僕の目から涙が出ているのだ。

サラは何度も頷くと僕を抱き締めてくれた。


「辛い役を全部背負ってくれて有難うございます。でも今は我慢しないでしっかり泣いてください。そんな辛そうに歯を食い縛っていないで下さい」


その母親のような優しい声を聞いた瞬間僕の何かが切れた。

僕はひたすらに涙を流し思いっきり泣いた。

今までの辛さに対し泣き喚いた。

他の者などお構い無しに。


「何で僕がエマさんを殺さなければいけなかったの?」

「何で僕が大勢と一人で戦わなければならなかったの?」

「何で僕が幼馴染と戦わなくてはならなかった?」

「何で僕が魔王という格上の者と戦わないといけなかったの?」

「何で僕が目の前で人が死ぬところを見ないといけなかったの?」

「何で僕が魔獣を殺さなければならなかったの?」

「何で僕が獣人と戦わなくてはならなかったの?」

「何で僕が異世界にとばされなければならなかったの?」

「何で僕が・・・・・こんな辛い思いをしなければならなかったの?」


そういった今までの何故が一気に溢れだした。

だがその何故をサラは全て受け止めてくれた。


「エマさんとゴブリンさん達を救ってあげるためです」

「王の子供達を救ってあげるためです」

「ユミさんを救ってあげるためです」

「魔王から皆を守ってくれたからです」

「シュルさん達を助けに行ってくれたからです」

「私との旅のためにお金を稼ごうとしてくれたからです」

「私とオイトさんを救ってくれるためです」

「私達を救ってくれるためです」

「それは・・・・・あなたが優しくて全てを救おうとしてくれるからです」


サラは優しくそう囁いてくれた。


「どうすればもう辛い思いをしなくてすむ?」


サラは少し考えると答えてくれた。


「・・・・・もっと強くなるとか?    あとは・・・・・」


その後の言葉は僕には届いていなかった。

強くなる。

もっと強くなる?

そうすれば誰も傷つかないし、僕も辛い思いをしなくてむの?

もっともっともっと強くなれば、僕は幸せになれる?


『もっと強くなる』


僕の頭の中はその言葉で埋め尽くされた。


「・・・・・リユイさん?」


気がつくとサラが心配そうに僕を見ていた。

他の者達も皆僕を見て不安がっている。

中には怯えている者もいた。

何故だ?


「大丈夫」


ユミが駆け寄ってきて心配そうに見てくる。


「う、うん。どうしたの皆?」


サラが何かを言いかけたがユミがそれを遮った。


「そう。それならいいわ」

「?」


何だったのだろうか今のは?


「り、リユイ。もういいか?」

「あ、うん。皆ごめんね。ちょっと疲れが溜まっていただけ。泣いてスッキリできた」

「お、おう。それじゃあ一通り落ち着いたから話を始めるぞ」


アレンの言葉により会議は始まった。


「まずことの始まりである戦争を起こした理由だがこれは何故起こしたのか王の子供達も覚えていない。そうか?」

「そういう感じです」

「そうなのかも」

「おぉよ」

「そうね」

「はい」


皆それぞれにアレンの言葉に同意する。


「やっぱり心操魔動機械で操られていたってことか。じゃあ次、今後どうするかだ」


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