6話 魔法について
魔法というものを教わった。だが幾つか気になる部分がある。ルカに聞くしかない…か。
「ルカ」
『うん?どうしたの?』
「えっと…幾つか魔法について聞きたいことがある。いい?」
『良いよ!私に答えられることならなんでも!』
(あぁ…出会えたのが君で本当によかった。)
そんなことを思いつつ僕は尋ねる。
「えっと…まず命令部分について。あれって命令の仕方によって威力が変わるんだよね?ならその〜こ、殺せ…とかでもいけるの?」
ルカの顔が強ばるのが分かる。
『…うん。その通り。でも私は使えない。』
「え?なんで?」
『うーん。何故か私は使えないんだよね。だから私の詠唱の最大威力は"貫け"なんだよね。』
(やっぱりか。)
僕は思い出す。ルカがモンスターを倒した時、確かに"貫け"と詠唱していた。確実に倒すのであれば"殺せ"を使うべきだろう。
ならばなぜ出せないのか。これは恐らく想いの問題だろう。僕はそれが絶対だと感じていた。
なぜなら僕は1度"殺せ"を使った。
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初めての魔法を使ったあと
『え、え〜とちょっとここで待っててもらって…
いい?』
「いいけどどうしたの?」
『お、お花畑に〜…ね?』
「あ、う、うん。じゃあここで待ってるね。」
『う、うん。ご、ごめんね。いってきます…』
(そ、そうかトイレか…すっかり忘れてた。)
意図せず暇になった僕は魔法を試していた。
"当たれ/雷槍"
(当たる…がかなり弱い。使い道はないな。)
"貫け/雷槍"
(悪くない…が当たる場所によっては生き残るな。)
そして最後に僕は…
"殺せ/雷槍"
そう言った瞬間、目の前の鳥が跡形もなく消え去った。いや、言い方が違うか。もっと詳しく言うのなら…
周囲の森が消え去った。
威力を確認した後すぐに僕は戻った。
『あ!やっと帰ってきた!も〜外はモンスターで危ないんだよ?あんまり遠くに行かないでよね!』
「ごめんごめん。次からは気をつけるよ。」
そう言ってルカの頭を撫でる。
とても気持ちよさそうで僕も頬が緩む。
(あとはエルフが持ってる気配探知の術だけか…)
あぁ…なんて楽しいんだこの世界は。