第三十八話 再開?
今度目を開けた時、視界は良好だった。
ここは確かカマクラ国軍病院だ。
まさか死に戻り?
なんてな。
んなわけない。
横にサラもソレイもいないからな。
どうやら僕は仲間に助けてもらったようだ。
にしても戦えなくなっていたのは夢の中で出てきた『俺』とかいうやつのせいだったのか?
よく分からない。
試しに刀の心映武器を出してみる。
手にしっかりと重みを感じる。
だがその手は震えておらずしっかりと刀を握っている。
刀を消失し、次に光の矢を一本だけ出してみる。
出来た。
あ、これ普通にいっぱい出すよりも一本だけ出す方が魔力使うな。
すぐに光の矢を消す。
世界説明、今使用できるスキルを頼む。
《了解。今使用できるスキルは〈夜快目〉〈爪吸〉〈神速〉〈打撃緩和〉〈衝撃緩和〉〈斬撃緩和〉〈超脚力〉〈超腕力〉〈超感覚〉〈目視模倣〉〈世界説明〉〈影撃〉〈衝撃増加〉〈料理人〉〈家事達人〉〈思考共有〉〈皮膚鋼化〉〈空間操作〉〈限界突破〉どれも通常通り使用できます》
おっふ。
いやいやそうじゃない。
ちょっと使えるスキルが多すぎて思わずびっくりしてしまったがそうじゃない。
ちゃんと全部使えるようになっている。
それに新しく〈超腕力〉ってのがあるし。
《〈超腕力〉は例の者との戦闘でコピーしました》
いつの間に。
それにしても多すぎるだろ。
少し技術合成で整理するか。
おすすめある?
《〈打撃緩和〉〈衝撃緩和〉〈斬撃緩和〉を合成すると〈物理攻撃緩和〉ができます。〈超感覚〉と〈皮膚鋼化〉と〈超脚力〉と〈超腕力〉を合成すると〈超身体〉ができます》
じゃあその二つで。
因みにその〈超身体〉はどんな効果?
《基本的に今までのそれぞれの効果は変わらず、それに加えスタミナが減りづらくなり回復力が高まります》
スタミナが減りづらくなるのはいいね。
僕にぴったりだ。
回復力は具体的にどれぐらい高くなるの?
《吹っ飛んでいった腕がくっつく程度には》
それ相当じゃん。
《普通の傷もすぐに塞がります》
いいね。
これでスキルは安心だ。
それにしてもあの夢は不思議だ。
よくわからない。
結局『俺』と名乗る奴は何をしたかったんだ?
気持ちを整理させたいな。
ちょっと風にでも当たりにいくか。
ベッドから降り横に置いてあった机に自分の服が置いてあることに気付いた。
すぐに着替えたが、あることが分かった。
これは死んでもおかしくない、と。
腹の部分の布が丸丸なくなっていた。
いま修復しており五分程度でもとに戻るだろうが。
死んでいたのかもな。
《はい。あとマスターが生き返られる回数は八回です》
そうか。
またか。
また死んだのか。
てことはあれから三日たっているのか。
落ち込んでいても何も起こらない。
とりあえず風に当たれる所・・・・・屋上にでも行くか。
あるか知らないが。
あった。
いや~風が気持ちいい。
と言いたいところだが全然風が吹いていない。
とりあえず景色でも眺めるか。
意外とこの王都デカい。
多分東聖国以上はある。
見渡していくと今度は中央カマクラ山が見えた。
あれ?
狼煙だ。
・・・・・ってやばいじゃん。
僕は急いで〈超身体化〉と〈神速〉と〈夜快目〉を発動させ狼煙の場所へと走りだした。
狼煙の近くに来ると何やら焦げている臭いがしてきた。
そしてさらに近づくと今度は暖かく、いや、熱くなってきた。
そして辺りは真っ赤。
火事だ。
狼煙の周りの木が燃えている。
何があったんだ?
辺りを見渡すと血だらけのゴブンが横たわっていた。
「大丈夫か!」
急いで駆け寄り傷の具合を確認する。
時間経過完全回復で何とか間に合う傷だ。
すぐに魔法をかける。
「マ、マスター。す、みません」
「何があったんだ?」
「あの女が・・・・・」
ゴブンはそう言いかけ意識を失った。
クソ。
例の奴か?
なぜあいつは必要にゴブリン達を殺そうとするんだ?
いや、今はそんな事を考えている場合じゃない。
すぐに周りを見渡す。
すると大勢のゴブリン達が倒れていることに気付いた。
全員このままでは死んでしまうだろうが時間経過完全回復を掛ければ間に合う。
僕は急いで魔法をかけ始めた。
掛け終えた。
魔力はほとんど余裕がないが少しぐらいなら光の矢を放てる程度はある。
それにしてもすごい炎だ。
どうにかして消さないと山が丸焦げだぞ。
どうすれば?
《解析完了。これは魔法による発火が原因。この魔法を発動させたのはサラ》
そんな事が分かるのか。
いや、待て。
今なんて言った?
誰がやったって?
《サラです》
何故?
《不明》
もしかして炎の魔法でゴブリン達を敵だと思い殺そうとしたのか?
いや、いくら何でもゴブリン相手に魔法は使わないだろ。
いや、でもここにはホブゴブリンであるゴブンがいた。
そうなると話は変わってくるんじゃないか?
今サラが持っている中で一番攻撃力がある魔法は炎だ。
でもだからと言って炎で攻撃しなくても光の矢でゴブンぐらいなら何とかなるんじゃないか?
だめだ。
分からない。
ひとまずサラを探そう。
三十分経った。
まだ見つからない。
火の勢いも増してきて本格的にやばくなってきた。
一応ゴブンとゴブリン達は山のふもとに転移させた。
でもサラは見当たらない。
〈超身体〉で嗅覚、聴覚、視覚が鋭くなっているが見当たらない。
うん?
まて、この匂いは・・・・・サラの血?
急いで臭いの元へと走り出す。
すぐにたどり着いた。
サラが血だらけになり倒れている。
すぐに時間経過完全回復を掛ける。
意識は無い。
恐らく死にはしないと思う。
サラをお姫様抱っこした瞬間背後から殺気を感じた。
反射的に振り返るとソレイが倒れながらも前足だけでこちらに近づこうとしていた。
ソレイは僕の顔を見ると殺気を緩め、近づくのをやめた。
サラを抱っこしたまま急いでソレイに近づき時間経過完全回復をかける。
「・・・・・リユイ様」
「ソレイ・・・・・何があったんだ?」
「例の転生者が私達とゴブリン達とで話していた時に襲撃してきました」
やはりそうか。
「そいつは何処に行った?」
「あっちの方向です」
ソレイは山の頂上へ向かう道を指す。
「分かった。ソレイとサラは僕が今〈空間操作〉でゴブリン達のいる所に転移させるから」
「リユイ様は?」
「僕は・・・・・行くよ」
「リユイ様!おやめください!これはもうリユイ様が何とかできるようなことではないのです!アレン様だって・・・・・」
「アレンがどうしたんだ?」
「・・・・・意識不明の重傷でまだ目を覚ましていません」
「・・・・・ならなおさらだ。敵を取りに行く」
僕はソレイの言葉を待たずにソレイとサラを転移させた。
中央カマクラ山。
それはかつてこの世界で一番力を持った帝国を滅ぼした魔王の住んでいた城を隠すため、魔王が造った山であった。
それ故にこの山は魔素を他の地より多く纏っていた。
魔王がこの地を去った後、魔人達は魔素の多い地を望むがゆえに多くの魔人がこの山に集まった。
だが半年前、魔人達はこの山を次々に降りていった。
なぜか?
それは最凶の魔王の配下であるドラゴンがこの山に住み着き暴れたからである。
だがそのドラゴンの姿を見た者は誰もいない。
なぜか?
それはそのドラゴンが姿を見た者を全員殺していたからである。
頂上に着いた。
辺りは物音一つせず静まりかえっている。
だが明らかに普段の山と違うとこは肌をひりつかせるほどの魔気を感じると言うところだ。
音はしない。
だが背後に何かが近づいてきている感じがする。
瞬時に背後を見る。
いた。
だが顔はいくら〈夜快目〉で見ていようと見えなかった。
瞬間、遠くにいたはずの奴がすぐ近くにきた。
なぜか攻撃するのでもなくただただ僕の前にいる。
なぜ何もしてこない?
そこで月を隠していた雲が動き半月がこの場を照らした。
そして奴の顔が見えた。
結美だった。




