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第九話 出会いイベント? 8

お久しぶりです!





「「!!??!!」」





目を合わせたまま固まっていたが、私達はお互いにキスをしていることに気付くと、バッと勢いよく後ろに数歩離れた。



「っ!てめっ!!何すんだ!」

「ふ、ふふふ…ふっ風紀委員長様こそ!」



いいいいいま、柔らかいものが唇に当たって…!

口と口があれして、世に言うキ、キスというものをした気がしないでもないんですけど。

いやいや、そんな事故キスイベントはヒロインちゃんに起こるべきなのだ、断じてあたしごときに起こるものではないはず。



「オレは受け止めただけだ!テメエのせいだろ!」

「 へ ?」



w h at?

え!どーして?どうやって?全く身に覚えがないぞ。


風紀委員長から思いも寄らない言葉を受けて、私は固まった。



「とぼけんのか?それともわざとか?」



目が点になってる私を見て、訝しげに風紀委員長が聞いてくる。


ううーん、なにせキ、キスなんか初めてだし、離してくれなかったのお二方だし、とぼけようがないんだけども。


眉間にしわを寄せて顎に手をあてて考えながら、ちらっと風紀委員長様を横目に見上げると、超絶イケメンの風紀委員長様の顔が無表情になりつつあるのが見えた。

思わずビクウッと肩を震わせてしまった。

「わざとだったらどうなるかわかってんだろうなぁ、あ"あ?」という感じのオーラがひしひしと伝わってくる。


い、怒り始めてらっしゃる…!


この逆らってはいけないと思わせる威圧感。

気に入らねえ奴は容赦しねえというお方だ。

怒らせたら何をされるか……、怖すぎる!



「おまえが転ぶとき引っ張っただろ。これ」



そう言って、ゆっくりとネクタイを緩める風紀委員長様はーー


まぶしい!まぶしいぞ!

なぜネクタイを緩めるだけでなんだか見てはいけない気にさせるのか。

セクシーさを醸し出しすぎである。

このキラキラ感、苦手だ。

思わずサッと目を逸らしてしまったが、目を逸らしたらやましいことがあると勘ぐられるかもしれないことにハッと思い至り、そろそろと風紀委員長様に視線を戻す。


風紀委員長は、赤くなるどころか引き気味の私の様子を見ると、「へぇ…」と片眉を上げて呟き、無表情が和らいだ。


あれ?怒りが収まった?なんでだろう?


不思議に思いつつ、風紀委員長様が掴んでいるネクタイが、なぜだかヨレヨレになっていることに気付きーー


考えること一拍。


……まさか!


サーッと血の気が引く。



「じ、事故です、事故!事故!わざとじゃないです。転ぶと思って咄嗟に手を伸ばして握ったのがそのネクタイだっただけです!ち、違いますよ、なんで風紀委員長様なんかと…あっ!すんません!」



ブンブン両手を横に振ったあと、ごしごし唇を拭いながら全力で否定したはいいが、『風紀委員長様なんか』と失言をしてしまい、慌てて自分の口を手で塞いだが、言ったものは取り返せない。

勢いってコワイ!


すると、風紀委員長様が肩を震わせ笑い出した。



「くっはは!本当に、おもしれえ女だな」



風紀委員長様の笑顔は、どちらかといえば揶揄の色を含ませた不敵な笑みを浮かべることが多いのだが、あまりにも自然に綺麗に笑うものだから、ちょっとびっくりだ。


そんな貴重な笑顔を私に頂いても意味ないぞ。

その笑顔はぜひヒロインちゃんに向けてくれ。



「いいぜ、受け止めた礼とキスの詫びに、責任取ってもらおうか ーーいや……その場合、責任取ってやることになるか」



責任って何!?風紀入りですか!?

でも、責任取ってくれるってなんだ?


ってか近い!


普段の不敵笑顔に戻った風紀委員長様にゆっくりと近付かれ、じりじりと後退れば、壁際まで追い詰められる。


なになになになに!?

なにこの壁ドン間際の状況!

新手の拷問か何かですか?

ちょっ、ほんと近いです。



「おっ、乙女のファーストキスを奪った罪は重いんですよ……」



パニック状態の中、なんとかこの状況を打破しようと絞り出した言葉に、自分で何ぶっちゃけてんのー!?と、ばかばかばかと頭を叩きたくなった。


「おれが悪いってのか、あ"あ?」みたいな顔して睨まないでください。こわいから。

泣く子も黙る鬼の風紀委員長様の有無を言わせぬ迫力に超絶ビビりますが、頷くわけにはいかないんです。

初キス奪ったんだからチャラにしてなんてホント思ってないんですけど、どうか風紀入りだけはご勘弁を!






「…………ファーストキス?」



後ろで今まで固まっていた会長が、ボソッと小さな声を発したかと思うと、ピクッとこめかみに青筋をたてていた。


おおう、会長の存在忘れてたよ。


会長の後ろからなにやら不穏な空気を感じる。

風紀委員長様のように静かに怒るのとは違う怒りを露わにしたという感じだ。


会長は、風紀委員長の胸倉をガッと掴み、喰ってかかった。



「あんた、よくも!」

「だから、責任取るっつったろ?まあ、オレのせいじゃねえがな」



風紀委員長様は悪怯れない。

最高権力者である会長のお怒りに触れて平然としてられるのはこの人ぐらいだ。

さすがだ。


このままヒートアップしそうな言い合いと、当の私以上に怒る会長になんだか居た堪れなくなってしまう。


火花が!火花が見えるよ!


ケンカ大好き風紀委員長様は、普段ケンカなんか無縁の会長が感情的になってるのでやたらと好戦的に会長を挑発して、お互い間合いを取り始めた。

ちょっ、会長、殴っちゃダメです!



「いやいや、会長、そんな気にしなくても大丈夫デス。事故だし、犬に噛まれたもんと思えば全然おっけー」

「てめえ、さっき罪とかなんとか言ってたじゃねぇか」

「ま、そーですけど、それとこれとはまた別であって」

「同じだろ」

「いえいえ、えー、事故だけど初めて、初めてだから事故ということにしたい、というやつですね!わかりませんかね、この乙女心!」

「わかんねーし、『今ひらめいた!』っていうような顔して言うことじゃねーな」



風紀委員長様!さっきから早いですよ、ツッコミが!

っていうか、なぜ私がこの二人のケンカに割って入ってしまうことになってるのか解せない。


もしや、これって私のために争わないでーっていう王道的展開になってないか?とか思ってると、会長にガシッと両肩を掴まれ、グイッと会長の方に向きを変えられた。



「そうか、犬に噛まれたか」



あれ?



「じゃあ、消毒が必要ですよね」



無駄にキラキラ笑顔がこわいんですけど、そして通常モードの敬語に戻っている。


会長の顔が目の前にずいっとやってくる。


顔!近い!デジャビュ!



「な、なんですか?」



私が及び腰になってると、風紀委員長様が会長の肩に手を乗せた。



「おい、どさくさに紛れて何してん「ボスーーーー!!」」



風紀委員長の言葉尻にかぶさって大きな声が廊下に響く。


また聞いたことある声が…?


なんだか嫌な予感がプンプンする!


声がした方向を向くと、案の定、キラキラ族第2弾がぞろぞろと向かってくるのが見えたのでした……。




っていうか会長、今舌打ちしませんでしたか?

読んでくださりありがとうございます。

ブクマ800件突破しました。

ありがとうございます!

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