Episode 8 彼が去った後、私の状態はまるで死人のようだった。
婚約が終わった夜から、時間は止まったままだった。
眠れない夜、冷めた部屋、崩れていく心。
サヤンはただ一つの想いに縛られ、何も口にせず、何も手に取れずにいた。
彼の沈黙に最初に気づいたのは、いつも隣にいた親友だけだった。
笑いで誤魔化そうとする言葉の裏に、救えない痛みが滲む。
これは、失った愛の後に残された“空白”と、
それでも生きようとする心がぶつかる、静かな夜の始まり——。
レモン: 「ほら、飯を食えよ……。昼から何も食べてないだろ。帰ってきてからずっと部屋に閉じこもりやがって……。」
(俺はレモン。ここからは、婚約が破談になってからのサヤンの様子を話してやるよ。)
レモン: 「あいつ、夜も全く寝ないんだ。椅子に座ったまま泣いてばかり。食いもせず飲みもせず、ただ一人の女を想って泣いてる。サヤン……お前、本当にお人好しで一途すぎるよ。俺なら1日に10人女を変えたって平気なのに。リリーがダメなら他の子を探せばいい、それが俺のやり方だ。……だけど、惨めなサヤンを見てると放っておけなくて、今すぐにでもデル叔父さんに本当のことをぶちまけたくなる。でも、俺にできるのは慰めることだけだ。……リリー、お前にはバチが当たるぞ。」
サヤン: 「おい……。俺の日記に何を書いてるんだ? それに、リリーにバチが当たるなんて二度と言うな。」
(レモン: ほら見ろよ。これを『恋は盲目』って言うんだ。あいつはもう他人のものなんだから諦めろって……。あ、このことはサヤンの日記に書かないでおこう、じゃないと俺が殺される。)
レモン: 「あと何日こんなことを続けるんだ? さっさとリヨンに行こうぜ。あっちには俺の両親もいるし、新しい出会いだって……。」
サヤン: 「……お前、さっきから俺をイライラさせてるぞ。お願いだ、一人にしてくれ……。」
レモン: 「あと何日だ、サヤン! この20〜25日間、お前は何をしてた? 答えろよ! ちゃんと眠れた日なんて一日でもあるか? まともに飯を食ったか? その椅子に座り続ける以外、何をしたんだよ!」
サヤン: 「死んだっていい……もし俺が死んだとして、お前に何の関係があるんだ? 言ってみろよ……。」
(私は正気ではありませんでした。自分の世界に閉じこもり、レモンが何を言ってもただ怒りをぶつけていました。でも後で、ひどく後悔するのです。)
レモン: 「なあ……。放っておくこともできないし、こんなお前を見てるのも辛いんだよ、サヤン。……道は二つだ。デル叔父さんに真実を話すか、リリーを忘れてリヨンで新しい人生を始めるか。結婚したくないならしなくていい。ただ、生きてくれ。お前はまだ21歳だ、人生の半分も終わってない。無茶はするな、二人で新しい会社を作るんだ。トップを目指すんだよ。生きる目的がないなら、リヨンに行くことが今の目的だ。
忘れられないなら、それでいい。その想いを仕事にぶつけろ。リヨンには有名なリヨン市民病院(HCL)のアンリ夫妻がいる。彼らがお前の心の傷を治すのを助けてくれるはずだ。俺の親友なら、今週中にリヨンへ行くぞ。いいな。……さあ、もう寝ろ。眠れないなら親父さんのことを思い出せ。ファシオ叔父さんが今の自分を見たら、どれほど悲しむか考えろ。しっかりしろ、自分を保つんだ。」
(その日、久しぶりにレモンの口から父さんの話を聞いて、ようやく気づきました。父さんが私の幸せのために、人生でどれほどの苦労を背負ってきたか。もし父さんが今の私を見ていたら、どんなに悲しむだろうか……。自分をコントロールしなきゃダメだ。サヤン、お前ならできる。リリーを忘れるんだ……。)
大変な時期ですが、いいねやコメントをお忘れなく




