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異世界に転移して回復能力を手に入れた俺が、老化の呪いを受けた超毒舌ヒロインを助ける羽目になった件  作者: ラストジェネレーション


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第四十一話 ヒロインの告白

待望の告白回です!

「メリッサ、俺はお前を殺す」


「......」


 彼女の表情が一瞬暗くなった。瞳孔が開き、目のハイライトが消えた。

さっきまで開いていた口もゆるく結ばれ、それでいて尚、

気味の悪いオーラは抜けなかった。


「.....」


 沈黙の中、俺は本能的に理解した。どうしてエルフは皆、魔女が死んだ事が

分かったのか?もうこれは、エルフの第六感とかそういう次元じゃない。


 生存本能が、警鐘を鳴らしているんだ。言うなれば、、


 『今すぐ逃げろ!』と、、


 そして、それは俺の身体も例外ではない。俺の身体は、明らかな異常を訴えている。


ー呼吸が荒いのは、血流の循環を促すためだ。

ー目が離せないのは、相手の一挙手一投足を見逃さないためだ。

ーお腹が痛いのは、自律神経が乱れてるから....


 そうだ..。俺はただでさえ自律神経が乱れやすい。過去に起立性調節障害になったせいで、

感情の変化に人よりも過敏に反応してしまう気質は、まだ抜けていない..。


 だから、まずはそんな自分を受け入れろ..。


 ビビってもいい..。怖くてもいい..。


 目の前の魔女こいつを、殺す気でいけ..。


 まずは回復能力で加護の無効......。



ーあれ..。



 しかし、俺が腕をかざした次の瞬間、目の前に広がる世界が、上下左右反転になった。

それだけではない。何故か俺の視界は、首から上がない自分の身体をとら..


「ふふ..。バレたのなら仕方ないわ..。サーニャ。後始末はよろしく..」


「はい..。メリッサ様....」


 


〜インフェルノ〜


 そっか..。俺、メリッサに首を切断されたのか..。いつ剣を抜いた?早すぎて、

まるで見えなかった..。しかし、見えないなら....、、




 俺は回復能力を発動し、切断され離れ離れになった首から下の肉体を、

サーニャが炎魔法を放った地点、そして俺(頭部)のいる地点を結ぶ線分の

ちょうど中点の座標に移動させた。


 切断された部位でも、あくまで切断面の結合を目的とした回復なら、

簡単な命令は神経が接続されていなくとも与えられる。(半分掛けだったけど)


 そして期待通り、首から下の俺の身体はサーニャの炎魔法により黒焦げになったが

肉壁となってくれたため、首から上の俺(本体)には何のダメージもない。

それに、今の数秒でまた新たな肉体を創り上げることが出来た..。


「ふぅ..。これで終わりか..。案外あっけなかったわね..」


 そして炎魔法によって生じた煙で、サーニャとメリッサに、まだ俺が生きている事は

知られていない..。さて、、どうやって攻める..?いや...、


『エルフの第六感は、相手のオーラを..』


 違う..。俺が生きているのはバレている..。だとするなら..、サーニャの今の発言はブラフ..。

隙をつこうとする俺に、トドメの魔法を放ってくる。そしてそのタイミングは今ーー


〜インフェルノ〜


 





 再度サーニャが放った炎魔法により、ツリーハウスの片側は全焼し、

床や天井の材木は焦げて黒くなった。しかし、彼女がパチパチと音をならす

材木、そして黒煙を風魔法で一掃し、正面に目線を動かした時、

目の前にいたはずの剣は消えていた。


 いや、消えたというのはおかしい..。第六感は彼の存在を感知している。


 そして、、



 彼女は気づいた。自身の周辺の瓦礫や焦げた材木が、自分の身体を目掛けて急接近

している事..。そして、自分の肩に、ねっとりとした赤いものが載っている事..。


 

 そうだ..。俺はサーニャが魔法を放った瞬間、扉の外に回って回避すると共に、

自分の頭に回復魔法をかけ、こう命令したーー

ー『脳の再生』この時、俺の脳は元から傷ついているわけではないから、再生の過程で

元あった脳は体外へと排出される。そして、脳は俺の鼻からドロリと出てきた


(確かミイラを作る時は、長いスプーンのようなものを使って、鼻から脳味噌を

取り出すという身の毛もよだつ話があったな)


 そして、脳を取り替える瞬間、俺は『先程の攻撃によってツリーハウス内に

飛び散った俺の血は、全て俺の所に戻ってくる』と、一種の自己回復手段を応用させた。


 そうして、サーニャが魔法を放った直後、俺は二人がいる場所を目掛けて、

体外に排出された脳味噌を投げた。それもただの脳みそではないーー

俺の血が寄ってくるという、命令付きの脳味噌だ。



「なるほど..。ツルギ..。考えたわね..」


「メリッサ様。。」


 直後、サーニャは四方から迫って来る瓦礫の数々に挟まれ、

かろうじて手を伸ばすも間に合わず、肩と足の骨が砕かれ動けなくなった。


 それは、剣の目線からもギリ目視する事が可能だったがーー


 メリッサはまだ何の外傷も追っていない..。彼女の元にも瓦礫は迫ったはずなのに、

全てオート発動の氷魔法によって、阻まれている。眩い衛星の光が照らす中、

彼女はブルーの瞳をこちらに向け、なおも凛とした佇まいを崩さなかった。


「くそっ..」


 未知数なのは、やはりメリッサの加護ーー

サーニャの、スタンリューマにかけられた加護を俺の回復で解いた後、

彼女は物理的な近接戦を用いず、一瞬でサーニャの身体を焦がした。


 あれはどういう原理でやっているーー

分からない..。なら発動させないよう回復魔法で加護の無効化..、いや、

間合いに入った時点で、またさっきのように首ちょんぱだ。


 また命令付きの脳をーーでも、そんなんやってる余裕はないー


 ならーー


「じゃあねツルギ..。楽しかったわ.....。『ステルラーー』」


 詠唱ーー『喉を潰す』ーそうだ。喉を潰せばいい..。

もうこののまま突っ込んで、何とか加護を使用するという選択肢だけは消すーー


 


「あら..。私の喉を潰す気....?でも残念....」


「は....??」



















「私のこれ..、技名叫ぶのがかっこよくてしてるだけで、本来は無詠唱だから....」


「あ....」



〜ステルラストライク〜



「ちょっ..。嘘だろ..。

そんな、技名叫ぶのがかっこいいと思ってる中学生男子みたいな奴の攻撃で死ぬのか..俺..」



 その直後、俺の前方の空間は、暗闇に満ちたツリーハウス全体を照らすほどの煌々しい光

に包まれた。そしてその光は、徐々に温度を増していき、

大気に乗せられ伝わる熱は肌を焼き、飛び散った木片を焼失させた。


 自分の右手が見えた。肘から先は、もう既に炭化していて、回復は追いついていない。

肘から手前..、、いや、全身がもう既に、重度の火傷をおっているのかーー


 暑くて、暑くて、頭がおかしくなって何も考えられなくなってきた。

全身に沸騰した水をぶっかけられてるみたいな感覚で、弛緩した筋肉は内側に歪曲し

激しい激痛を伴ったーー


 常に回復をかけていてこれだ..。痛いと感じて、それを治すと、また次の激痛が走るーー


 

 もう..。耐えられなーーー



 意識が途絶えかけた、、その時だったーー



『メリッサ。いいえ魔女さん。あなたは加護を使わないーー』


 

 聞き慣れた女性の声と共に、俺は激しい激痛と灼熱から解放された。

大気の温度が正常に戻ったのだーーしかし、ついさっきまであの暑さとは

比べものにならないほどの”寒さ”。正常な温度が、今の俺には、まるで極寒の地に

いるかのような寒さだった。

それに加え、汗を流しすぎたからか真っ直ぐ立っていられないし、

耳鳴りも、眩暈もするーー声の主はかろうじて分かったけど、貧血になった時みたいな

感覚で、俺の双眸は、彼女の全身を捉えるには至らなかった。


 

 頭ももう、回らないーー倒れるーー



「大丈夫?」



 前のめりに倒れた時、俺の顎下胸上あたりに、何か障害物のようなものが触れた。

ただ二点ほど確かなのが、その障害物はおおよそ無機物とは言えず温もりを帯びている事ー

そして、サラサラっとした何かから、良い匂いが発せられているという事ーー


 

 もう、頭は回らないーーでも、何故か俺は泣いていた。

多分、俺がもたれかかったのはただの壁じゃないのに、目頭が熱くなってしまった。

視界が徐々にはっきりとしてきて、曖昧な部分が像を結ぶーー



「スタンリューマさん」


「もう大丈夫だ。安心して。魔女は私が殺す」





 そう言い切り、彼女は俺を近くにあった壁の近くに横たわらせた。



「さて。久しぶりだね。君と会うのは1年前以来だ..」


「ふふっ..。そうだったかしら..??そうね。私は一年前、、

あなたに人格を操作され、自身に<老化の呪い>を強制するハメとなった。

たったの一年..、長く生きると、時間が短く感じて困ったものね」


「無駄話はいい。君と話していて得られるものは『殺意』『狂気』そして

『恐怖』と『憎悪』だけだ。私にはどれも不要な感情ーー」


「ええ知っているわ..。あなたの創り出したこの森は、まさに

『慈愛』そして『平和』のシンボルだから。争いは生まれず、人々は皆

日々何の苦痛も感じずに、安寧の時を生きるーー」


「あぁそうさ。私は生命体の一時的な教訓など、ゴミに等しいと思えてしまう。

してはいけないと分かっていても、その記憶は時間の流れで風化し忘れ去られる。

ならば初めから、他者への敵愾心そのものを無くしてしえばいい。

エデンの園にある禁断の果実を食べさせたくないのなら、初めから食べるという思考、

行動自体の概念を奪いさればいいように」


「禁断の果実?まぁそれは置いておくとして..。敵愾心を無くすね..。

でも、それってつまらなくない?全ての生き物は、攻撃性無くして成り立たない。

誰かを積極的に虐め抜き、傷つけ、砕く事に、、万物に通ずる本質的な”美”があるの..。

何故、殺しはいけない事なの?何故、誰も傷つけてはいけないの??

道徳に反するから?だったら、みんな人を殺さないよね。法律だって、作る必要もない。

でも、、実際はそうじゃない!殺しを愉悦とする私のような者だっている!!

私にとっては、殺さない事の方が変だから!!だから殺すの!みんながダメって言ってる!

でも、ダメだって最初に決めたのは誰?誰が決めたかも分からない事に従って生きるって、

とても不自由で、私には窮屈で窮屈でたまらなかった。でも、殺して初めて、私は

そんな窮屈な世界から解放される快感と、幸福、そして充足感を得られるの!!

どうしよう!!私、、変なんだ!さっきから、身体の奥が疼くんだ!どうしようもなく

ムズムズするんだ!私の目の前にいる、、貴方が、、死んでいく様を想起して....」


「はぁ。長話は終わり?うん..。じゃあ、また前の人格に戻してーー」



「えへへ..。貴方もムズムズしてきたでしょ。身体ーー息切れて、動悸激しくなって、

肩で呼吸するって、案外誇張表現じゃないのかもね..。どう?苦しいでしょ??

それとも、気持ちよかったりはするのかしら!?未知の体験に、ゾクゾクしてる?

でも、、うん、、君は、、もう終わりだよーーー」





 はぁ..


 まずいな..。全然目眩がおさまらない..。回復かけてるだろ..。

それなのに、なんだこの疲労感は..、治し次第、すぐにスタンリューマに加勢しないとー


 二人で何か話し合ってるみたいだけど、何をーー



 そこで、俺は見てしまった。



 膝から崩れ落ちたスタンリューマが、過呼吸で、ヒュッヒュと、おかしな

呼吸音を発し、全身が淡い光に包まれている光景をーー




ーーーーーー「スタンリューマ!!!!」











「あぁ!ツルギ..。こんばんわ。君のお友達、もう瀕死になってるね!

なんでこうなったと思う?実はね、君のお友達が作ってた偽の呪いの儀式。

<気化の呪い>ーー。彼女は夕方になると、森のエルフの許可を貰って、

犠牲者役の子達を森の離れにある

ツリーハウスに一時的に住まわせたみたいだったけど、迂闊だったね。

あそこはもう、以前サーニャがマークしていたから、そこに預けられた人間を、

サーニャは本当に殺害してくれた。そうする事で、

呪いの儀式は偽物でも何でもなく、本物になってしまったのよ。

スタンリューマはサーニャをおびき寄せたかったみたいだけど、

無駄に人攫いまで忠実にやったのが仇となったね」


「あ..」


 どうして気づかなかったんだーー魔女の狙いはメリッサーーでも魔女はメリッサだった。

そして<気化の呪い>自体、サーニャ(偽魔女)を炙り出すためのフェイクーー

でも、そのフェイクが本物に転化された今ーー本当の狙いはーー




 いや待て..。まだ引っかかる..。どうして今日なんだ!!

まだ7人殺されてない..。今日だって仮に一人いなくなったとしてもーー



「スタンリューマは攫った子達の様子を見にいくために、家を空けたのよ。

そして離れの家に誰もいないのを見た。不審に思った彼女は、再びここへ

戻ってくるーーそれが今ーーちょうど呪いが発動される今戻ってきたのよ」


「どうして..。今日はまだ6日目だ....」



「ふふ。そうよ..。でも、一日に、”二人”死んだとしたら?

気化の呪いは、他殺の場合に限り、生贄は一日に一人という制限があるけれど..、

仮に寿命が尽きるなどで死んだ場合は、その、寿命で死んだ物をプラス1として扱える。

こんな裏ルール。魔女でないと知り得ないわ..」



「あ......」



「ぷっ..。あははははは!!ツルギ...。貴方の行動は全部空回りなのよ!!

もしキューラを、あそこで蘇生せず見殺しにしておけば、少なくともまだ一日

余裕はあって、スタンリューマに私たちはやられていた..。だからね。この件の

一番の功労者は貴方よツルギ..。スタンリューマから聞いたわ、貴方、もうサーニャが

殺害したけど、ビーストってエルフのガキに貶されながら、それでも正義漢ぶって懸命に

蘇生を続けたって..。うふふ..。どう?今の気分は??異世界に来て舞い上がって、

柄にも無い、、

身の丈に合わない事をするからこうなるのよ!貴方がキューラを蘇生させたのは、

彼女を本気で助けたかったからじゃない。貴方が人助けして、気持ちよくなりたかったから。

ふふ..、とんだ自慰行為オナニー野郎ね..。でもありがとうツルギ!!

貴方のおかげで、私は私の天敵である、この女を殺せる!ツルギ!本当にありがとう!!」
















「あ.....。ああああああぁあああああああああああああああああああっっっっっぁ!!」

















 「大好きだよ!!自らの能力に溺れた、愚かな傀儡君!!」




















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