「8年後に人類は滅亡します」
かつてユダヤ民族は2012年に人類は滅亡すると予言した。
かつてノストラダムスは1999年に人類は滅亡すると予言した。
今、予言でも何でもない。ただ一つの真実としてそれはニュース、ラジオ、ありとあらゆる情報端末から放たれた。
「今から8年後。2050年に人類は滅亡します」
それは、人類滅亡へのカウントダウンであった。
ことの詳細は今から2年前。学者のアダムスキーが発表した1つの論文から始まる。
論文の内容は今から数年の間にオゾン層のほとんどが破壊される。それと同時期に太陽フレアが起き、電子機器の使用不可、そして現在確認されている小惑星が地球に接近するが電子機器が使えず確認できず何も対処ができないまま小惑星が激突。人類滅亡する。
この論文が発表された当初は様々な研究所からそれはありえないとされ、発表者であるアダムスキーは嘘を発表したものとして学者としての信用を失い研究費補助の廃止が行われた。
しかし、発表から一年後。オゾン層の破壊が急激に早まった。その理由は様々だ。超大国の排気ガス削減運動の取りやめ。発展途上国への過剰投資による排気ガスの増加など。
そして今、各国の最高研究機関が協力して算出した結果。オゾン層は8年後に完全消失。たとえ太陽フレアが起きなくともオゾン層を失えば人類は強力な紫外線をうけ絶滅するだろうと発表した。アダムスキーの論文は本当になってしまった。
突然8年後に人類は滅亡すると言われたら当然、世間一般は混乱する。そして自暴自棄になった者による犯罪の増加、株の暴落、行政機関の停止などが連鎖的に起きていき、世界は混乱の渦へと入っていった。
それから世界ではテロが多発。出生率の急激な低下。世界滅亡発表から3年。世界人口は約4割も減った。
あと5年後には滅亡する。
映画のような奇想天外な事がおき滅亡はなくなるなんてことはない。
だれか天才的な科学者が出てきてオゾン層を修復するなんてことはない。
あるのは約束された滅亡。確定された5年後の死。
俺の周りのやつらはみんな死んでしまった。5年後に死ぬなら好きなことをするなんて言って。
俺の親友は乗れもしない車に乗ってスピードの加減がわからなく壁に激突して死んだ。
俺が恋した女は外を歩いていたら狂った男どもに捕まり、散々まわされて、惨めな姿で殺された。
外を見れば道路に転がっている死体。
耳を傾ければ響き渡る悲鳴。
みんなみんな狂ってしまった。
いつから俺の日常は、俺らの日常はこんなに―――――。
「おい、こっから先は?」
「どうやら書いている途中に殺されたんだろう。このページの最後に血がついている」
「あっホントだわ。しかしまぁバカだよなぁこいつら」
「そうだな。結局のところ自分たちが作ったもので自分たちの首を絞めるなんて」
「俺たちはこうならねぇようにしねぇとなぁ。まぁならねぇけどよ。アハハハハハッ!」
「そう古代の生き物を笑うんじゃない。こいつらも生きていたんだ」
「へいへいわるぅございやした」
コツコツと離れていく足音が響き渡る。
ここは考古学研究所の見学室。厳重に囲われたブースのには1冊のノート。それに書いてある文字はこの世界に読める者はこの文字を研究したものぐらいだ。
なぜなら人はもういない。いるのは恐竜から人に代替わりしたように、人から代替わりした○○○○しかいない。
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