第二十三話 小型ドラゴン討伐
小型ドラゴンがいた。
まだ僕たちに気づいておらずぐっすりと眠っている。
小型ドラゴンは基本的には対属性の魔法ならば効き、武器も急所に当たれば通すと聞く。
だがそれ以外の場所にはあまり攻撃が効かないそうだ。
「じゃあ一昨日と同じく僕は前衛で惹き付けながら攻撃するからソレイはサラにきそうな攻撃をそらしてサラは後衛でとにかく効きそうな魔法を放って」
「了解」
「任せてください」
僕は二人の承諾を確認すると頷きゆっくりとドラゴンを起こさないように歩き始めた。
ソレイは僕のすぐ横を歩いている。
サラはいつでも魔法を放てるように既に魔法剣を出現させ構えている。
僕はドラゴンのすぐそこまで来るとソレイに頷き合図を送る。
ソレイは僕の合図に頷くと僕の正面に来る。
丁度今僕とソレイはドラゴンの頭の両側にいる。
そして
「せーの」
その掛け声とともに薄目を開けた小型ドラゴンの左目を出現させた刀で突き刺す。
ソレイは出現させた爪で右目を突き刺す。
すると小型ドラゴンは咆哮をあげ暴れまわり始めた。
僕はすかさず小型ドラゴンの背に飛び乗り振り落とされないように双剣を出現させ背中に突き刺し掴まれるようにする。
だがその時問題が起きた。
ソレイが突き刺した爪が目に引っ掛かってしまったのだ。
小型ドラゴンは既に空へ舞ってしまっている。
今小型ドラゴンの翼を切り落としたらソレイは下敷きになってしまうだろう。
そして良くないことは続く。
この小型ドラゴンは闇属性だったらしく毒の魔法弾を放ち始めたのだ。
ソレイは必死に背中に乗ろうとするが引っ掛かった爪のせいで登れない。
僕も捕まっているのが必死で助け出すことはできない。
だが一つだけこの状況を乗り越えられる方法がわかった。
この小型ドラゴンの属性の闇。
ならば僕とサラの光属性は効くということだ。
聖なる矢を放ち当たった部位は吹き飛ぶ。
これで引っ掛かった部位を聖なる矢で射てば爪の引っ掛かりは何とかとれるだろう。
「ソレイ!こっちへ手を伸ばせ!」
ソレイは僕の言葉に頷き前足を伸ばしてくる。
僕は半身を乗り出し片手だけで双剣の片方を掴むと空いた手を精一杯ソレイの前足へ近づけた。
だがその時薄情にも爪の引っ掛かりが外れてしまった。
しかも真下にばらまかれた毒の魔法弾をくらってしまう。
しまった。
急いで僕は空へダイブし、ソレイを追う。
僕の方が体重が思いのでソレイにすぐに追い付いた。
ソレイを自分のほうに手繰り寄せ胸に抱き込む。
その時下ではシュルさん達が走って来ているのが見えた。
僕は急いで身を捻りドラゴンの方を向き刀の切っ先を向け、そして刀身を伸ばす。
刀の切っ先は暴れ狂う小型ドラゴンの腹に刺さりその瞬間抜けないように切っ先を小型ドラゴンの腹の中でまげ引っ掛かりを作った。
急に止まった落下の反動で大きく体が揺さぶられる。
「た、助かった」
下を見るともう飛び降りても怪我しない程度の高さだったことがわかり冷や汗が流れた。
刀から手を離し、地面に着地する。
胸の中にいるソレイを見てみるともう毒が周り始めているのかとてもつらそうに呻いていた。
「サラ急いで!」
「はい!」
サラの状態異常回復ならばこの毒も退くだろう。
「大丈夫か!」
シュル達が駆けつけてきた。
「今サラが魔法で毒を抜いています」
「そうか、それはよかった。でも小型ドラゴンを討伐することはできなかったけど命の方が重要だね」
僕はシュルの言葉に首を振り否定する。
「いえ、小型ドラゴン今からでも殺せますよ」
「え?」
指をパチンとならす。
すると遥か上空を暴れながらも飛んでいた小型ドラゴンの体からいくつもの武器の切っ先が飛び出てきていた。
小型ドラゴンの体に刺さっている双剣や刀の心映武器の形を変え、刃を幾つも増やした。
そうすることにより心映武器が小型ドラゴンの体を内側から皮膚を突き破り絶命させたのだ。
小型ドラゴンは空中で絶命し、落っこちてきた。
「す、凄い」
「素晴らしい!美しいうえにお強いとはまさに俺にふさグガァ」
「全くもうあんたは。にしても凄いね君」
「す、凄いでしゅ!ぅ~。凄いです」
シュルのパーティーの皆が褒めてくれた。
素直に嬉しいが今はそれどころではない。
「サラ、ソレイは」
「大丈夫です。もう毒は抜けました」
ソレイを見ると先程のつらそうな顔ではなくいつもの顔に戻っていた。
だが自分のミスを悔いて顔を歪ませていた。
「ソレイ、誰にでも失敗はある。今度から気をつければいいよ」
小型ドラゴン討伐後、僕達はそれを狩ったという証明のための魔石をドラゴンの頭から取り出している。
ソレイはその最中もずっといか耳で尻尾を垂らしている。
ソレイを励まそうとするがその言葉はソレイに届いていないようだった。
「なあ、ソレ・・・・・」
僕がソレイにまた励ましの言葉を言おうとした時、それは突然起こった。
様々なモンスターが突然ある方向の一点から逃げてきたのである。
そして僕達二つのパーティーを見つけるや否や逃げるのを止め逆にこちらへ襲い掛かってきた。
予想外の出来事だったがすぐに対応できたお蔭で襲ってきたモンスターの攻撃を辛くも避けそして刀を出現させ喉を斬りつけ襲ってきたモンスターを殺す。
ソレイも瞬く間に次々と迫りくるモンスターを狩っていく。
「リユイさん、これは一体?」
「僕も分からない。でも何かから逃げてきてこのモンスターがここまで来たということは確かだよ」
僕はそれだけ言うとシュルさん達の安否を確認しに行く。
僕達は何とか大丈夫だったが向こうはあの突然の襲撃に対応できていないかも知れない。
だが彼らもAランクパーティー。
それしきのことでは死なないだろう。
そう心のどこかで余裕があったのがいけなかった。
確かに彼らは突然の襲撃には対応できていた。
だが問題はその突然来た大量のモンスターに対し戦い勝つことができるかだった。
僕がシュルさん達の所へ着いた時、大勢のモンスターにかじられ悲鳴を上げるメアリーさんがいた。




