第二話「日常と幸福②」
課題を無事片付ける事に成功した俺は、課題を手に一路職員室へ向った。
教室とは違い、職員室には、何人もの先生方が残って各々の仕事を片付けている様だ。
お疲れ様です。
「やっと来たわね、夏樹!」
俺が、職員室内をキョロキョロ見渡していると、ターゲットの方から、声を掛けてくれた。
「おう! 無事課題片付けて来たぜ! 姉ちゃん!」
「もう! 学校では、姉ちゃんじゃなくて、一宮先生って呼ばなきゃダメって、いつも言ってるでしょ?」
そう、この人が、俺の探していたターゲットであり、担任教師であり、実姉の一宮春菜である。
さくらと同じく艶のある黒髪で、ロングヘヤーではあるが、とても爽やかで清潔感がある。
瞳は、大きめ且つ、黒と茶色が入り混じった感じで、たれても無く、つっても無い。
正に普通。
流石、俺の姉!
その他、顔立ちやらスタイルは悪くは無いと思うが、これと言って、特別感がある訳でもない。
正に普通。
流石、俺の姉!
そんなスーパー普通人俺氏にぴったりな姉だが、学園内では、持ち前の明るさと若手の教師と言う事もあり、結構生徒に人気があったりする。
担当科目は、勿論数学で、できる奴曰く、教え方もそれなりに上手いらしい。
まあ、俺は、数学に対して、苦手意識の方が先に来ちゃうから、全然ダメダメなんだけど……
「悪い、悪い。で、どうよ? 俺の課題の出来は!」
「な~にが、『俺の課題の出来は!』よ! あんた数学に関して、さくらちゃんが居なきゃダメダメじゃないの! どうせ、今回もさくらちゃんの協力ありきで、終わらせたんでしょ?」
「ぐっ……何故それを……」
「何故って、さっきそこで、さくらちゃんとばったり遇ったのよ! それで、こんな時間にどうしたの? って、聞いたら、理由は、分かんないけど、夏樹に呼ばれたんで来ました! って、凄く嬉しそうに答えてくれたの。私は、何であんたが、さくらちゃん呼んだのか察しついていたから、『ああ、スペック高いのに不憫な子だなあ』と思いながらも、夏樹をよろしく! とだけ言っておいたわ」
そう言う事だったのか。
「ん? 話の初めと終わりは、理解出来たが、『不憫な子』ってどう言う意味だ?」
俺が、質問すると、姉ちゃんは、一つため息をついた。
「これですものね~。ま、あんたは、さくらちゃんを大切に思う事だけに専念して生きなさい! そうすればその内分かるわ! 多分!」
「なんだそれ? 意味が分からんぞ?」
「良いの、良いの! あっ! そうそう! 課題だったわね。そんなの当然合格に決まってるじゃない! ほらっ! 秋楓も待ってる事だし、さっさと帰りなさい! 知ってると思うけど、今日、私、宿直だから、ご飯いらないからね?」
「了解! 姉ちゃんも頑張れよな!」
「あんたに言われなくても頑張ってるっての! 後、姉ちゃん呼び禁止!」
「へへ!」
「もう!」
こうして、俺は、無事宿敵の『数学補修課題』を倒した!
そして、俺は、姉ちゃんに補習課題提出後、一路さくらの待つ教室へ戻った。