第四十三話 操られし者との闘い その直前とその後
闘いは始まった。
最初にソレイが女に斬りかかる。
だが簡単に回避され蹴られる。
ソレイは数m先へ飛ばされた。
だがすかさずゴブンが女を殴るが女はゴブンの拳に鉤爪を突き刺しそこを支点に飛ぶ。
そして足でゴブンの首を絞め鉤爪で頭を刺そうとする。
だが戻ってきたソレイの攻撃が来たのでゴブンの頭を一蹴りし地面へと逃げ回避する。
そこへサラが光の魔法を宿した魔法剣で斬りつける。
だが女に簡単に受け止められ飽いている右手の鉤爪で攻撃を喰らいそうになる。
だがこれをサラは狙っていた。
自分へと迫り来る女の右腕に左手の袖に忍ばせた小型ナイフを数本投げつける。
そして小型ナイフが女の右腕に綺麗に一列に突き刺さる。
メイド術の一つである一列瞬射ナイフ投げである。
そして女の右腕がサラの胸元で止まる。
刺さった箇所の筋肉が一時的に動かなくなる毒を塗ってあったのだ。
驚く女の首にサラは魔法剣を当てる。
「ハアハア、も 、もう止めてください。これ以上やっても無意味でしょう?」
ソレイと拳を抑えるゴブンが女を囲む。
だが女はニヤリと笑う。
不思議に思うサラ。
瞬間、サラの魔力が暴走しだした。
あの時・・・サラと女が初めて出会った時のように。
なぜと思うがふと気がつきペンダントを確認する。
砕けていた。
浅はかだった。
このペンダントはこの女からもらったもの。
ならばこの女はペンダントが無くなれば私が魔法を制御しきれないことを知っている。
そうサラが思ったときにはもう遅くサラから三属性の魔力が爆発的に放たれたのだった。
こうしてサラとソレイとゴブンは必死に闘うもユミに勝つことは出来なかった。
だがそこにリユイが表れたのだった。
そして今度は操られしユミがドラゴンとなり真の姿を表した頃。
戦争は突然のドラゴンの出現により一時中断された。
ユミのような大型のドラゴンはいくら魔素が上昇しており多大な軍を持とうとも勝てない。
ならばおとなしくしておりドラゴンに気づかれないのが一番であるため戦争は中断された。
そして各国の偵察員はドラゴンとリユイの闘いを調査し始めていた。
リユイがドラゴンに勝ったのを見た調査員達は異常なほどの強さを持つ亜人がいるとそれぞれ報告。
それにより戦争は一時停戦、そして各国はドラゴンキラーである亜人を討伐することになったのであった。
一方病室ではアレンが目を覚ましていた。
アレンは自分の体が動くことを確認するべくベッドから体を起こす。
だがふと違和感に気づいた。
恐る恐る左手を動かそうとするが、感覚が返ってくることはなかった。
右手は動く。
右手で左手があるだろう場所を触る。
無かった。
左手が無くなっていた。
その事実に気づいたときアレンは絶望し叫んだ。
その叫び声は遠くにまで響き渡り、中央カマクラ山の麓にいるソレイにまで届き眠りから覚まさせた。
ソレイは完全回復している体を見てホッとする。
辺りを見渡すと既に日が登り始めていた。
少し残る体のだるさで起きる気が出ない。
だがすぐさま体を起こす。
意識が途切れる前にリユイがあの女の所へ行ったのを思い出したからだ。
隣で意識を失っているサラを前足で揺すり目覚めさせる。
サラは自分の身に起こったことに理解できておらず辺りを見渡していた。
「サラ、リユイ様があの女の所へ行ってしまいました」
「え?」
「止めることが出来ませんでした!」
そう言うとソレイは静かに目から涙を流す。
だがそれを聞いたサラはソレイの涙を拭い、力強く言った。
「リユイさんならあの女に勝てます!だから私達はゴブリンさん達と共にリユイさんの帰りを待ちましょう」
サラは立ち上がり未だに気を失っているゴブリン達を起こしていった。
全員を起こし終えたサラとソレイは王都で食材を買って帰ってくると、リユイがやっていたと言う炊き出しというものを山小屋でやっていた。
だが飯を食べる皆の顔は明るくなかった。
一向に帰らないリユイに対し皆不安なのだった。
飯を食べ終えるとサラは王都へ行きアレンに会いに行った。
病室のドアを開けるとアレンが立ち上がっていることに気づく。
「アレン!」
サラはすぐさま駆け寄った。
「サラ・・・・・心配かけたな」
そう言うとアレンはサラの頭をがしがしと撫でた。
嫌がるサラであったがアレンの左腕を見ると大人しくなった。
「あん?どうした」
「ごめんなさい!私がもっとしっかり戦えていれば」
そう、アレンが左腕を無くしそのまま昏睡状態にまで陥らせた攻撃を喰らう羽目になったのはサラを庇ったためであった。
「・・・俺は大丈夫だ。こんなのたいしたことない。剣を振るのなんて右手で十分」
アレンがそう強がるがサラは何度も首を振り俯く。
「ごめんなさい」
「おい!」
「ふえ?」
アレンはサラの頬っぺたを掴み上を向かせる。
「リユイの奴は何処だ? 謝るならお前じゃなくて勝手に山へ行ったあいつだろ」
そう言うとサラの頬っぺたから手を離す。
「リユイを迎えに行こうぜ!」
そう言い病室から出ていくアレンを呆気にとられながら見ているサラはしばらくするとハッとし、アレンの後を追いかけるのであった。




