第十五話 初めての配下獲得
第二章 最終話
サラさんに獣人の皆さんを回復してもらった。
因みにサラさんは完全にはまだ魔力を制御しきれているわけではないがちょっとやそっとの心の乱れではもう魔力は暴走しなくなったそうだ。
これで親子に戻れるね。
サラが獲得した心映武器は魔法剣と言われる魔法の効果を刀身にまとわせる剣だそうだ。
今、サラさんとオイトさんは家に入って話し合っている。
さてとその間に僕はこいつらをどうにかするか。
目の前ではソウやソレイ以外の九十八人の獣人が狼の姿で震えていた。
「なんでここを攻めてきた?」
「お前に話すものか」
そう言うとソウは僕めがけて普通とは少し大きさや形の違う爪で斬りつけてきた。
ほう、まだ反抗的な態度をとるか。
僕は難なく避ける。
よくよくその爪を見てみると何かついていることが分かった。
あれはなんだ?
《予測:あの爪は心映武器ですが魔動機械がついています。それにより心を操作されているかと。
補足:魔動機械とは魔力を動力とした機械のこと。
推奨:心映武器についている魔動機械の破壊。》
なるほど、心を操作されているのね。
仕方ないから助けてあげよう。
また僕に攻撃してこようとするソウの爪の心映武器を刀で突きさす。
すると爪から小さい機械が壊れて落っこちてきた。
その瞬間ソウは動きを止め震え出した。
ついでに言うと尻尾も垂れ下がっている。
「こ、これは・・・いったい今まで私はなぜこんなことを・・・・・も、申し訳ございませんでした!」
そう言うとソウは床にペタッと伏せて目をつぶった。
すると他の獣人達も同じようにする。
なんか犬みたい。狼だけど。
あれ?ソレイはやらないけど・・・・・?
自我がないから?
「許す、とは言わないけど君が操られていたのは分かっている。だから特に罰は行わないであげるよ。でも僕以外の人にも謝るんだよ」
「本当によろしいのですか?私達はあなたがたに処刑されてもおかしくないのですよ」
「処刑するつもりだったらもうとっくに殺しているよ」
ソレイが申し訳なさそうに上目ずかいに見てくる。
「大変図々しいのですが、私達をあなた様の配下にしていただけないでしょうか」
え?そう来るとは思ってなかったんですけど。
《推奨:獣人族を支配下にする》
世界説明さんがそこまで言うなら仕方ないな。
「仕方ないな。いいよ配下にしてあげよう」
「本当ですか!」
そう言うとソウ達獣人族は目を輝かせて尻尾を振り始めた。
ソレイも心なしか顔が嬉しそうに見える。
「まあでも、君たちが襲った人全員にも謝って許してもらったらだけどね」
流石にこれは難しいのではないか?
だが獣人達はそんな注文に何とも思っていない様子だった。
まるでそれぐらい簡単だと言うような。
「かしこまりました。必ずや許してもらえるよう努力いたします。ところで失礼ながらあなた様のお名前をお聞きしてもよろしいでしょうか」
ああ、名前ね。
これって言っても問題ないよね?
《問題ないでしょう》
世界説明さんがそう言うなら大丈夫だね。
「僕の名前はリユイこれからよろしく」
「ははあ、リユイ様」
そう言うと獣人達は皆、伏せをした。
「そういえば君に力(名前)を与えたのはだれ?それとここを襲うように命令してきたのはだれ?」
「力(名前)を下さったのは魔王カゲイン。命令したのは・・・・・名前は知りませんが顔をフードで、身体をマントで隠した魔王カゲインの配下の者です」
魔王。
そいつが黒幕か。
こいつは少し厄介なことになったかも。
それと顔をフードで、身体をマントで隠した魔王カゲインの配下の者とかいうやつも気になるな。
サラさんとオイトさんは話し合いの結果お互いの気持ちが分かり今後どうするか決めたようだ。
さて、どうするのかな?
「リユイさん!」
なぜかサラさんは力のこもった声でそう言い僕の手を掴み、熱のこもった目を僕の目と合わせてくる。
「はい?」
僕は思わず少し引き気味になってそう言う。
サラさんはそんな僕の反応に構わず逆に近寄ってきた。
「私に広い世界を見せてください!」
なるほどオイトさんの考えに同意したか。
「私はお父さんと話してそうすることに決めました。だからリユイさんがいいなら私は世界を見て回りたいです!」
すごい勢いだな。
お蔭でのけぞってしまったよ。
そういえばオイトさんをお父さんと言うようになったのか。
よかった良かった。
「わ、分かったから落ち着いてね」
「本当ですか」
僕は顔を縦に振り肯定する。
「やったー!」
そのとたんサラさんは僕の手を放し、くるくると踊り始めた。
そこに突然声を掛けられた。
「ボクも一緒に連れていってくれませんか?」
声の主を見てみるとそこには先ほど戦った白銀の毛並みに目の青い猫型獣人のソレイがいた。
おそらくこの時が、彼が初めて自我を持った瞬間だろう。
「サラさんいいかな?」
「サラって呼び捨てでいいですよ。えっとその獣人を連れていくんですか?」
「サラがいいなら僕はいいと思っている」
僕の真剣な表情を見たサラはソレイの前に行き、彼と視線を合わせるためにしゃがむ。
しゃがんだらソレイの方が、背が高くなるんだけどね。
ソレイは家猫とライオンの中間ぐらいの大きさぐらいだ。
「いい子にできる?」
サラはそう言うとソレイは頷いた。
それを見たサラは笑顔になりソレイの頭を撫でた。
「リユイくんちょっといいかな?」
オイトさんが家の中からそう言ってきた。
僕は家の中へ入るとオイトさんは話始めた。
「助かった。君のおかげで私とサラは助かったし、お互いの気持ちも言い合えた。本当にありがとう」
オイトさんはそう言い何度も僕に頭を下げてお礼をしてくる。
「どういたしまして。頭を下げないでください」
そう言うとやっとオルトさんは頭を下げるのを止めた。
「そう言えば獣人達をどうするつもりですか?」
突然オイトさんは少し困ったような顔で聞いてきた。
「あなたの敷地や今まで迷惑をかけていた町周辺を守らせます」
「なに?そんなこと「落ち着いてください」むう」
怒鳴りそうになったオイトさんをなだめ、話を聞いてもらう。
「確かにオイトさん達にとって彼ら獣人にされたことを考えたらそうそう許せないでしょう。ですが彼らも私達と同じ魔王カゲインの被害者です」
オイトさんは何とも言えない表情で僕を見る。
「それじゃあ、オイトさんは獣人に何の利用価値も見いだせずに殺してしまうのですか?もったいないですね」
僕は悪い微笑みをうかべる。
「簡単に殺してしまう方が彼等にとって一番楽なことです。つまりオイトさんは彼等に楽をさせてしまうのですか?」
こうでも言わないと協力してくれないだろうから言っているだけですよ。
「なるほど」
オイトさんはそう言うと仕方ないといった表情になった。
「わざわざそこまで演技する必要はないよ。でもまあ分かった。獣人達を受け入れよう」
あら、ばれちゃっていたか。
まあでもこれで何とかいい方向にもっていけたのではなかろうか。
魔王カゲインの前には顔をフードで、身体をマントで隠した少女がいた。
「申し訳ございません。失敗しました」
意外だった。
今まで失敗のなかった彼女が初めて失敗したのだから。
だがこれで転生者が危険因子であることもわかった。
丁度いい。
東聖国との戦争に巻き込んで直々に戦うのも悪くない。
そう考えたカゲインは目の前の少女に命令を出した。
「奴は私が直々に戦う。東聖国との戦争を早めろ」
「了解した。だが本当によろしいのか?その転生者と戦って。逃したら厄介だぞ。何せ奴は一度見たスキルは覚えるのだから」
「なに見えればの話だろう。それに心配するな、殺せばいいだけなのだからな、ユミよ」
魔王カゲインはそう言うと高らかに笑い出した。
やっと退屈な日々が去る。
そう思うと魔王の笑いはなかなか止まらなかった。
第二章 終
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