新聞紙
眠っている彼に
そっと毛布をかける
ありがとう、と
寝ぼけ眼の彼を見たら
思い出した
遠い日
仕事から帰ってきた父は
晩酌の後、
畳の上でごろりと何もかけずに
寝転んでイビキをかいて眠っていた
毛布は押し入れの奥で
小さな私は何故か、
新聞紙を広げて父にかけてしまった
新聞紙は意外とあたたかい、と
どこかで聞いたからだ
翌朝、母から、
「お父さん、笑ってたわよ。でも
暖かかったって」
ああ、よかった
新聞紙って凄いな、と
思った私
父はきっと苦笑いしていたに違いない