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決断




 オーク将軍デブリンガー・アブラハムの栄光への道(ビクトリーロード) 第四章

 


********** ホームレスの少女ピピとラン **********



 「リーネ、一体どうしたんだろう?朝起きたら居なくなってたし・・・もう夕方なのにまだ帰ってこない。」


 「昨日も様子が変だったよね・・・。」


 ピピが心配そうに呟く。ランも入り口の方を心配そうに眺めていた。


 「リーネ、奴隷になるの嫌がってたみたいだし・・・、アタイが無理に誘ったからアタイの事嫌いになったのかな・・・?」


 ピピは泣きそうになるのを必死で堪えていた。

 

 バタン。壊れた入り口の扉の代わりの板を退ける音に二人は顔を上げる。


 「リーネ!何処に行って・・・、え・・・誰?」


 リーネが帰ってきたと思ったピピは、入り口に立つ大きな人影に戸惑う。

 ・・・大人?

 大分薄暗くなってきてはいるが、小柄なリーネと見間違える訳も無い大人の女性が立っていた。


 「え・・・シスター?」


 ランの言葉に、女性の顔をよく見ると確かに一昨日にレンを連れて行った教会のシスターだった。


 「あなた達がピピとランで間違いないわよね?リーネの友達の!」


 訳も分からずピピとランは頷いた。


 「今晩からあなた達二人は、教会でシスター見習いになって貰います。 贅沢はさせて上げられないけれど、毎日の食事と服、寝起きする部屋は保障しますよ。」


 そう言うとシスターは二人を抱き寄せた。

 その目には涙が光っていた―――。



********** ハーフエルフの少女リーネ **********



 教会の扉を開けてくれたのは、会った事の無いシスターだった。

 初めて会ったシスターにオロオロしていると、奥の方からいつものシスターが来てくれる。

 

 「決心が付いたのね、お友達とはお別れしてきたの?」


 シスターが静かに話しかけてくれた。ワタシはシスターの顔を見てお願いをする。


 「司教様に会わせて貰えませんか?」


 「え、司教様に?司教様には夕べのうちにお話してあるわよ?」


 「どうしてもお話したいんです。」


 シスターは不思議そうな顔をしながらも、司教様のお部屋に案内してくれた。


 「司教様失礼致します。」

 

 シスターの声に中から司教様の声がする。


 「入りなさい。」

 

 シスターに促され、ワタシは司教様のお部屋に入る。

 司教様はワタシを見ると優しく微笑んでくれる。ワタシは部屋に入るなり司教様に話し掛ける。


 「あの、司教様!お願いがあるんです!」


 突然話し出したワタシに司教様とシスターが目を丸くする。ワタシは気にせず続ける。


 「ピピとランを、シスター見習いにしてもらえませんか!?」


 ワタシの言葉に、申し訳なさそうに眉をひそめるシスター。

 しかし司教様は、ワタシがこう言い出すと予想していたのか、静かに答えてくれた。


 「あなたは優しい子ですね、あなたの気持ちは私にも痛いほど分かります。 しかし、今この街はとても貧しい・・・、領主様も一年前の襲撃以降、病に伏せがちになられて、街自体が貧しくなっているのですよ。 その為、この教会への領主様からの援助金もかなり減ってしまい、街の人からの寄付金も少なくなってしまっているのです。」


 司教様は立ち上がると窓際まで歩き、窓の外を見る。


 「今、街のあちこちに、あなた達の様な家もお金も無い人たちが沢山います。我々も出来る事なら、そんな彼等に毎日暖かい食事を出してあげたい・・・。 しかし、今のウチの教会では二日に一回食事を振舞うのが精一杯なのです。」


 昨日シスターも言っていた言葉を繰り返す司教様。

 

 「本当は、シスター見習いを一人増やす余裕も無いほどウチは貧しい・・・。 しかし、彼女の言う通りハーフエルフのあなたがもし奴隷になってしまったら、ほぼ間違いなく辛い未来が待っているでしょう・・・。 そう思うとどうしても助けてあげたい。しかし後二人も増えてしまうと、それも難しくなってしまう・・・。」


 その言葉を聴き、ワタシは夕べ一晩考えた事を口にした。


 「司教様、ワタシを奴隷屋さんに売って下さい! そして、そのお金でピピとランの二人をここに置いてあげて欲しいんです!」

  

 ワタシの言葉に、司教様とシスターは言葉を失ってしまう。

 暫くの間、部屋の中に沈黙が続いた―――。

 


 最初に話し出したのはシスターだった。


 「あなた、何を言っているか分かっているの?あなたが奴隷になったら・・・!」


 ワタシは真っ直ぐシスターの目を見る。

 ワタシの目には既に涙が溜まっており、体もカタカタと震えていた。

 一晩考えて決心しても、それでもやっぱり怖い。


 だけど、ワタシはせっかく出来た友達を裏切りたくはなかったのだ。

 お父さんとお母さんが死んでから、碌に友達を作ろうともせず一人で泣き続けてきたワタシ。

 結果、寂しさの余り伯母を名乗る女を信用してあっさりと裏切られた―――。


 裏切られたのはワタシが馬鹿だったからだ、だけど、せめてワタシはピピとランの事を裏切りたく無い。 


 最初は二人に、もし奴隷になったらどういう目に遭うか、ちゃんと話して思い留まらせようと思っていた。

 しかし、それでは奴隷にならない代わりに、寒さを凌ぐ方法も無くなってしまう。

 それではこれからの冬の寒さを耐え切れないだろう。ワタシはあの二人を死なせたくなかった・・・。


 ワタシは、まだまだ子供だが、ハーフエルフなので既に20年生きている。

 三人の中で一番お姉さんなのだ。どういう目に遭うかも何となく理解している・・・。

 そう、ワタシが我慢すればいいんだ―――。

 それに・・・それに、もしかしたら、本当に優しい人に買ってもらえるかも知れないし―――。



 「司教様、ワタシを売ったお金があれば、ピピとランはここでずっと暮らせますか?」

 

 ワタシの問いに司教様はどう答えるべきか迷っている様だったが、諦めたように話してくれた。


 「確かに、かなり安めに売ったとしても、あの二人が大人になり、ちゃんとした仕事に就けるようになるまで暮らして行く事は可能でしょう。 しかし、その代わりにあなたは、間違い無く愛玩奴隷として売られる事になると思います。」 

 

 「司教様・・・。」


 はっきりと言い切った司教様に、複雑そうに声を掛けるシスター。


 「だったらお願いします。司教様、ワタシを奴隷屋さんに売って下さい!ワタシは・・・平・・・気です。」


 気が付くと、司教様は涙を流していた、シスターも泣いている。


 「私は何と無力なのでしょう、私にもっと力があればこの子達全員を・・・この街で飢えている人々を助ける事が出来るのに・・・。」


▽  


 ワタシは、シスターに身体をお湯に浸したタオルで拭いて貰っていた。

 奴隷として少しでも高く買って貰う為に、せめて身奇麗にしておこうと思ったのだ。

 それでシスターに水とタオルをお願いしたら、寒くなって来たのだからとわざわざ手桶にお湯を用意して使ってくれていたのだ。


 シスターは、ワタシの身体を拭きながらも、ずっと心配そうな顔をしていた―。


 「あの、ピピとランの事、よろしくお願いします。」


 もう何度目かになる言葉をシスターに告げる。

 ワタシはさっきから、私達の暮らしている空き家の位置とさっきの言葉を何度も何度も繰り返していた。

 

 「二人には、あなたの事をどう言えば良いの?」

 

 不意にそう尋ねるシスター。ワタシは答えに困ってしまった・・・。

 本当の事を言えば、きっとあの二人は責任を感じてしまうだろう。二人とも凄く優しかったし・・・。

 じゃあ、何と言えば信じてくれるのだろうか?


 少し考えて、ワタシが出した答えは・・・。


 「ワタシが司教様にお願いして、二人はここのシスター見習いになれたと言っておいて下さい。 ただ、ここでは二人が限界だったので、ワタシは別の街に居る司教様のお知り合いの元でお世話になる事になったと・・・。」


 「―――分かったわ、私が責任を持って伝えます。司教様にもそうお伝えしておきますね。」



 身体を拭き終わったワタシに、シスターは清潔な洋服を手渡してくれた。


 「私のお古で申し訳ないのだけれど、コレを着るといいわ。」

  

 シスターの子供の頃の服だったのだろう、それはワタシの体にピッタリだった。

 ワタシが服を着てシスターの部屋から出ると、裏口の方に案内された。


 そこには、さっきまでとは全然違う格好の司教様が居た、街のどこにでも居る様なお爺さんの格好だった。

 更にその上に外套を羽織ると、とても教会の司教様には見えなくなった。


 教会の人間が子供を奴隷として売ったというのが知れ渡り、教会の評判が下がるといけないので、なるべく周りにばれない様に変装して裏口から向かう事になったのだ。


 暫くすると、シスターも普通の街娘の様な格好で部屋から出てくる。

 

 私達は、あまり人目に触れない様に、奴隷商会を目指した。

  


********** 第三者視点 **********



 奴隷商会は街外れの人通りの少ない、人目に付きにくい場所に建っている。奴隷を売る方も買う方も、皆が皆真っ当と言う訳ではない為だ。

 当然奴隷商側も心得ており、決して客の素性を詮索したり口外したりしない。


 三人が奴隷商会の前に着くと、今は店の前に一台の馬車が停まっているだけだった。

 御者も店内に入ってしまっているのか表には居ない。

 店の前には奴隷商会の従業員らしき男(奴隷?)が、停めてある馬車の見張りをしているだけだった。 

 三人は従業員の他に人が居ない事を確認してから、そそくさと店の中に入る。


 

 店の中は灯りをワザと抑えているのか、全体的に薄暗く、明かり取りの為の窓も一つも無かった。

 店内には数人の人族の男達が居た。

 ソファーに座って会話をしている明らかに身なりの良い二人の男、中でもより高そうな服を見に着けている男の後ろには、御者の格好をした随分と体格の良い男が立っていた。

 恐らく表の馬車の御者とその主人で間違いなさそうだ、多分だが御者はボディガードも兼ねているのではなかろうか?

 後は茶を運んでいる若い女、恐らくこちらは店の従業員のようだ。

 

 店に入った三人を見ると、身なりの良い男の内の一人が立ち上がった。


 「いらっしゃいませ、シャウエッセン奴隷商会へようこそ。私はこの店の主でバイトと申します。本日はどういった御用で?」


 軽く会釈をしながら自己紹介をした店主は、三人を店内の先程の二人が座っていたソファーとは別のソファーに案内する。


 「どっ・・・ゴホン、奴隷を一人買って貰いたい。」


 やや緊張気味の老人は、ソファーに座るでもなく話を切り出した。


 「ほほう、・・・で、お売り頂けるのはどちらの女性でしょうか?」


 老人の背後に立つ二人。一人は20歳くらいの大人の女、フードで顔を隠しており、口元しか見えては居ないが、かなり美しいとバイトは予測する。プロポーションも中々のものだ。

 もう一方は、まだ幼い少女。こちらもフードを深々と被っているが、美しい金髪がフードからチラチラと見えていた。


 「こちらの娘だ。」


 そう言うと老人は少女のフードを取った。

 すると、そこに居合わせた男達は思わず声を上げた。


 息を呑むほどに美しい顔立ちの少女、美しく長い金髪と青い瞳。

 多少痩せ過ぎてはいるが、しっかりと食事を与えればその辺は問題無いだろう。

 

 しかし、それ以上にここに居る者達を驚かせたのは、彼女の耳だった。

 人族より明らかに長く、それでいて純粋なエルフよりは短く尖った耳・・・。

 

 「もしや、ハーフエルフでしょうか・・・?」


 静かに頷く老人。


 「この娘を幾らで買ってくれる?」


 その問いに、店主のバイトは即答できないでいた。

 エルフやハーフエルフの奴隷など、滅多とお目にかかれない超高級物件だ、何としても手に入れたい、しかし・・・。


 今このシャウエッセンの街は、非常に厳しい状況に置かれている。

 領主は病に伏せがちだし、他の貴族達も皆金に困っていた。


 一年前の襲撃事件の際に、領主・貴族ともに街の防衛に尽力せず、兵士や街の有志にまかせっきりで自分達は逃げ隠れていたことが発覚したのだ。

 その為、ガレオン国王から降格を命ぜられ、それぞれの収入が以前より下がってしまっていたのだ。


 半年前に結ばれた停戦条約で、国中の街々は復興へ向けて動いている。

 しかし、被害が甚大だったシャウエッセンの街は、国から与えられる資金だけでは到底賄いきれていない為に

、領主・貴族が不足分を負担しなければならないのだが、先の降格&減収の為それもままならないで居たのだ。


 それ故、今のこの街には高級なハーフエルフの愛玩奴隷を購入出来るほどの金持ちが殆ど残っていないのである。

 普通、ハーフエルフの奴隷なら、買取価格でも金貨五枚が相場だ。

 ましてやあれほどの美しい娘、それ以上出すのが当然だった。

 (因みに、この国では金貨二枚あれば一般的な四人家族が、贅沢しなければ一年間働かなくても十分生活できる程だ。)


 だが、今のこの街では金貨五枚以上払っても、果たして買い手が付くかどうか・・・、出来れば少しでも買い叩きたい。

 しかし、当然売主もある程度の相場くらいは知っているだろうから、変に買い叩きすぎて帰られてしまっては困る・・・。


 「普通の人族の少女で銀貨数枚といった所ですし、ハーフエルフの少女なら銀貨350枚、つまり金貨三枚と銀貨50枚で如何でしょうか?」


 ワザと最初に、安い人族の少女の値段を言ってから本命の値段を言う事で、350枚でも破格の値段と思わせる作戦だった。


 「350枚ですと?」


 明らかに驚いている老人。

 しまった、安くしすぎたか・・・?と不安になる店主。

 良く見ると、老人は額に汗を浮かべている、ハーフエルフの少女の方は、カタカタと震えていた。


 「じゃ・・・じゃあそれで・・・。」


 意外にも、老人はこの値段で納得したようだ。

 バイトは、しめた!と思わず笑みを浮かべそうになるのを必死で抑える。しかし―――。


 「ちょっと待ってください、バイトさん。」


 すると、先程まで店主と会話していたであろう、もう一人の身なりの良い男性が立ち上がり声を掛けてきた。


 「これほどの上玉に、たったの銀貨350枚は、幾らなんでも安すぎませんか?」


 男性の言葉に、店主は顔を青くする。


 『ちょ、何余計な事を言ってくれる!?』


 突然の事にオロオロする店主を尻目に、身なりの良い男性は老人の前に歩み出た。


 「ご老人、私は王都において奴隷商を商っておりますリクルー・ハロワと申します。 もしよろしければ、そちらのハーフエルフの少女を、私に売っては頂けませんでしょうか? 私ならば、その娘に銀貨1000枚お出ししましょう。」


 「「せっ1000枚!?」」

 

 店主と老人が同時に叫ぶ。

 奴隷の買取に銀貨1000枚(金貨なら10枚)は、いくらハーフエルフとはいえ破格であった。


 「今のシャウエッセンの街は、貴族の方々も含め皆様方がお金に困っておいでです。 正直言って、値の高いハーフエルフは恐らく先ず売れないでしょう。 ですからそこのバイトさんも買い叩こうとなさっていたのです。奴隷が売れるまでの生活費は全て奴隷商の負担ですからね。 ですが、私は王都において王国公認の奴隷商を経営しております。」

 

 リクルーは、老人がハーフエルフの娘の事を心配していると見抜いていた。

 ただ金の為に売りに来たのでは無いと・・・。


 「当商会はガレオン国王陛下のご命令に従い、例え奴隷といえど無下に虐待など致しません。 それに王都には国中の街から様々なお客様がいらっしゃいます。 信頼できる主人を見つける為にも、是非私に任せていただくのが一番ではないかと・・・?」


 だからこそ、奴隷の身の安全を保障する文言を付け加える。

 その予想は的中だったようで、老人とその後ろに立つ女性の態度が明らかに変わった。

 銀貨1000枚といった時よりもその変化は明白だった。


 「本当に、信頼できる主人を見つけていただけるのですか?」


 老人はリクルーに掴みかかる勢いで尋ねる。

 そんな様子を見て、バイトは頭を抱えていた。

 こんな貧しい街の奴隷商が、王都でも一番の奴隷商に資金面で太刀打ちできるはずも無かった。

 

 「勿論、私にお任せいただければ・・・。」


 久々の値打ちのある買い物に、リクルーはホクホク顔だった。



 リクルーと司教が契約を交わしている時、シスターはリーネを抱きしめていた。

 二人は小声で会話する。


 「本当に、何もしてあげられなくてごめんなさい。」


 そのシスターの声に首を横に振る。シスターはとても良くしてくれたと思っている、リーネは何の不満も無かった。


 「それよりも、ワタシを売ったお金・・・凄く沢山ありますよね?・・・だったらピピとラン以外の人達も助けてあげて欲しいんです。」


 その言葉にシスターは目を見開くと、ウンウンと涙声で頷く事しかできなかった。



 契約が終わると、リクルーは懐から魔法のスクロールを取り出し、リーネに向かって隷属魔法を掛ける、これで一時的にリクルーがリーネの主人になる。

 この魔法を掛けると、奴隷は主人に決して逆らう事が出来なくなるのだ。 

 

 司教とシスターは、改めてリーネに別れを告げると、金貨九枚と銀貨100枚(銀貨1000枚では重過ぎて大変な為)を大事そうに持って、奴隷商会を去って行った。


 リクルーは奴隷商会の表に停めてあった馬車にリーネを先に乗り込ませると、シャウエッセンの奴隷商会の店主と二三会話をしていた。

 リーネを横取りした形になったので、多少の手間賃を渡している様だ。

 店主のバイトの方も、仕方ないと言う顔をしている。


 ようやく話も終え、リクルーも馬車に乗り込むと、馬車は転送屋に向かって走り出した―――。


 少し離れた建物の影から、司教とシスターは奴隷商会から走り去る馬車を見送っていた。

 

 「「どうか神よ、あのハーフエルフの少女、リーネの未来に幸福を。」」


 二人は心から神に祈りを捧げていた。



 翌日の炊き出しの際、シスター達から炊き出しに並ぶ貧困者達に向けて、これから毎日炊き出しが行われる旨と、寒さを凌ぐ術の無い者は、夜間に限り教会の横に建つ講堂に寝泊り出来るようにするという提案が告げられたのだ。

 炊き出しに並ぶ者達からは割れんばかりの歓声が上がる。


 そんな中、着慣れない少し大きめのシスター服を着込んだピピとランが、忙しそうに食器を運んでいた。

 二人は必死な顔で働いていたが、その表情は笑顔だった。




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