第十六話 甘えん坊
~前回のあらすじ〜
スタンリューマさん、発情期突入!
「ただいま戻りましたっと..」
「そうだな。では早速夕飯の支度を始めようか..」
ーあれ?戻ってる?
「あの..」
「どうした?」
冷静で、落ち着いた雰囲気の、いつものスタンリューマだ!
「な、何でもないです..」
なんだ..。キューラさんの発情期云々の話は嘘だったのか..。
さて、以前山で採ってアクを抜いておいた筍もので、
今日は炊き込みご飯を用意してある。
この、アクを抜くという概念も、どうやらエルフには存在しないらしく、
この森で生活を始めた頃、スタンリューマに振舞われたそれは、渋くて
到底食べれたものではなかったのを思い出す..。
「今日は筍料理か..。全く、、まさかあれだけ渋かった食べ物が、ツルギの
おかげであれ程美味しくなるなんてな..。感謝している」
「いえいえ..。たまたまこの森に重曹があって、それをアク抜きに
使えただけなんで..」
「あまり謙遜しないで欲しいな..」
「しますよ。そもそもこの森には重曹があって、アク抜きの技術がない方が
可笑しいんですよ!!」
「あはは..。そう..だな....」
※この世界にどうして重曹が存在するのかは、後書きで詳しく書いてあります。
「そろそろコメが炊けますね〜..。良い匂いだ!!」
「私は?」
ー「え?」
「めっちゃ良い匂いします。ローズマリーみたいな..」
「....そ、そうか..」
え?何、今の質問?
「そういえば、もうそろそろ、メリッサの生誕祭ですよね..。
プレゼントとかどうします?やっぱり新しい服とかが良いですかね?」
「........そう、だな..」
あれ?さっきから、妙にしおらしいというか..。顔も真っ赤だし、、
よく見ると口元が微妙に緩んでプルプル震えている..?
「どうしましたか?熱でもあるんですか?」
「や、やめろ!私に触るな!!」
ーピト
かなり強めに拒絶していたが、その時すでに、俺は彼女の額に手を当ててしまっていた。
「あ....。すみませーー」
「ーーーーーダメだ..。どれだけ頑張っても、
本能には抗えない..。ツルギ..、すまないが、
飯を作る間少しだけでも良いから、、、あ....頭を撫でて!!....欲しい..」
「......はい..」
クソ!!こんなので一々平常心を乱すな..。頭を撫でるだけじゃないか..。
だから落ち着けマイサン..。飯を作るんだーー
片手でパン生地を撫でるイメージをすれば、、頭は所詮ただの球体ーー
「あー。飯盒の中から水が沸騰してきた。コメそろそろ炊けたかな」
「うわぁ..。火加減バッチリだ!これはきっと美味いぞ!!」
「ほ..本当だ!!」
結局、飯を皿に盛り付けるまで、スタンリューマは俺にくっつきっぱなしだった。
「美味しい!!筍の風味はやはり奥深くて良いものだな!!」
「そうですね!」
「....。なぁツルギ..。お前はもう、キューラから聞いたろう..。
私のその、、百年に一度の周期で回ってくる、、アレのことを....」
ーゴクリ
「ゴホッ」
この時飲んでいた水が変な所に入ったため、俺はむせた。
「はい..」
「うん。なら良い..。そうなんだ..。これはエルフの困った習性でな..。
エルフは普段性欲が希薄な分、短期的に解放される時期は本当に酷いんだ..。
もう、誰かに甘えたくて甘えたくて、思考がそれだけで埋め尽くされるんだよ。
タイミングを問わずずっとね..。だからこれから一年近く、迷惑をかけちゃうから
本当にごめん..」
「ぜ、全然良いですよそんなの!
俺は寧ろスタンリューマさんの新たな一面が見れてとても嬉しいです!」
「や、やめて!!私を褒めないで..。そのね..、エルフのアレは、、何もなければ
甘えたくなるだけだけど、仮に誰かを好きになっちゃうと、、別の欲求が
出て来ちゃってどうにもなくなるから..。そんなになったら、もっと迷惑
かけちゃうよ!!」
ーは、歯痒い..。これはもう、一種の焦らしなのでは?
クソ..。エルフの発情期は思っていたよりも厄介そうだ..。
「分かりました..。ふぅ..。とりあえず飯食いましょう!冷めちゃうんで!」
「そ..そうだね..な。折角の夕飯が不味くなっては敵わん..」
その後はもう、スタンリューマに気を取られすぎて、
飯を食ってるのかいないのかも
わからなくなってしまった。
♢
「ふ〜..。やっと一人になれた..。なぁメリッサ..、、俺、お前の事が..。
いや、、だからとにかく、俺はあの人を好きにはならない!!だから
明日の早朝も散歩に出掛けよう....」
ー行方不明事件と魔女の関連性
「いや..、それはやめておいた方が良いか....」
「ねぇツルギ〜!!私を一人にしないでよ〜!!」
「おっと..。すみません..」
結局、この人
が魔女である可能性は、ほぼ0と言って良いだろう..。
じゃあ、誰が魔女なのだろうか..。<呪い>は発動している..。しかし魔女は
もう既に死んだと、スタンリューマは言う..。
ここまで来れば、否が応でも考えざるを得ないだろう
今回の事件は、、<魔女>の仕業ではないのでは?と
美味しい筍料理の作り方
1、まず、重曹を用意します
重曹がない場合)
現実世界では、内モンゴル自治区に赴き、トロル鉱石を掻っ払ってきます
異世界の場合は、エルフの森の至る所にあります。
※トロル鉱石の中には、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムが含まれている。
※重曹は炭酸水素ナトリウムです。
炭酸ナトリウムを、石灰石を加熱させて発生した二酸化炭素と反応させ、
炭酸水素ナトリウムにする。以上のステップで純度99%の天然由来の重曹が完成!
2、底の深い鍋を用意、水をはり、筍、重曹を共に入れ茹でる
筍は市販のスーパーでお買い求めを!
3、冷やす
4、皮を剥く
5、切る(適当)
6、調味料(塩とか)をまぶす
7、アマ○ンで注文していた、アク抜き済み無添加水煮筍が到着
8、今までの作業工程は全て無駄だったのだと絶望する
9、でも何やかんや、生の筍の方が美味い(気がする。そう思いたい)




