Episode 16
(僕はICUに入り、彼女の傍らの椅子に座った。)
リリー: 「ルゥおじさん、私、どうしてここにいるのかわからないの…」 (とても子供っぽい声で言った。)
サヤン: 「まったく、道路を渡る時は気をつけなさいって何度も言っただろう?それなのに、わかってないんだから。ねえ?」
リリー: 「私、事故に遭ったの?」
サヤン: 「そうだよ。家から出ちゃダメだって言ったのに、勝手に出るからだ。」
リリー: 「あぁ…うぅぅ…」 (子供が叱られて、言い訳をしようとする時のような声を漏らした。)
サヤン: 「どこが痛むんだい?」
リリー: 「体中が痛いの。見て、足もそうだし、手には針が刺さってる。それに頭には包帯まで…。まるでおばあちゃんみたいで、動くこともできないわ。」
サヤン: 「よしよし、それは置いといて。何か食べようか。」
リリー: 「いやだ、ルゥおじさん。これ食べたくない。」 (声を潜めて) 「これ、おばあちゃんが食べるお粥みたい。誰がこんなの食べるの、ベーッだわ。」
サヤン: 「おや、食べないのかい?じゃあ、何が食べたいんだ?」
リリー: 「チョコレートと、アイスクリームと、クロワッサン!あはは、それを食べたら最高に幸せなのに!」
サヤン: 「何を言ってるんだ。そんなに甘いものばかり食べたら、歯を抜かなきゃいけなくなるぞ。わかったら、黙って全部食べなさい。さもないと…」
リリー: 「あぁ、もう!食べるわよ。脅かさないでよ、ルゥおじさん。」
サヤン: 「ところで、君にプレゼントを持ってきたんだ。何だと思う?」
リリー: 「何?教えて!」
サヤン: 「先に食事を済ませたら教えてあげるよ。さあ。」
リリー: 「わかった、全部食べるわ。」 (少しして) 「ほら、食べたわよ!ねえ、ルゥおじさん、プレゼントって何?」
サヤン: 「ほら、僕からのプレゼントだよ。」
リリー: 「わあ!なんて可愛いテディベアなの!すごく可愛い!」
サヤン: 「今日からこの子は僕たちの家族だ。一緒に過ごすんだよ。」
リリー: 「ねえ、あなたのお名前は何ていうの、テディ?」
サヤン: 「うーん…名前は『トゥーバ』だよ。」
リリー: 「トゥーバ、素敵な名前ね。どういう意味?」
サヤン: 「天国にある、とても美しい木の名前だよ。君みたいに美しいリリーと同じだ。」
リリー: 「わかったわ、ルゥおじさん。この子はずっと私のそばに置くわね。」
サヤン: 「ああ、わかったよ。」
看護師: 「失礼します。そろそろお時間です。患者さんを休ませてあげてください。」
リリー: 「えぇ、ルゥおじさん。やっと来てくれたのに…。」
サヤン: 「大丈夫、夕方にもう一つプレゼントを持ってくるよ。それまでゆっくり休んで、お薬も飲むんだよ。いいね?」
リリー: 「バイバイ、ルゥおじさん!」
(ICUの外にて)
レモン: 「彼女はどうだった?」
サヤン: 「レモン、エナさん、みんなで協力して演技をしなきゃならない。これからは僕のことを『ルゥおじさん』と呼んでくれ。レモン、一、二週間したら先生の許可をもらって、リリーを家に連れて帰る準備をしよう。子供部屋のように、おもちゃや可愛いベッドを用意するんだ。」
レモン: 「わかった。彼女のために部屋を整えて、サイズに合わせた服や靴も買い揃えておくよ。彼女が疑わないようにね。」
エナさん: 「ええ、私も家のことはしっかりと準備しておきますわ。」
レモン: 「でも、彼女は過去について何も聞いてこなかったのか?」
サヤン: 「事故に遭って入院していると伝えてある。これからは、『君を孤児院から引き取ってきたんだ』と説明するつもりだ。」
その日の夕方… ICUにて…




