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廻る乖離転生  作者: 朔
第四章 魔人三種族戦争編
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第三十五話 ゴブリンの村

ゴブリン達が逃げ、隠れ住んでいる所は中央カマクラ山の奥深く、人など一切来ないような洞窟だった。

多くのゴブリン達が怪我や飢えで苦しんでおりあまり目を向けたくなかった。

逆にゴブリン達は僕を見て恐れている。

あ・・・・魔気を抑え忘れていた。

ただでさえ見たことのないような者が来ていると言うのにその者が物凄い殺気を放っていたらそれは怖いだろう。

済まない済まない、今抑えるよ。

ゴブリン達の目線が少し緩まったように心なしか感じた。

先ほどのゴブリン(面倒だからゴブンと名付けよう)に案内してもらい村長の所に着いた。


「村長!お連れいたしましたでヤンス!」

「うむ。ご苦労。休んでいろ」

「は!」


ゴブンは村長の横にある椅子に座った。


「馬鹿もん!それは儂の椅子だ。儂はお前に家族のもとに速く戻れと言う意味で言ったんだ!」

「へ、へい」


ゴブンは急いで立ち上がり来た道を戻っていった。

あいつ家族がいるんだ。


「オホン。済まないな、わざわざ来ていただいたと言うのに」

「いえ」


ゴブリン村長は先ほどゴブンが座ってしまった椅子に座った。


「話は奴から聞いていると思うが、今我々は強族たちの戦争に巻き込まれ命辛々ここに逃げ伸びている。だがそれも時間の問題、のちにこの山、いや山を越えた人の国にも影響を与えるだろう」

「そんな重大なことになっているのか?」

「うむ。魔王はそれぞれの種族の中で一番強き者に力を与えた。故に力の衝突は激しい」


これは関係ないって言っている場合じゃ本格的に無くなってきたな。

このことは滝沢、いやカマクラ国王に知らせ援軍を出してもらった方がいいだろうか。


「どうかあの者達を殺し我ら魔人の暮らすこの森を救ってくれ」


・・・・・なんだかな。

この村長さんは僕に似ている。

お互い一番楽な方へ行こうとする。

僕は自分の気持ちを楽にするため友を殴り、

村長さんは力を得て狂ってしまった者達を殺して終わらせると言う楽をしようとする。

お互い、もう相手の気持ちを考えられなくなっているんだ。

僕は駄目だった。でも、村長さんやゴブンには駄目になってほしくない。


「それは出来ない」

「え・・・・・そ、そんな!」

「僕はあなた達と暴走した者達の両方を救わせてもらう」

「・・・・・」


あれ?

なんかすごく静か。

かっこよくどっちも救う宣言したのに?

ここはお願いしますってなるとこじゃない?


「・・・・・それは無理ですな」

「なぜ?」

「あんなに親しかった我らをこんなにも追いやるなんてありえないのです。でもあり得ている。それはつまり完璧に彼らはもう・・・・・」


え、もしかして、いや、待てよ。


「それは普通の兵もか?」

「普通の兵に決まっているでしょう?あの子供達を可愛がって遊んでくれていた者達が今となっては顔色一つ変えず無表情で子供達を殺すのです。もう彼らは殺すしか救う方法がないのです」


それは、つまり、全ての兵に魔動機械をつけられているってことか?

なんだか先行きが危うくなってきた。

これは、すごく面倒なことになったかもしれない。



ひとまず宿に戻ることにした。

自分一人では恐らく何もできないだろう。

起きた時の不思議な感覚も消えており今は落ち着いている。


「それじゃあ一旦僕は仲間に事情を説明しに戻ります。何かあったら狼煙を上げて僕に知らせてくれ」

「分かった。ですが恐らく襲われることは無いだろう。私達の心配はいい」

「そうですか? けど万が一、があるかもしれません。その時はすぐに狼煙を」

「分かった」


ゴブリン村長は僕に礼をしてゴブンに帰り道の案内をさせるように言う。

ゴブンは合点承知でヤンスと言い僕の案内を開始し始めた。

洞窟の外へ歩く途中子供達の鳴き声や痛みをこらえるうめき声が戦争の残酷さを物語っていた。

我慢できなかった。

少しでも楽になってもらいたい。

そこで一つの案が思い浮かんだ。



「は~い、順番に並んでくださーい」


僕は今、空間操作でオイトさんの家の冷蔵庫の中にある半分の食材を盗って炊き出しをしている。

サラからコピーしたスキル〈料理人〉により食事のうまさはサラと同じくらいだ。


「うわ、なんか色やばいでヤンス」


訂正しよう、見た目以外は問題ない。

おかしいな?

前はこんなに下手ではなかったのだが?


《推測:スキルが何らかの影響を受けており正しく作動していないのかと》


そんな事があるのか。

それにしても何らかの影響ってなんだ?


《外側からの影響はないためマスター自身がスキルに影響を与えているのかと》


もしかして戦闘スキル以外のスキルも少し影響を受けているのか?


《その可能性が高いかと》


そうか。

参ったな。

どうにかして戦えるように戻らないと。

それにしても子供達がおいしそうに飯を食べている姿は何というか嬉しいな。

最初渡したときはなにこれキモって顔されたけど食べてびっくり思わずにやけていた。

後は怪我人の手当てか。

これは時間経過完全回復を掛ければいいかな。



なんだかんだやっていたら昼になってしまった。

炊き出しが少し余ったのでそれを昼食にでもするか。

少し冷めているが問題ない。

腰を下ろして子供達が遊んでいる近くで飯を食べる。

うん、見た目はアウトだけど味は良し。

にしてもこうして子供達が遊ぶ姿を見るとゴブリンと人間って対して変わらないように思うな。

改めてやはり人間と魔人は協力しあえるのではないかと思う。

大本の心は同じなのだ。

話し合えばきっと分かりあえる。


「どうしたでヤンスか?」

「いや、こうしてみると人間とゴブリンは肌の色や背の高さ以外変わらなく見えるのに何でこんなにも対立しているのかなって」


ゴブンは考えた様子で上を見上げた。


「それは魔人が人に害を与えるからでヤンスよ」

「何で害を与えるんだ?」

「魔人が生きていること自体が害になるんでヤンス」

「どういうことだよそ「ギャアアアア」」


それ、と言いかけた僕の言葉は突然の悲鳴に遮られた。

急いで洞窟の外に出るとそこには顔をフードで、身体をマントで隠し皮膚を一切見せない恐ろしいほどの魔気を纏った者が一人のゴブリン兵の心臓を握り潰していた。


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