第十四話 奇襲(後編)
「お前は・・・強さ・・・を、隠して・・・いると・・・思って・・・正解だった。
やはり強者に勝つためには・・・周りの者を・・・殺し・・・精神を・・・乱させなければな。
後は・・・頼んだぞ・・・我が子よ」
そう言うとソウは意識を失った。
気絶する前によく喋るなこいつと思うが今はそれどころじゃない。
嘘、だろ?
背後を見るとオルトさんが他の獣人とは少し違う猫型の者が超人化せずオイトさんの腹に爪を刺していた。
だがもっと最悪なことにそれをサラさが見ていたのだ。
サラさんが目を見開くと辺り一面に数多の火柱が立ち上った。
まずい力が暴走している。
物凄い魔力量と怖いぐらいの魔法の暴走度合。
とても危険だ。
サラさんの手から炎の光線が発射される。
少し大きい。
それ故に間違いなくオイトさんに当たってしまうだろう。
あの光線はスキルではないのでコピーして相殺することも出来ない。
一体どうすれば・・・・・。
《報告:ソウとの闘いによりマスターの名付けの時に得ていたスキルが使用可能になりました。
スキル名〈空間操作〉
推奨:〈空間操作〉を使用し無形武器を盾にし、オイトの前に出現》
そんな事ができるのか?
いや今はそんな事考えている場合じゃない。
言われた通り持っている刀を盾に変え〈空間操作〉にてオイトさんと猫型獣人との間の空間に盾を転移させる。
間一髪でオイトさんには魔法は当たらず、猫型の獣人のみサラの魔法が当たった。
間に合った。
だがオイトさんは腹を刺されている。
急いで手当てしないと。
《推奨:マスターが持っている魔法、時間経過完全回復をオイトにかける》
了解。
そう言えばその魔法どういう効果何だ?
《解説:十分経過で体力と魔力が完全回復します》
十分って、間に合うのか?
《間に合わないでしょう。ですがサラに任せれば大丈夫です》
え?
サラさんを見るとオイトに手を伸ばしていた。
するとサラさんの手が光始め一本の剣が現れる。
その剣からでる光がオイトさんの所へ行き、オルトさんを包む。
あれは一体?
《予測:私が〈思考共有〉を使用しサラの記憶にある獣人族が心映武器でオイトさんの妻を殺している記憶を思い出させ克服させたため、サラは心映武器に対する恐怖心を克服。
そしてサラは心映武器を獲得した模様。
それにより魔法をある程度制御出来るようになりました。
今オルトにかけているものは光の魔法にあるヒールかと》
お前そんな事できるのかよ。
まあ心映武器、出せるようになってよかった。
光魔法のヒールか・・・まてよ、サラは三属性持っているってことか。
まあでも確かにこれならオイトさんは十分は何とかもつかな。
それにしてもサラが魔法を制御出来るようになってくれて助かった。
よし、後は猫型の獣人だけだ。
僕はサラの魔法で吹っ飛ばされた猫型獣人の近くへ行きながら盾を回収し、小太刀にする。
《解析結果:個体名ソレイ。ユニーク個体。
所有スキル〈夜快目〉〈爪吸〉〈神速〉〈打撃緩和〉〈衝撃緩和〉〈斬撃緩和〉〈超脚力〉〈超感覚〉です。
なおこの獣人は人化や、超人化は出来ない模様》
多すぎだろスキル。
絶対Aランクだな。
にしても人化とかできないってもはや獣人族じゃなくないか?
《解説:〈爪吸〉は爪を刺している間その者の体力と魔力を吸収するスキルです。
〈神速〉は自分の最高速度を数倍上げることができます。
〈打撃緩和〉は打撃を〈衝撃緩和〉は衝撃を〈斬撃緩和〉は斬撃を緩和します。
〈超感覚〉は五感を通常の十倍感じられるようになります。
対象はAランクとあなたと同等のためスキルをコピーできませんでした》
何気なく僕の問いを無視する世界説明・・・。
まあいい、それよりもこいつ。
こいつはマズイのではないでしょうか?
《いえ、ソレイは自分の能力に気付いていませんので大丈夫でしょう》
どういうことだ?
《ソレイに自我が無い模様》
自我が・・・無い?
でも自分のスキルに気付いていないのは都合がいい。
僕は小太刀を正眼に構えソレイを見たが・・・・・?
気付いた時にはもう斬られていた。
「グハッ」
なんて速さ。
これが神速か。
まあ、こちらも何とか見ることができたからこちらもそれを使わせてもらうとしよう。
《〈神速〉をコピーしました》
よし、〈神速〉発動。
僕は超高速でくる爪を紙一重で受け流し反撃の機会を探るが全く持って攻撃に転ずる暇が無い。
やはりこのスピードに慣れていないのでスピードは僕の方が不利。
攻撃も先ほどから小太刀で受け止めている時に衝撃倍増をしているが衝撃緩和で相殺されている。
明らかに押されている。
だが・・・・・ここだ!
ソレイが次の攻撃に転じようとする瞬間若干だが体制が乱れがちだ。
そこに攻撃すればさすがに対処できないだろう。
右手だけで小太刀を持ち攻撃を受け流す。
すかさず左手に刀を出現させ斬りつける。
見事に斬撃は決まりソレイは突然現れた刀による攻撃に戸惑う。
そこへ小太刀を消失させ刀を両手で持ち連続的に斬りつける。
対処に遅れたソレイは全てまともに斬撃を受けてしまい流石に斬撃緩和があっても致命的なダメージを受け、その場に崩れ落ちた。
と思ったがすぐさま僕から距離を置こうとバックステップした。
まだやるのか?
でもここで終わらせる。
サラさんから教わったあの術を使ってな!
バックステップするソレイの足に刀をナイフに変え投げつける。
メイド術、瞬射ナイフ投げだ。
だが練習した時よりは大きいナイフになってしまったので思うようには飛ばなかったが丁度足の真ん中に向かってゆく。
大きくなかったら思う所に当たっていなかったか。
まだまだ修行が足りないな。
するとソレイは思わぬ攻撃を避けられず足を地面に縫い付けられ思いっきり転んだ。
そこへ僕は容赦なく新たに出現させた心映武器のハンマーでソレイの頭を叩き気絶させる。
勝った。
だが勝利に浸っているわけにはいかない。
後ろを振り返るとサラさんがオイトさんの手当てをしていた。
まあ、後数分経てば完全に傷は無くなるのだけどね。
「サラさん、獣人の人たちを全員回復できるかな?」
「出来ます。けど、何故ですか?この者達は私達を殺そうとしたのですよ。なんで助けるのですか?」
「罪を償ってもらうんだ」
僕はそう言うと悪い笑みをうかべた。




