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異世界に転移して回復能力を手に入れた俺が、老化の呪いを受けた超毒舌ヒロインを助ける羽目になった件  作者: ラストジェネレーション


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第二十四話 エルフの過去

「では、私は今日からしばらくここを空ける。ツルギ。留守は任せた」


 早朝、スタンリューマは、まだ霧のかかる寒い時間帯に、

扉の前に立っている。そんな彼女を目の前にして、まず目に付くのは服ーー


 彼女の”正装”は、

多く点在するエルフの中でも一際存在感を放っていた。というのも、

通常、彼らは緑色のシャツと、女性だったらスカート、男性だったらズボンを

身に纏い、腰には茶色のコルセットを巻くのに対し、


 彼女は厚手の、黒と赤が

グラデーションになっている外套の下に、真っ白い雪の結晶模様のシャツを

着込んでいるからだ。それに加え、背中に携帯される弓矢、腰にぶら下がる

剣はどれも、本物の金やダイヤモンドで型取られた装飾がなされている。


 あまりの美しさに、思わず見惚れた。


「ふふ。そんなにマジマジと見つめられると照れるではないか。

私は明日から、ツルギ..、君に構って貰えなくなるというのに....」


「ご、ごめんなさい..。でも、本当に行ってしまうんですか?

それも..貴方一人で....」


「あぁそうさ。私一人で行く..。ふふ..。そんな心配そうな顔しないでよツルギ..。

別に私は死にに行くわけじゃないよ。少しばかし、この森で悪事を働いている

者にそれ相応の罰を与えに行くだけだから」


「それでもです。もしスタンリューマが不意打にでもあって酷い目に遭わされたら、

俺はきっと後悔するから。だからやっぱり俺も同行しま」


『君は私に付いてはいかない』


「それでも!帰ってくる確証がないのは嫌なんです!!

だからお願いします..。絶対に死なないで、生きて帰ってきて下さい」


「あぁ分かった。絶対に、それは約束しよう..。ではそろそろ行く。

だから最後に少しだけーー」


「ええ!頭撫でましょうか?それともマッサージにします?」













ー俺の唇に、何かが触れる感触がした。


「こ..これって..」


「じゃあね..ツルギ..。ありがとう。この一年、貴方のおかげで本当に楽しかったよ..。

 だから私は..........」


「すみません。まだ疲れが取れないので..、二度寝してきます..。ふわぁ..」


「うん..。それで良いんだよツルギ..。『君はここでの記憶を夢として処理する。

そして再び眠りにつき、起きた時には全て忘れる』だって..、夢の内容なんて..

いつまでも覚えているわけないもんね..」


ー「大好きだったよ。剣..」






「ツルギ起きなさい!!何時まで寝ているの!!もうお昼なんだけど!!」


 早朝、俺は自分の寝ていた布団の毛布をメリッサによって引っぺがされ、

彼女の透き通る声という最高の目覚まし音と共に起床した。


「もう..朝か..」


「だからもうお昼だってば!!全然起きないんだもん!死んだかと思ったわ!」


「はぁ..。回復能力持ちの俺が寿命以外で死ぬわけないだろ。

それよりもう昼かぁ?何かご飯の準備でもしないとなぁ..。ってあれ....」


「スタンリューマは?」


「昨日何かの都合で出て行くって言ってたじゃない。

全く、エルフの王様なのに他種族、

それも彼らが最も嫌悪する人間に留守を任せるだなんて物好きねぇ」


「ん?今なんて言った?」


「だから。彼女、物好きって言ったのよ。だって、エルフって人間嫌いで有名でしょ?

それなのに昨日と今日でずっと疑問に感じていたのよね〜。

ここに住むエルフは皆んな、私たちにもとても友好的で、敵意のカケラもなかったから」


「敵意?人間嫌い?そんなん初めて聞いたけど..」


「えー本当に?この世界じゃ常識よ」


「ちょっと待て!常識だって?」


「そう常識..。特に、”彼女”と深い関わりがある、根深い問題よね..。

あんた。もうこの森に一年もいるみたいだけど、”彼女”にそういう

感情を抱いたりするのは..あまりお勧めできないかな..」


「いや、だから待ってくれよ!さっきから何の冗談だ!」


 






ーエルフの過去の闇








 彼女曰く、エルフは元々、数々の森に点在するだけで独立した国家を持っておらず、

領土とか、そういう定義もとても曖昧な種族だったから、ある時期から、人間と

共生するようになったらしい。


 それは今から180年も前の話で、人類はまだ現在のような統一国家を持っておらず、複数の

小国同士で戦乱に明け暮れていた。そしてエルフと共生を始めた人間は、当時存在した国の

中でも、数こそ劣るものの、技術力に優れていたらしい。名を、”ラマール人”という。


 ラマーヌ人はその後、エルフと同盟を結び、

義勇軍と称して彼らを敢えて危険な戦地に投入した。

ラマーヌ人にしてみれば、自国民の兵を死なせたくはない。

その代わりに動員されたのが、日頃の狩りと膨大な寿命で、武芸に秀でるエルフ達だった。


「それで、その危険な戦地に送られたエルフは皆..、どうなったんです..」


「全滅..。だったらしいわ..。敵国の圧倒的な物量攻撃に成す術もなかったって..。

まぁ、その敵国が、今やこの世界の統一国家なのだけれど..」


 結局、ラマーヌ人達の国家は、滅ぼされ、エルフの数は減少した。

しかし問題はそこではない。問題なのは、

彼らがエルフに対し行っていた非人道的な実験


 それは


 ーエルフの長い寿命と、人間の高度な頭脳を併せ持つ、高次元の種を生み出す事ー


 本来他種族同士での交配は不可能


 当たり前だ。人間は46本の染色体を有しており、通常二人が交われば、

片方の23本、そしてもう片方の23本が結び付いて新たな生命が誕生する。


 しかしこれはあくまで人間同士の話であって、エルフの場合、染色体の本数も

形状も、人間のものとは異なるはず、そして仮に一致したとしても、そういった

交配は※倫理上問題があるのは言うまでもない。


 ※例えば、人間とチンパンジーは96%DNAが一致しているから、受精させようと

思えば可能かもしれない。しかしそれは生命への冒涜にほかならないだろう。

現代科学において、このような領域の研究は絶対のタブーとされている。


 しかし、ラマーヌ人はそれを敢行し、

人間とエルフのハイブリッドを生み出す事に成功した。


 ーそれも二人同時に..。双子として、


「この実験の過程で、多くのエルフが命を落としたわ。そして彼らは、

自分たちに酷い仕打ちを与えた人間に激しい憎悪の念を抱く事となる」


「..。当たり前だ..。そんなの恨まれたって文句は言えないよ..」


「でしょ?でも彼らは、人間には逆らえないの。ラマーヌ人の国が滅び、

敵国に故郷を焼かれたエルフは再び路頭に迷う事となる。そんな彼らに、

エルフ族自治区..。通称"エルフの森”と称した保護区を与えたのも、

私たち人間なのよ。つまりエルフは、憎悪を向ける存在にあろう事か、

手を差し伸べられ、窮地から救われたのよ。こんな惨めな事って、あると思う?」


「....ないよ」



「最後に....」


 ここでメリッサは一呼吸置き、驚愕の事実を明かした。


「さっき話した、エルフと人間のハイブリッドとして生を受けた双子の片割れ..。

皮肉にも、”彼女”はラマーヌ人の憶測通りとても優秀で、あの惨劇から

180年経った今でも、寿命は尽きていない..」


「ちょっと待ってよ..。嘘だろ....」


「人間の血が半分入っているんだもの。他のエルフと特徴が違っても、

何も不思議な事はないよね..」


 眩暈と吐き気が収まらなくなった。頭の処理が追いつかず、まともに立っていられない。






























「スタンリューマ..。彼女は人間でも、エルフでもない..。意味、分かるよね..」




 








 



 











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