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第二話 出会いイベント? 1

別館にある温室。


そこでヒロインは攻略対象の生徒会メンバーと出会うはず。


それは覚えてるんだけど。


だけどさー、


この学園広すぎーー!


私は温室まで辿り着けずにいた。


場所は見ればわかるんだけど、目的地までの道のりがわからない。


だって乙女ゲームには行き方までは教えてくれないんだもの、当たり前だけど。

これじゃあイベントまで間に合わないじゃないかー、私のバカー!


廊下でウロウロしていると窓の外に噴水が見えた。

周りには綺麗なバラの庭園が見える。


いいや、ちょっとここで休憩しよう、といったん噴水の前のベンチに腰掛けようとしたときだった。


「見ない顔だな」


声をかけられ振り向くと、3人の強面こわもて男子達がいた。


「俺達、腹減ったんだよなー、金貸してくんねー?1万でいーぜ」


如月きさらぎ学園のほとんどが屈指のお金持ちのご子息、ご令嬢が通うエリート校である。

にも関わらず、不良というものも存在するらしく、髪を染めたり制服を着崩しており、まあ親がどうにかしてくれるからという甘えやお金の威力を知っているからタチが悪いのだ。

特に後ろ盾のない庶民に対しての横暴ぷりは有名で、自分達はお金持ちなのにカツアゲをしていたりする。

どうやら私も化粧気もなく着飾った様子もないから、どこかの令嬢ではなく、カモだと思われたらしい。

最初に入学する際、特待生は目を付けられやすいから風紀が取り締まってる登校時間中に登校するよう注意を受けたのだが、すっかり頭の中から消えていた。

そういえば、ヒロインも絡まれるシーンがあって、そのときは生徒会が助けてくれていた。

しかし、それは好感度が上がってからやってくる展開だ。

それに私はモブなのだ、まずそんなことはありえない。


うーん、厄介なことになったなあ、とどこか他人事のようにぼーっとしていると、


「おい、聞いてんのか?」


しかたない…か。


周りに人がいないことを確認し、目の前の不良さんににっこりと笑う。


「おお、そうだよ、素直に言うことききなーーー」



バキッ!



言い終わらないうちに回し蹴りを繰り出す。

私の蹴りをまともに受けた男はその場でうずくまっている。


「てめぇ〜!」


残りの2人が拳を振り上げてきたので、うまく攻撃をかわし、ツボをつけば簡単に落ちてしまった。


女の子に手をあげるなんて、ダメですよー。



私はこう見えて運動は得意なのだ。

なぜか小さい頃、両親から護身術を習わせられ、そこの師範には筋がいいと言われ、ついでにと武道も叩きこまれた。

たぶん、その辺の男よりかは強いと思うので、腕っぷしには自信がある。

こんなときは兄と同じ血が流れていたんだなあと実感する。

でも、運動神経が良いことは内緒。

頭も良くて運動もできるなんてそんな目立つことしたくない。

平凡が一番。

特にこの学園では影のようにひっそり一般ピーポーとして過ごすと決めているのだ。


今回の件は、プライドの高そうなお坊ちゃまだったから、女にやられたなんて口が裂けても言えないだろうし、大丈夫だろう。


あー、人がいなくて良かったあ。



「おい」


ホッと胸を撫で下ろしたところだというのに、私の耳に聞き覚えのある超低音美声が飛び込んできた。

嫌な予感をひしひしと感じ、聞こえない振りでまた温室探しに赴こうとその場から離れようとした。

ーーが、


「てめぇ、無視とはいい度胸じゃねぇか」


冷や汗をかきつつ、ギッギッギッとゆっくり後ろを振り返れば、やっぱりいました、かの人が!


グレイの髪に真っ青な瞳、綺麗な顔立ちをしていて髪は光が当たると銀髪のようになり、見た目は美しいのだが、その瞳は野生の獣のように獰猛で。

さっきの不良とは比べ物にならないくらいの風格がある。

そう、まるでマフィアやヤクザのドンのように。

制服を爽やかに着こなしているというのにそこにいるだけで威圧感がハンパない。

きっと着物が似合うに違いないだろう。



そんな攻略対象である、かの風紀委員長様がなにゆえこちらにいらっしゃるぅぅうー!?



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