第二十二話 Aランクへ
僕達は朝食を済ますとギルドへ向かった。
今日もなんだか騒がしい。
聞き耳を立ててみるとどうやら冒険者達が一旦帰って来ているらしい。
と言うのも本格的に魔王への対策を組む会議がこの辺りで開かれるそうだ。
僕達にはあまり関係ないことなので僕はその人たちを無視し、クエストを確認しに行こうとした。
だがキャシャさんが手招きをしているのでそちらへ向かう。
一体なんだろうか?
まさか昨日のアレンとの決闘が問題になったのだろうか?
「リユイさん、一昨日Aランクのモンスターを狩ったと言うことでギルドの方から特例としてAランクのクエストをクリアできたらAランクになってもいいと言われました」
「ほう、それは都合がいい。ではその方向で」
「では既にAランクとなっているパーティーと共にAランクのクエストを行ってもらいます」
キャシャさんはそう言うなり立ち上がりギルドの部屋に響き渡る程の大声で呼びかけた。
「誰かレベルアップクエストのAランクに同行して下さるパーティーの方はいませんかー!」
ギルドの中は数秒間無音になる。
まるで時が止まったかのようだ。
だがそれも数秒後になると動き出しまた先ほどのうるささが戻ってくる。
「やはり今どのAランクパーティーも魔王対策にいっぱいいっぱいで同行してくれなさそうに無いですね」
「そうですか。まあ仕方ないことですよ。僕達はFランクでコツコツとやっていきます」
そう言いFランクのクエストを確認しに行こうとした時。
「あの」
一つのパーティーが声を掛けてきた。
男二人に女二人の合計四人のパーティーだった。
「私達でよろしければ喜んでお請けしますよ」
パーティーのリーダーらしき男が声を掛けてきた。
「リユイさんこの方々でいいですか」
「え、あ、はい。勿論。よろしくお願いします」
こうしてランクアップクエストは開始した。
ランクアップクエストの内容は小型ドラゴンの討伐だった。
特に決まった種類ではなくとにかく小型ドラゴンを狩ればいいそうだ。
その小型ドラゴンがいるだろう場所へ向かう中、僕達は自己紹介を始めた。
「僕はリユイです。分け合ってフードは外せませんが怪しいものではありません。よろしくお願いします」
「私の名前はサラです。よろしくお願いします」
僕達の自己紹介をしっかり聞いてくれた同行してくれているパーティーの皆さんはしっかりと僕達の自己紹介を聞いてくれた。
「こちらこそ宜しく。僕はこのパーティーのリーダーのシュルだ」
僕は握手を求めてくるシュルのそれに答え手を伸ばし握手する。
「俺はニックと言う。よろしければこれからもぜひ私達とご一緒してもらいたいと思うよ。君たちは実に美しい。良ければこの俺と・・・・・」
そう言いかけるニックの口をふさぐのはこのパーティーの女性の一人だった。
「ごめんなさいねこの馬鹿が。私の名前はメアリー。よろしくね。あ、あとこの馬鹿がなにかしてきたらすぐに私を呼んでね」
そして最後の一人、ずっとシュルの後ろにいる女性が口を開いた。
「えっと、わ、私の名前はエマです。よ、よろしくお願いしましゅ」
あ、噛んだ。
「ぅ~。よろしくお願いします」
恥ずかしながらも訂正するエマさん。
これで全員の自己紹介が・・・終わっていない。
だがはっきり言って喋ってしまって大丈夫だろうか?
だがこの人達なら喋らないと思う。
多分大丈夫だ。
ね、世界説明?
《大丈夫かと》
よし、大丈夫。
「それじゃあ行きましょうか」
「いや、ちょっと待ってください。実はあと一人います」
僕は背中のリュックを下ろすと口を開けた。
「リユイさんいいんですか?」
「こういう命に関わる仕事をしているんだ。仲間にはなるべく重要なことを言っておいた方がいよ」
「分かりました」
リュックの中を見ると少し寝ぼけた顔をしているソレイがいた。
だが今までの会話はしっかりと聞いていたようで目を覚まそうと頑張っている。
「ソレイはいい?」
「はい」
ソレイの肯定を受け僕はソレイの脇下を持ちリュックの中からだす。
するとソレイは手足をピンと伸ばし空中で伸びをした。
僕はソレイを地面に下ろすとシュルさん達に紹介する。
「この子が最後の僕達のパーティーメンバーです」
そう言うとシュルさん達は驚いた。
だがその四人の驚きはすぐに別の感情へと移っていた。
「「「「か、かわいい!」」」」
僕とサラは思いがけない返事が帰ってきてびっくりした。
だがこれで大丈夫そうとわかり少し安堵する。
ソレイはシュルにより抱えあげられ頭を撫でられる。
他の三人もすぐにソレイを囲み触れ可愛がる。
「や、止めろ~」
ソレイは四人に揉みくちゃにされながらも何だかんだといい嬉しそうだ。
だが流石にこれ以上続けていては小型ドラゴンの討伐が今日中に終わらなくなってしまうだろう。
「すみません、それぐらいで勘弁してあげてください」
「あ、ああすいません。ついつい可愛いものを見るとこうなってしまう性格で」
シュルさんの性格・・・・・。
シュルさんはソレイを地面におろし軽く謝った。
「この子の名前は何と言うのですか?」
「ソレイという」
僕にしただろう質問をソレイは自分で答えた。
恐らくソレイのプライドだろう。
他の者は自分で名乗っているのに自分だけ人に言って貰うのは嫌だという。
「獣人ですね?初めて見ました。どうぞよろしく」
ソレイは自分に差し出されたその手を見ると少し気分を良くしたのか一回頭を擦り付けてから前足をだした。
だがその行動は可愛いもの好きのシュルさんの前ではしてはいけない行為だった。
「か、可愛い!」
ソレイはあっという間にまたシュルさんの腕の中へ連れていかれた。
それはさておき僕達はその後順調に小型ドラゴンのいる山へとやってきた。
ここは魔王国とは真逆の位置にあるため襲撃の心配はないと思う。
「では僕達はここで見ているので何かあったら叫んでください」
「その時はこの俺が君たちかわいこちゃんを助けてあげるよ・・・って痛!」
「全くあんたは懲りないね。ごめんね。何かあったらこいつは縛って置いていくから安心してね」
「そ、そんな~。せっかく格好いい所を見せられるチャンスなのに~」
またしても変なことを言うニックの頭を叩き、僕達を安心させてくれるメアリーさんに感謝する。
「あ、あの。き、気をつけて下さい」
「はい、気をつけます」
エマの応援に僕はそう答えるとと小型ドラゴンがいるだろう場所へとサラとソレイとともに歩きだした。




