Episode 13
静かなはずの日常に、説明できない違和感が忍び寄っていた。
理由も分からないまま、胸の奥で不安がざわめき続ける。
まるで運命が、すぐそこまで近づいているかのように――。
それは偶然ではなかった。
そして、この日を境に、すべてが大きく動き始める。
病院の廊下での再会と祈り
外は激しい雨が降っていた。その雨音を聞きながら、俺は病院の廊下で彼女と過ごした日々を思い出していた。ただただ、後悔だけが胸を締め付ける。
「なぜ、あの時無理にでも彼女を引き止めなかったのか。なぜ、彼女を一人にしてしまったのか……。」
もし彼女に何かあったら。親父との約束も守れなかったことになる。
レモン:「俺も、彼女が助かることを心から願ってるよ。もしリリーに何かあって、お前から離れてしまったら……今のボロボロな状態のお前が、この先どうなってしまうか、誰にも想像できないからな。」(と、心の中で呟いた)
警察:「レモンさん、今はサヤンさんの証言をもとに被害届を作成します。もし犯人が彼女の夫であれば、厳罰に処するつもりです。今はただ、リリーさんの意識が戻り、証言が得られることを祈るばかりです。神が彼女を救ってくださるよう、我々も願っています。」
レモン:「意識が戻り次第、すぐに連絡します。」
(それからの48時間、俺はずっと病院の廊下の同じ場所に座り続けていた。でも、心の中に一筋の光はあった。運命が俺をあの日あの場所に導き、リリーを病院へ運ばせたのなら、きっと神様が彼女を助けてくれるはずだと。)
48時間後……
サヤン: 医者の言葉は、俺の人生そのものと同じくらい重要だった。もしリリーに何かあれば、俺も生きる希望を捨てていただろう。たった一晩の出来事が、俺を3年前のあの無力で孤独な自分へと引き戻した。
そんな時、突然医師が現れた。
医師:「サヤンさん、リリーさんは助かります。この48時間で、彼女の容態は劇的に回復しました。」
(その医師はヘンリー夫人だった。俺が3年前からお世話になっている精神科医、ヘンリー先生の奥様だ。この夫婦は、俺たちの人生の真実をすべて知っている。)
サヤン:(立ち上がりながら)「ありがとうございます……本当に、ありがとうございます、ヘンリー先生。リリーの命を救ってくれて……この感謝をどう伝えればいいか……本当に、ありがとうございます!」
医師:「回復に向かっているのは喜ばしいことですが、意識が戻るまでにはまだ少し時間がかかります。」
サヤン:「何日かかっても構いません。ただ、彼女が生きていてくれさえすれば……。」
レモン:「よかったな!その言葉を聞けて、俺も本当に嬉しいよ。」
サヤン:「ああ。今度はもう、彼女をどこにも行かせない。俺がずっと、一生彼女を守り抜くんだ。」
レモン:「エナ母さんには伝えてある。彼女がここに付き添ってくれるから、お前は少し休んでこい。もう何日もここにいるじゃないか。医者も大丈夫だと言ったんだ、一度リフレッシュしてこいよ。」
サヤン:「嫌だ。彼女の意識が戻るまで、俺は一歩もここを動かない。」
レモン:「でも、お前はこの2、3日何も食べてないだろ。鏡を見てみろ、ひどい顔だぞ。」
サヤン:「……彼女は何か食べたのか? 彼女だってお腹を空かせているはずだ。彼女を一人にして、自分だけ行くなんてできないよ。」
作者より:
試験とラマダンの合間に少し時間ができたので、新しいエピソードを投稿しました




