第四十九話 リユイvsオーガ族の王の子
ユミは急いで背中にサラを乗せると〈化皮〉を解除し、空へと舞い戻った。
すぐ下では魔法により大爆発が起きていた。
周りを見渡すと複数のウィズ族がユミへ新たに魔法を放とうとしていた。
「ユミさん!」
『大丈夫、ドラゴンには魔法は効かないのよ』
だが、ユミの心は不安でいっぱいだった。
それは先に下ろしてきたアレン達と一人で戦いに行ったリユイのことだ。
そう思うとすぐさまアレンの所へ戻ろうと決めた。
『アレン達の所へ戻ろう』
「はい!」
アレンの所へ戻ろうと飛び始めたユミ達であったがウィズ族達の魔法が邪魔で思うように進めない。
イラついたユミは一暴れし、ウィズ族の城を崩壊させアレンの所へ向かった。
ユミ達が罠に気付いた頃、アレン達はオーガ族とオーク族との戦闘を行っていた。
だが、片手での戦闘に慣れていないアレンにとってこの戦いは非常につらいものであった。
オーガの馬鹿力を何とか流し斬りつけていくも疲労は着実に溜まっていっていた。
「アレン殿、危ない!」
ソレイのとっさの掛け声によりすぐさま横へ回避するがオークの槍は肩へ突き刺さって閉った。
「グガッ!く、クソ」
すぐさまソレイが〈神速〉の効果を限界まで使用し駆け寄ると、アレンの肩に突き刺さった槍を折った。
「ゴブン殿、アレン殿のことを頼む」
「了解でヤンス」
「すまない、ゴブン、ソレイ」
先ほどまでオークの突進攻撃を受け止めていたゴブンはソレイの指示に従いアレンを守るように戦う。
ソレイもゴブンと共にアレンに近づくオーガとオークを殺していくが奴らは無限にここへ登ってくる。
そしてソレイやゴブンも徐々に疲労がたまってゆく。
まさに絶体絶命だった。
だがその時。
空に一筋の光の球が物凄い勢いで来たかと思うと周りのオーガとオークは炎により駆逐された。
『みんな、急いで乗って!』
「すまない、助かった」
「アレン殿が怪我をしているでヤンス」
「分かりました。アレンさん、傷見して下さい・・・・・ヒール」
こうしてユミ達とアレンは合流しリユイの所へ飛んで行ったのだった。
「さすがドラゴンを倒した者ですね。やはり私達が直々に相手をした方がいいって感じですね」
「お姉さま、少しはお身体を気遣って下さった方がいいかもなの」
「ですがここで無理をしなければ・・・ゴフッ・・・そ、そうですね少しは気遣った方がいいって感じですね」
フードで顔を隠し、ローブを着ているため皮膚は一切見えないが声から女性と分かるウィズ族の二人が僕の前に現れた。
だがその二人の身長差は大きい。
片方は小学生並みに小さい。
勿論大きい方がお姉さまだ。
吐血したけど大丈夫だろうか。
恐らくこの二人がウィズ族の王の子だろう。
「こいつぁたまげた。おめぇどんな身体してんだ。だが俺様にかかりゃあ大したことねぇがな」
「ホントホント。すごいねあんた。ま、あたしと兄ちゃんにかかればこんな奴大したことないけどね」
こっちはオーガ族の兄妹。
兄のは方は金砕棒の心映武器、妹の方は魔法ハンマーの心映武器をそれぞれ出現させている。
兄の外見は短くそろえた赤い髪を逆立てており二本の角を生やしている、着物のような物を着ている筋骨隆々な男だ。
妹の外見は長くて赤い髪を背中で束ねており一本の角を持っている、兄と同じく着物を着ており綺麗な筋肉の女性だ。
「我が配下よ、いったん下がれ。ここは我々が他の所属の盾となる方が賢明。このような化け物は我々の火力では勝てない」
最後にオーク族。
こいつは一人っ子か。
オークと言うから思いっきり豚だと思ったらそうでもなく、すらっとした人間の体に細い豚の顔がくっついている感じだ。
意外とイケメンなのが驚きである。
装備は重装備。
で、心映武器は槍。
全員のスキルは分かるか?
《解析完了。
同魔気なのでコピーは出来ませんでした。
ウィズ族の大きい方は〈魔法消去〉〈魔法威力増加〉です。
〈魔法消去〉は敵の放った魔法を消すスキルです。
〈魔法威力増加〉は味方の魔法の威力を上げるスキルです。
小さい方は〈魔法威力増加〉だけです。
オーガの兄の方は〈怪力〉〈破壊〉です。
〈怪力〉は筋力を上げるスキルです。
〈破壊〉は心映武器で触れた物を壊すことができるスキルです。
破壊するかしないかは任意でできます。
妹の方は〈怪力〉〈炎鎧〉です。
〈炎鎧〉は業火を体に纏わせることで身を守るスキルです。
オーガは〈暴食〉〈覇気対抗〉です。
〈暴食〉はなんでも食べられるようになりそして食べると体力、魔力が回復するスキルです。
〈覇気対抗〉は敵の覇気の効果を抑えるスキルです》
解説ありがとう。
「フッ。これは都合がいいや、君たちが自分から来てくれるなんて。本当はあまり傷つけないよう本気でやるつもりは無かったんだけど・・・・・さっきのでちょっと頭にきたから本気で行くね」
僕はそう言いニヤリと笑うと〈神速〉を使い走り出した。
幸いにもたまたま戦闘不能になっていなかった周りの雑魚達は何もしてこないので無視していいだろう。
「ハァッ、ほざけ。さんざんやられていたくせに」
反った剣を持ち走ってくる亜人に向かい俺様は金砕棒を構え走る。
亜人が間合いに入った瞬間思いっきり金砕を振る。
綺麗に振りが決まった。
だがぁ亜人に当たった感触は無い。
目の前にも亜人はぁいない。
一体どうなてぇらあ。
「どこ見ている。こっちだよ」
そう武器から声が聞こえた瞬間俺様の意識は闇に沈んだ。
あ、ありえねいよ。
なんとあの亜人は兄ちゃんの振った金砕棒の上に乗り、兄ちゃんが亜人を見失っている間に思いっきり沿った剣で兄ちゃんの頭を思いっきし叩いて気絶させちまった。
ハッ、びっくらこいている場合じゃねえ。
急いで魔法ハンマーを構え、亜人を見る。
が、もういなかった。
急いで〈炎鎧〉を発動させ何処からか近づいてきているだろう亜人を近づけさせないようにする。
「チッ」
真後ろで亜人の舌打ちが聞こえた。
お、恐ろしい。
だがこれで亜人があたしの間合いに入ってこられないことが分かった。
後はこっちが攻めていき亜人を逃げ回らせ疲れたところを殺すのみ。
あたしはそう思い心映武器であるハンマーを肩に担ぎ亜人へと攻めに行く。
だが目の前の亜人は逃げない。
それどころか先ほど枯れ切ったはずの魔力と体力が完全に回復し、反った剣は大剣へと姿を変えその大剣には光の魔法が纏わされていた。
何故?
何故亜人の魔力や体力が回復したんだ?
そしてなぜあたしのことを回避しようとしないの?
けどもう亜人との距離はあまりない。
それに〈怪力〉を持たない亜人の筋肉では大剣を自由に操ることは出来ない。
それに比べ私は〈怪力〉を使えるのだから攻撃のスピードはあたしの勝ち。
そう思い間合いに入った亜人に思いっきりハンマーを振る。
だが亜人はあたしと同じ、いや、私よりも後から大剣を振っているが間に合っているところを見るとあたしよりも大剣を振るうスピードが速い。
これは一体どうなってんだ?
それになぜ先ほどは私の間合いに入っただけでも〈炎鎧〉に怯んでいたのに今は効かない?
確かに同じスキルを持つ者ならばこのスキルは効かないがあの亜人は持っていないはず。
一体・・・・・?
だがあたしはそんな思考を止めすぐにハンマーを振るい直すが大剣で弾き返される。
それを何回か続け・・・・・突然亜人が消えた。
否、消えたわけではなく地面すれすれまで身をかがめたのだ。
あたしは思いっきりハンマーを空振りし、大きな隙を作ってしまった。
その隙を亜人が見逃すはずもなくあたしの意識は闇に沈んだ。




