身勝手な男の夢
ぼくは男だ。
残念ながら娼婦にはなれない。
これは勝手なロマンの押しつけかもしれない。
いや、確かにそうなのだろう。
しかし、女性には娼婦のごとき生き方をして欲しいと望む。
世間体や周囲の目ばかりを気にして、姑息に計算高く生きて欲しくはない。
そんなつまらない女には、「恋する」ことができそうにないから。
死ぬまでの間、40年も50年も身を慎んで生きていけると、本気で思えるのか。
途中で辛抱しきれずに投げ出すのなら、それはできるだけ早い方がいい。
しかし、みんなで「嘘の付き合い」ゲームを延々と続けるのも、楽しい部分もたくさんあるかもしれない。
特に若いうちには。
そういう「楽しさ」にひと通り納得してから投げ出すのでも、別に構わなくはあるだろう。
「若い時代」にしか経験できないこともある。
どちらを選ぶも自由だ。
どちらを選んでも後悔するだろう。
それはそれでいい。
好色女は、男の何倍も深い人生を生きられる。
それに男は嫉妬して、「好色」であることを封じ込めようとする。
「深い人生」で迷子になることを気遣って、狭い箱庭に閉じ込めてあげようとする。
ぼくは、女の深い人生に憧れる。
苦労よりも可能性に惹かれる。
もし女に生まれ変わることがあったなら、娼婦のように生きてみたいと思う。
口先だけかもしれない。
男なんて、しょせん口先ばかりで生きているんだから。