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エピソード0 〜生前〜
この話は見なくても楽しめます。
見たらもっと楽しめます。きっと
ー死ぬ間際ー
目の前が赤く染まる。身体の感覚に違和感を覚える。すぐに理解する。無くなったのだと。
"進め。進め。ひたすらに前え"
「…」
声が聞こえた。生き残りが居たのかもしれない。
仕方なく地面をはって進む。声のする方へ。
"進め。進め。限りなく前え"
瞼を閉じる。どうせ血でほとんど見えないのだ。
声に集中する方が良いだろう。
進む。
進む。
やがて何かに当たる。柔らかい。
僕は潰れた声で確認する。
「ひと…」
何かは僕の手を包む。
僕の記憶はここで途切れた。
はずだった。