勇者育成1回目
そこはまるで地獄のような場所だった
草木は全く生えておらず
空気は犯されているかのように紫の障気に覆われていた
そんな場所に魔王城と呼ばれる城がある
その魔王城の一室に二つの存在があった
「魔王様、人間の王国に勇者と呼ばれる存在が現れたようです。」
二つある存在のうち座っている存在に対して片膝をつきながら頭を下げている
二メートルを超える、黒い長髪の男がもう一つの存在に言った
「ああ・・・そうだな、まずはスライムでも送り込んだらいいんじゃないかな。」
魔王と呼ばれた男がこう言い放った
「スライムを・・・ですか。」
そう言った男の顔はひどく硬いものだったが魔王は気付かなかったようで
「・・ん、何かあるのか。」
「いえ・・それでは準備をしてきます。」
そう言って男は部屋を出て行った。
その顔は、何かを決意したかのような顔だった。
男が出て行った後、残された魔王は大きなため息をはいた
「はぁ~~これでいいよな。
勇者のレベルを上げるには最初はスライムだよな。
てゆうか、何だよさっきいた男は魔王の側近だよな。顔怖すぎだろ。」
そう魔王が愚痴をこぼしていると、城内が騒がしくなり
すさまじい破壊音が響き渡った
「なっ・・なんだ」
そう魔王が呟くと
扉を壊すかのように先程までいた男が息を荒くしながら現れた
「はぁはぁ魔、魔王様、逃げてください。ここもすぐに危なくなります。」
「えっ・・どうゆうことだ。」
「早く、奴が来ます・・・はっ」
男が気付いたときにはもう遅く、男の後ろには化け物がいた
その化け物は正しく化け物であった、ひどく巨大な体は液体でできており
液体の体の中には様々な人やモンスターの顔が浮かんでいた
「何だあれは、なんだあの化け物は」
「魔王様、速く逃げてください。私が足止めをギャアアーーーー」
男は化け物が自分の体から伸ばした触手のような物に捕まり、化け物の体へと入れられた
化け物の体に入れられた男は頭だけを残し他はすべて溶けて消えてしまった
残された魔王は恐怖に顔を歪ませながらその光景を見ていることしかできなかった
「まさか、これがスライムなのか・・・・ウソだろ。」
そう言った魔王の意識は数瞬後消えて無くなった
THE END
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何も無い世界だった
すべてが白で支配された世界にいるたった一つの存在である少年が
いきなり怒鳴りだした
「どうなってんだ、スライムがあんな存在だなんて聞いてないぞ。」
すると、少年の目の前に光の玉が現れた
「そんなことを、私に言われても分からんよ
始めに言っただろう。この世界は【魔王が勇者に倒される】以外は
何も書かれていない世界なのだよ、世界観が何一つとして明確に書かれていない
この世界は世界観がランダムに決定されるのだよ。
そんな世界だ、スライムがメチャクチャ強い世界もありえるさ。」
「だからって、あれはないだろ。
せめて、物語が始まれば世界観が分かるようにならないか。」
「それは、無理だね物語が始まれば私は干渉することはできないよ。
おっと、次の物語が始まるようだ。次は今回のようなヘマをしないでくれよ。」
「分かってるよ、勇者を魔王である俺を倒せるように誘導すればいいんだろ
【魔王が勇者に倒される】これを完成させれば俺は元の世界に帰れるんだろ。」
そう言った少年はいつの間にか消えていた
何もない世界で光の玉が何かを呟いた
「・・・・・さぁ、また始まるよ。彼はいつ気付くかな。」
光の玉はそう楽しそうに呟いた
筆者は初めてなので拙いところが多々あると思いますが。
よろしくお願いします。
※蛇足
勇者育成一回目の時のスライム
古代の魔法使いが作った魔法生物で喰らった生物の頭を体内に残すことで
喰らった生物の力を得る。
昔、魔王が城の地下に封じた。
魔王の側近はスライムの脅威は知っていたが見たことは無かったので
自分程の力があれば、どうにかなると思っていたし魔王が事もなにげにスライムを使うと言ったので安心していた。