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廻る乖離転生  作者: 朔
第三章 東聖国陥落編
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第二十八話 魔王との死闘開幕

僕は魔王に近づくのは危険だと判断し距離を置いて先ほどから聖なる矢だけで攻撃をしている。

けれど全く相手に当たらず避けられてしまう。

自分よりも確実にレベルが高い。

絶対にSランクだ。

よって鑑定さえできない。

つまり相手の手の内が見えないのだ。

何かスキルを使わせる方法は無いだろうか?


《接近戦に持ち込むしか方法が無いかと》


一かばちかで行ってみるか?


《危険です》


ですよね。


「俺はお前の魔法が見たいのではない。お前からかかってこないのならこっちから行くぞ」


魔王はそう言い消えた。

そう、文字通り消えたのである。

そう思った瞬間、背中を斬られた。

〈斬撃緩和〉や〈皮膚鋼化〉をしていたのに、だ。


「グッ」


確実に致命傷。

だが時間経過完全回復をかけておけば命だけは助かるかもしれない。


「ほう。死ななかったか。やはり見込んだ通りだ。それにしても時間経過完全回復なんて変な魔法を持っているな。初めて見た。まあ要するに十分以内に殺せばいいのだろう?」


マズイな、この魔法を知られている。

それにしても今のは何だったのだろう?


《恐らくスキルにより何らかの短距離転移をした模様》


転移か。


《はい。ですが何かしらの条件のある短距離転移かと》


条件?


《短距離転移の様子を見ればコピーできますので次で必ず見切ってください》


無茶な。

まあ仕方ない。

確かに次で見切れなかったら死ぬだろうな。

ここで死ねわけにはいかない。

落ち着け。

こんな時はどうすればいいんだっけ?


~~~~


僕は結美に向け木刀を構えている。


「隆」

「なに結美?」

「絶対に勝てないと思っている相手にも必ず弱点がある。馬鹿みたいに鋭いあなたの観察眼なら気づけるはずよ」


僕は先ほどから結美に殺し合いだと思ってかかってこいと言われ試合をしている。

試合と言っても殺し合いに近づけるために何も着ていない。

はっきり言ってとても危険だ。

大人に見つかったら怒られるだろう。

けど結美はそうでもして僕に強くなってもらいたいと思っていることも知っている。

だが一回も攻撃を当てられていなかった。

そんな僕に結美は諭すように教えてくれる。


「分かった」


僕はそう答えもう一度木刀を構え直す。

結美の構えは幼い頃からずっと剣道を習っていただけあってとても綺麗で隙が無い。

本当に癖などあるのだろうか?

いや、無いなら作るしかないか。

左から横薙ぎの胴を入れる。

結美が面を打ちこんできた。

すぐに打ち込むのを止め結美の攻撃を流す。

そして流すのを途中でやめそのまま結美の木刀ごと打ち込む。

身体を少し反らすだけで避けられてしまう。

更にそこに鋭い突きが僕を追いかけてくる。

すぐさま体を反らし避けると後ろへ一旦引く。

先ほどからなんとなくだが結美の打ち込みに何らかの違和感を感じる。

一体なんだ?

距離を置いた僕へ突進してくる結美を回避しながら打ち込みをしてくるように隙を作る。

後一回でも見えれば・・・・・。

ひたすら回避行動をとっているが先ほどからの疲れが出てきてしまった。

でもそれは向こうも同じらしくそれが勝利の鍵になった。

見えたのだ。

結美の攻撃が疲れからかスピードが遅くなってきていたのだ。

だからこそ見えた。

結美は一撃一撃入れる時に一旦攻撃する方向とは逆の方向にひく。

これはなかなか気づきづらい癖だ。

恐らく本人も気づいていない。

これで余裕を持って回避も出来るし、カウンターのタイミングも予測できる。


「はあああああ!」


僕は結美の癖によるロスタイムの瞬間に打ち込んだ。



「癖、見つけたんだ」


結美はもろにくらった腹を抑えながら寝転がっている。

僕もその横に寝転がる。


「うん。疲労で打ち込むスピードが遅くなるまで分からなかったけどね」

「やっぱりすごいなタカシは」


結美は上半身だけ起こしながら僕のことを見る。


「私はまだ君の癖に気付けなかった」

「・・・・・」

「これが才能の差、かな?」

「・・・・・」


結美はいつも僕との才能の差を感じた時こう言う。

結美は二歳の時から様々な武道をはじめそれで今やっとここまで強くなれた。

けど僕は違う。

わずか六か月、約半年で結美のレベルまで到達したのだ。

彼女はそのことを気に病んでいるのだと思う。

結美は少し微笑んだあと真剣な表情になり僕を見た。

「生き物なら必ず癖がある。それは生き物の弱点でもある。それを忘れないで」

僕は彼女の力強い目から目を逸らせなかった。


~~~~


癖。

そうだ癖!

癖は弱点だ。

先ほどの魔王の動きを思い出す。

確か消える直前で足を少し後ろへ引いていた気がする。

まだ一回しか見たことが無いからそうとは言い切れないが。

いや、でも聖なる矢を回避していた時にもそうしていたから癖で間違いないかも。

行動を起こす前に一度片方の足を退く。

これを注意して見ていこう。

魔王は今度、正面から斬りこんできた。

普通の斬りこみだ。

普通過ぎて違和感を覚えるが。

でもこれで確信できた。

行動を起こす前に一度片方の足を退く、は完全に癖だ。

魔王の斬撃はスピードこそあるが威力はさほど無いので何とか受け流せる。

だがなんだ、この違和感。

気になるが迫りくる魔王の斬撃の数々を流しまくるのに精一杯だった。

だが不思議なことに魔王は一向に僕へと攻撃をしてきていないように感じた。

むしろ僕が心映武器で身を守るのを狙っているかのような・・・・・?

それは突然だった。

急激な体のだるさ。

思わず転びそうになるが踏ん張り何とか立っている状態になった。

マズイ、魔力切れだ。

でも魔力は使ってないはずだが?


《恐らく魔王の心映武器には相手の魔力を取る効果があり心映武器が当たり合う時に魔力を吸い取られていたのでしょう》


なるほど。

とりあえず体制を立て直さなければ。

そう思い魔王を見る。

瞬間、魔王が消えた。

急いで待ちうる全ての力を使い、体を投げ出す。

だが魔王の癖を見ていなかった僕は反応が遅れていた。

背後に気配がするのと左肩に違和感を覚えるのは同じタイミングだった。

あの時の・・・・・つまり死ぬ時の恐怖がよみがえった。


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