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恋愛ブレイカー  作者: 銀杏 夜空
最終章 復讐の果て
20/21

そのⅠ【不幸の輪廻転生】

最後の人物紹介です。最期までお楽しみください(号泣)


立花(たちばな) 睦月(むつき)】ガラス割り魔の少年

湯口(ゆぐち) 夏美(なつみ)】立花の幼馴染で生徒会副会長

緑沢(みどりざわ) 健二(けんじ)】江ノ本により渡り廊下崩落に巻き込まれる

江ノ本(えのもと) (かおり)】『死』を呼び込む女性。『COP』団長

松下(まつした) 冷弥(れいや)】風紀部恋愛監視委員『恋の監視委員』

松下(まつした) 綾子(あやこ)】風紀部恋愛監視委員『愛の監視委員』

水無月(みなつき) 龍太郎(りゅうたろう)】生徒会長であり、立花と夏美の幼馴染。

横山(よこやま) 理々菜(りりか)】生徒会書記。交通事故に巻き込まれ瀕死の重症

石田(いしだ) 真弓(まゆみ)】生徒会会計。目の前で事故を目撃する

梅平(うめだいら) (りく)】影の薄い生徒会庶務。無断欠席となる

校長(こうちょう)】私立車谷高校の学校長

吉田(よしだ)】私立車谷高校、鬼の生徒指導部長

黒木(くろき) えり】故人。駅前の事故により死亡する

赤石(あかいし) 優一(ゆういち)】『COP』幹部。謎多き男

松井(まつい) 政義(まさよし)】『COP』幹部

校内で突如として発生した、渡り廊下の崩落。それは、突然の雷雨に襲われたヘリコプターの操縦が不能に陥り墜落するという、不幸な事故が原因として世間を震撼させた。

死傷者の数は計11名。昼休み真っ只中で(ほとん)どの生徒は食堂か教室におり、渡り廊下の利用者が少なかった事は不幸中の幸いとしか言いようがない。

そして、同じ日に起きた、生徒会書記の横山(よこやま) 理々菜(りりか)の交通事故。何とか一命は取りとめたものの、意識不明の重体。同じく現場にいた生徒会会計の石田(いしだ) 真弓(まゆみ)は、高校生連続傷害事件が引き起こす日々のストレスと目の前で友人がトラックに跳ねられるというショッキングな光景を目の当たりにし、ついに精神が崩壊。病院へと搬送され、現在に至るまで入院中、合わせて面会謝絶とのこと。

事故の目撃者である彼女がそんな様子のため、警察は目撃証言が取れず、事故を起こした張本人であるトラックの運転手の

「何者かが彼女の背中を押し、トラックの前へと突き出した」

という言葉だけを手掛かりに高校生連続傷害事件との関係性を慎重に見極め捜査をする。

突き出した人物は一体誰なのか、それを知る可能性が高い石田。彼女の心の傷が癒えるのは、まだまだ先になりそうだ。

そして学校は、と言うとその一連の事件に合わせての今回の渡り廊下崩落事故。安全性とその対策の手際の悪さに不満を爆発させ、怒りを(あら)わにしたPTAや各メディア、マスコミ等の処理に追われに追われていた。

廊下そのものは崩壊したものの、校舎そのものに異常は見つからず、事故の二日後には通常通り授業を開始したのだが、怪我による入院に無断欠席者、

「安全では無い学校に子供を通わせたく無い」

という保護者の意見があってか、生徒の半数以上が何らかの理由で欠席。

さらに追い討ちをかけるかの様に、問題対応に尽力していた教師の数名がノイローゼとなり休職してしまう。

最早(もはや)、通常の学校運営に支障をきたす異常事態へと陥っていた。

今、私立車谷高等学校は開校以来、最大の危機に直面している。


「本当、大変な事になっちゃったねー」

そんな状況を他人事の様に軽く言って退()けたのは、死傷者11名の内の1人、立花(たちばな) 睦月(むつき)である。彼は、その時に出来た頬のかすり傷をポリポリと掻きながら横にいる女性へと目をやる。

「事実大変なのよ。だからこれ以上、先生達に迷惑かけないように大人しくしてなさいよね」

その視線の先にいる彼の幼馴染、湯口(ゆぐち) 夏美(なつみ)(いまし)めの言葉を立花へ投げ返す。

彼らは、学校が様々な対応に追われ、バタバタしている為、普段なら午後3時頃まである授業を昼前まで短縮。帰路へと着いていた。

いつもなら早く帰れるという理由で誰もが喜ぶこの短縮授業なのだが、起きている事が起きている事なだけに生徒の顔に喜びの色は無い。

「夏美! 見てよこれ! 白鳥ショッピングパークにある有名ハンバーガーショップの新商品【フルーツライスバーガー】。期間限定販売だって。学校早く終わったし食べに行こうよ!」

この男以外は…………

「あんたって、こんな状況でも何一つブレないわねぇ……。一つ聞くけど、危機管理能力ってある?」

意気込む立花に呆れ顔の夏美。

彼女は彼が、先程自分が言った戒めを全く理解していないという事を理解したのであった。

「何がフルーツバーガーよ」

「フルーツライスバーガー」

「どっちでもいい。そんな女子力の塊みたいな物食べてる暇があるなら、期末も近いことだし帰って勉強でもしてなさいよ。そもそもさっき、私が迷惑かけないよう、大人しくしてなさいと言ったばかりじゃない。いい? 当分は目立つような行動は控えなさい。さもないと私のボディプレスが炸裂す…る…………って、もう既にどこにもいねぇ‼︎」

夏美の忠告など目もくれずに自分の道を突き進む立花。

「ちょっと、あんた! 私の話聞いてるの? 危ないって言ってんの」

追いついた彼女が再度注意するが、

「さっきから一人でうるさいなぁ。俺は渡り廊下崩落に巻き込まれても生き残った男だよ? そう簡単に死ぬわけ無いの。分かる?」

謎過ぎる自論で一蹴りする。

「何一つわかんねぇよ!」

彼女の渾身のツッコミは雲一つない青空の彼方へと虚しく消えていった。

そして、

「ハァ……」

と大きなため息をついた夏美は、遂に口で説得するのを諦め、実力行使で決着をつけることにする。

彼女はいつも暴力で物事を解決している訳では無い。ある程度までは相手の言い分をしっかりと聞き、口で説得するのである。だから間違っても彼女の事を『暴力女(ボス猿)』だの『筋肉女(メスゴリラ)』だの言ってはいけない。

ただ少しだけ、彼女は口から手に変わるまでの感覚が人より極端に短いというだけ。それだけなのだ。

そんなこんなで、夏美の右拳が立花の腹部めがけて繰り出される。

しかし、立花も毎度毎度やられるだけのバカでは無い。時には反撃だってする。

特に今回、彼には秘策があった。


「プロテインレタスバーガー」


唐突に彼の口から放たれる謎の呪文。それを聞いた夏美の動きはピタリと止まる。

「い、今……何て?」

「プロテインレタスバーガーって言ったのさ。昨年、(くだん)のバーガーショップで発売された、あの……ね!」

あまりの不評っぷりに一ヶ月で市場から姿を消し、ハンバーガーの歴史に不名誉の名を刻んだバーガー…………と言う情報を付け加えそうになった立花は寸前でそれを止める。

依然、右手を突き出したまま動きを止めプルプルと震えている夏美。彼は彼女が、発売当初からそのバーガーを死ぬ程食べたがってたこと、食べる前に発売中止になり、のたうち回る程後悔していたことを知っていた。

「それが……何だって言うの?」

「いやぁ、それが今日、一日限定で復活するんだよねぇ」

どの層に需要があって復活したのか立花には知る由もないが、少なくとも目の前の女子高生には十分過ぎる程の効果を発揮した。

「なぜだぁぁぁぁ。なぜよりによって今日なんだぁぁぁぁぁ」

絶対に食べたい。食べなくてはいけない! しかし、先程まで立花に苦言を(てい)していただけに引くに引けない。

心の葛藤がそんな彼女の中でせめぎ合う。

「あぁぁぁぁぁぁぁ!」

夏美はそんな誘惑に負けまいと、地面に頭を何度も打ち付け、自分の煩悩(ぼんのう)を断ち切ろうと心頭滅却(しんとうめっきゃく)する。そんな人間版除夜の鐘にいやらしい笑顔を向ける立花は、さらに追撃をかける。

「プロテインレタスバーガー……奢ってあげてもいいんだよー。さっきまでの言葉を詫びた上で、一緒に行かせてくださいお願いしますと一言、俺に言えれば……だけどね。さぁて、2個奢ろうかなぁ。いや、3個にしようかなぁ。フフフ……」

「10個にしなさい。それ以下は認めないわ」

「あれぇ? 夏美ちゃん。言葉遣いがなってないんじゃ無いのかなぁ? やり直しだねぇ」

「勘違いしてんじゃねぇぞ。あんたの条件を一部呑んであげるって言ってんの。あくまで主導権は私にあるの。異論があるなら、私はここであなたをぶっ倒し金だけくすめて家に送り返し、それから一人だけで買いに行くわ」

夏美はあっさりと誘惑に負け、堂々と開き直った。

「どれだけ図々しいんだよ! 言っとくけど、不味くて食べられなくても、消費は一切手伝わないからな!」

「プロテインが入った商品に間違いはないわ‼︎」

彼女にとってプロテインがいかに大事な物なのか分かってもらえた事だろう。

呆然と見つめる立花の視線の先にはいつもの夏美の姿は無く、ただそこには、餌を求めて自分に(たか)ってくる『筋肉女(メスゴリラ)』の姿しかなかった。



白鳥(しらとり)ショッピングパークとは、日本三大財閥と言われる【石動(いするぎ)】【九十九川(つくもがわ)】【白鳥(しらとり)】の一つ、白鳥製薬(しらとりせいやく)株式会社(かぶしきがいしゃ)出資(しゅっし)する大型ショッピングセンターの名前である。

その大きな特徴は地上では無く地下に伸びた巨大地下街となっている所であり、食品やファッションの(たぐい)はもちろんの事、エステにプール、ゲームセンターなどの娯楽施設、家具家電や家庭用品等々ありとあらゆる店がそこへ出店している。

更に、地下街に隣接する大型駐車場や、車谷駅と直結している点などから交通の便も良く、車谷市の中でも一、二を争う人気スポットである。

そんな人でごった返す昼下がりの白鳥ショッピングパーク。

目的のバーガーショップまであと少しと言う所で二人は意外な人物を目撃することとなる。

「赤石君?」

その人物とは、しばらく学校を休んでいた赤石(あかいし) 優一(ゆういち)だった。

思いがけない場所での久しぶりの再会。立花が彼を最後に見かけた場所が駅前の爆発事故が起こる直前の『スタバ』店内だった為、大怪我でもしてるのでは無いかと心配していたのだ。

そして、立花は夏美に一つの提案を持ちかける。

「そうだ! 情報通の赤石君なら、今起こっている連続傷害事件について何か知っているかもしれないよ! その情報が生徒会で役に立つかもしれないし聞きに行こうよ!」

「あぁ、そう。でも私、あの子大嫌いだから一人で聞いてきなさい。先に店で待ってるから」

しかし、彼女の返答は冷たい物だった。先程までプロテインの歌(立花命名)を作詞作曲し、鼻歌交じりにスキップするほど上機嫌だったと言うのに…………

夏美のそのテンションの変わり様に彼らの間にただならぬ『何か』があると睨んだ立花ではあったが、ここで無理に『何か』について聞こうものなら彼女の逆鱗に触れてしまう。それだけは勘弁したい。彼は、持ち前の探究心を胸の奥底にしまい込むと、

「分かった」

と一言いい、ハンバーガーの事を任せると、単身で赤石の元へと会いに行く。

どの飲食店も、昼ご飯を求める人々で長蛇の列が出来ていた。

「赤石君、久しぶりー!」

そんな人混みの中から自分の名を呼ぶ者の声に彼は肩を震わせる。……も、それは一瞬の出来事で、次の瞬間には平常を取り戻していた。

「やぁ、誰かと思えば立花君じゃないか。こんな所で会うなんて君もお昼かい?」

「そうそう! フルーツライスバーガーを買いに行くところなんだ」

「そうかい、そうかい。ところで湯口さんは一緒じゃないのかい?」

「夏美は今はいないよ」

その言葉を聞いた赤石はここで始めて体の力を抜く。そんな様子に二人はやはり何か確執(かくしつ)があったんだと確信する立花。しかし、一体何があったのか聞くのが怖いので敢えて気にしない振りをし、話題を変える。

彼にしては珍しい配慮と言えよう。

「そんなことより、今までどうしてたのさ。学校は休んでるし、事故か事件に巻き込まれたんじゃないかと心配してたんだよ」

「まぁ、色々あってね〜。ところで、君に一つ相談したいことがあるんだけどさ」

強引に、そして唐突に赤石は立花に思いもよらない提案を出してくる。


「我々の同志にならないか?」





「団長、彼がやって来ました」

「松井君、通してあげて頂戴」

ロウソクのみが灯った薄暗い部屋。そこに一人の少年が訪れる。

「………あの………………その……」

彼の名前は梅平(うめだいら) (りく)。生徒会で庶務をやっていた、あの影の薄かった子である。

ぶるぶると震えた様子で発せられるその声はとても小さい物だ。そんな彼にCOP団長、江ノ本(えのもと) (かおり)は近付き、いきなりその小さな体を優しく抱きしめる。

「……⁈」

「梅平 淕君ね。あなたの事は全て聞いたわ。教室ではまるでいない者の様に扱われ、面倒な雑用を押し付けられていたのよね。更には生徒会室での度重なる暴言の数々……。苦しかったのよね? 寂しかったのよね?」

「は、はい……」

「ごめんね。助けに行くのが遅くて。長い間、苦しみから解いて上げられなくてごめんね」

江ノ本 香は泣いていた。梅平はそれに驚く。

彼は生まれてきてから今の今まで、自分の為に泣いてくれる人間は誰一人いなかった。みんな、そこに存在しない者として相手にしてくれなかったのだ。彼は諦めていた。自分の影が薄いから誰にも構って貰えないのだと。

思えば、この世に生を受けた時から梅平の最悪な人生は始まっていた。

彼の名前に使われている『淕』。これは本来ならば名前に使えない筈の特殊な漢字なのである。しかし、役所は彼の存在感の薄さに、その事に気付かず、そのまま戸籍に登録。未だに気付かれていない。

道を歩けば人にぶつかられ、電柱と間違えられて犬にオシッコをかけられる。こんなのは日常茶飯事。

先生に欠席扱いにされたり、特に呪いもかかってなければ3年3組でもないのにクラスメイトからいない者扱い。

少しでもみんなに存在を知ってもらおうと入った生徒会でも空気の様に扱われ、横山 理々菜には理不尽に罵声を浴びせられる。おまけに学校では、生徒会庶務の事を、『空白の雑用』『幻のファイブマン』と揶揄される始末。

梅平は、自分だけが認識されない寂しさを、悲しさを誰かに知ってもらいたかったのだ。

「え、江ノ本団長ぉぉぉ」

やっと出会えた、彼の苦しみを分かってくれ、共に涙を零してくれる人。

「もう心配する必要は無いのだ! 横山 理々菜という女には制裁が与えられたのだ。我々と共に来い。梅平よ!」

「は……はい。あなた方に……ボクは一生着いて行きます…………」



彼が去った薄暗い部屋に聞こえてくる江ノ本の声。

「COP幹部も赤石、松井、梅平と三人揃ったわね。残る候補は二人……。次は……立花…………」





「なるほど、事件の裏にはそんな組織が……COP……」

『COP』について一通りの説明を終えた赤石は立花の反応を待つ。

立花は、しばらく頭を抑え考える素振りを見せたのちに、

「入ります! 入りたいです! 入って日頃ボコボコにしてくる夏美に制裁を与えたいです!」

そう答えた。

「そうですか、それはよかった」

赤石はいつものニコニコ笑顔でそれを受ける。

正直、立花にとってCOPの理念は全く理解出来ない物であった。

弱者同士が集まり強者をよってたかって袋叩きにする…………それは結局、やってることはその強者と同じではないか……と。

しかし、それ以上に、彼の興味を引き立てた物。それは、高校生連続傷害事件からの身の安全と、日頃から恨み辛みが溜まっている湯口 夏美への仕返し。この2点だった。

理念に共感出来ないとした上で夏美に制裁を加えるのを良しとする辺り、大きな矛盾が生じているのだが、彼は全く気付かない。

「にっくき筋肉女(メスゴリラ)を討ち果たし、俺は自由に生きてやる! あのクソ女の寝首を掻いてやるぜ。ぐへへへへへへへへへへへへへへ」

立花の心に小さな野望が産まれた瞬間であった。

「ぐへへへへへへへ。ぐべっ!」

「誰の寝首を掻くって?」

「⁈」

突如として現れた女性は、彼のゲスい笑い声を中断させ、早々に彼の野望を打ち砕いた。

「な、夏美ぃぃ……お前、何故ここにぃぃ……ガクッ」

「ガクッ…じゃ無いよ。なんでよくわからない宗教の勧誘にホイホイ尻尾振って着いて行ってるのよ。あんた将来絶対、運気が上がる魔法の壺とか買うタイプの人間ね」

腹部を抑えのたうちまわる立花の頭上に悠然と立つ夏美。彼女は、突然の襲撃に焦りの表情を浮かべあたふたしている赤石に真っ向から対峙する。

「ハーイ。赤石君! 入学当初から私の熱烈な追っかけで四六時中着いてきてくれてたのに、さっきのCOPの話を聞く限り、江ノ本って女に鞍替えしたのかしら? 傷付くわー」

そんな様子を微塵も感じさせない夏美の口調。その言葉に赤石はさらに顔を青ざめさせる。

「最初から……気付いて………」

「私が何も知らないとでも? 『あなた達』が何を企んでいるのかは知らないけど、私は今ここであなたの野望を全力で止めるつもり。何か、異論は?」

そういって戦闘態勢に入る夏美。

「立花ぁぁぁぁ。テメェ、覚えてろよ。この僕を騙した事を後悔させてやるぅぅぅぅぅ。次の犠牲者はテメェら二人だぁぁぁ‼︎」

「ええええええええ! 待ってよ赤石君! 僕も騙されて……」

突然発狂した赤石は立花の声に耳を貸さず、ポケットからタブレット端末の様な物を取り出すと、それをおもむろに地面へと叩きつける。

途端、周囲は暗闇へ飲み込まれる。

唐突過ぎる出来事に、ただ昼ご飯を食べに来ていた人達からは驚きの声が上がる。


次に電気がついた時には、そこに赤石の姿は無く、あるのは粉々に砕け散った謎の機械の残骸だけであった。

「チッ、逃がしたか。ホラ、いつまでもそんなところで寝てないで帰るよ」

「いや、帰るって……は? 何? 俺、お前のせいでもうすぐ死ぬんだよ? さっきの話、全部聞いてたんだよね? 高校生連続傷害事件の主犯が奴らだってこと聞いてたんだよね? 聞いててなんで出て来たの? え? 俺に死ねと?」

「あ……いや、その…………彼をここで捕らえられるかと思いまして……」

「思いましてじゃないよね? 分かる? 結果捕まえられてないし。 ねぇ、どうすんの? 俺はどうするの? バカじゃねぇのお前? 脳みそ筋肉で出来てんじゃねぇの? マジ死ねよ。お前が死ねよ」

「た……立花君怖ーい! 怒っちゃ メッ! だぞ!」

「失せろよ。ゴミが」

「ハイ、ゴメンナサイ…」


立花は身を守るつもりが逆に危険に晒すハメとなった。

一体これから彼はどうなってしまうのだろうか

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