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夢を見るには歳が過ぎる

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

とあるゲームのダミーエンド。


全てが幸せハッピーエンド。

嫌な世界は全てぼかして終わりましょう?

幸せならそれで構わないでしょう?


そんなメリーバッドだったんですよ。

昔好きだったアニメの放送回がある。自分が欲しい言葉をくれて、甘やかしてくれて、すぐにでも依存してしまいそうな人だった。

人間、精神的に参るとあらゆる反動が体内外に現れる。どれだけ愛していても、『いい加減にしろ』と叫びたくなる様に。構ってくれ無くなった恋人に、どうにか気を引こうとして、子供返りをする様に。正常とは決して言い難いが、本能に準じた応答である様に思える。

だからこそ、其れは非常に自然な事であると同時に、不気味に感じられた。


本屋に共に行った時、彼女は女性が好みそうなラノベのエリアで立ち止まった。綺麗な表紙の帯には『君を生涯手放さない』という、歯の浮くような臭い台詞が書かれている。

「興味あるの?」

恋人達全てが満たされる世界じゃない。口喧嘩は当たり前、自分の気持ちを汲んでくれない事による苛立ち、其れから発展する幻滅なんて日常的に見られる光景だ。

だからこそ、空想の世界だけでは幸せでいたい。という思いが透けて見える。

「……昔は……好きだったのかも知れないけど……今は……。なんと言うか……都合が良過ぎる」

そう言って文庫を手に取りパラパラと捲り始めた。

「普通、相手が我を通し過ぎたら此方が疲れ果てて、相手に愛想を尽かす。でも互いが互いにお互いの言い分をぶつけ合って、其れで満足したら絆は深まっていく。満足しなければ破局する。

でも……この世界には其れがない。障害は外にあって、内側にはない。最初から完成されている。だから……なんと言うか幸せな悪夢を見ている気がする」

彼女の問に思わず目を開く。よく広告で流れて来る展開は決まっている。不幸な生い立ちの子が完全無欠に愛され、邪魔者を排して終わり。けれども確かに、恋人二人の間に傷があるとは思えなかった。障害は外に存在する。

「……都合が良過ぎて、気持ち悪いんだよね。……言葉が悪いな……違和感が凄いんだよね。過酷な現実の接続を切り落として、幸せな夢を見せる棺に入れられた様な、そんなメリーバッド。そんな物を見ている気がして……」

そうして彼女は溜息を着いた。夢を見るには歳をとり過ぎたという様に。

『俺と……番になって欲しい』

『アンタが良いんだ……』


これ、昔のホラーアニメのキャラの台詞。

もう大好きで、昔そんなに好きだったから、今もきっと大好き〜!! って思ってサービス放送見たんですよ。


そしたらなんと言いますか、違和感が先に来たんです。

私が欲しい台詞を的確に随所随所に入れてくる。

まるで自分の願望をそのまま映したように。


ちなみに、最後までご覧になるとお分かりで、自分が作り出した幻想というオチなんですよ。

だから本当にお笑い草。


昔はそんな事も考えずにただ『格好良い!!』って思ってたんです。

自分が作り出した幻想や憧れに焦がれていたんです。

でも今は少しだけ地面を見るようになったと思います。


この言葉、分からない方も多いと思います。

でも現実はそんなに甘くない。

必ず何処かで相手に幻滅する時がくる。

それでも其れを超えた先に、深い感情を抱く時がくる。

其れを踏ん張れるかが境目なんですよ。

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