第1章 藍色の夜空に見惚れて (櫻井シオン編) 後編
ラーメン屋
店員
「いらっしゃいませ!2人ね!カウンターのところに座って!!」
威勢の良い店員さんに案内され、カウンター席に座った。
櫻井シオン
「さて…………何にしようかな?」
真瀬莉緒
「俺はこれかな?ブラックスープラーメン。なかなか美味しそうだからね。」
櫻井シオン
「私は…………ホワイトスープラーメン。すみませーん!」
店員
「あいよ!!」
僕はブラックスープラーメン、シオンはホワイトスープラーメンを頼んだ。
ラーメンが来るまでの間、僕たちはたわいもない話をした。
真瀬莉緒
「シオンはなんでホワイトスープラーメンを?」
櫻井シオン
「うーん…………単純に白色が好きだったからかな?」
真瀬莉緒
「白色が?」
櫻井シオン
「白って、純白な色だから…………特別な色って感じがして、私は白が好きなの。ハルトも確か白が好きらしいんでけどね。」
真瀬莉緒
「白色が好きなのか…………知らなかったよ。俺も白も好きなんだ。」
そんな話をしていると、ラーメンが来た。
店員
「へいお待ち!ブラックスープラーメンとホワイトスープラーメンです!」
真瀬莉緒
「いただきます。」
櫻井シオン
「いただきます!」
僕たちはラーメンが来ると黙々と食べ始めた。
僕の頼んだブラックスープラーメンは醤油ベースのラーメンで少しだけ辛味もあるがそれもまたクセになる。
シオンも黙々と食べている。相当美味しいんだろうな。
真瀬莉緒
「ここのラーメン最高。」
櫻井シオン
「それね。」
店員
「ありがとうございます!!」
店員さんが喜んでいる。
ラーメンを食べ終え、店を出ると、僕たちは帰り道に曲のことについて話した。
真瀬莉緒
「曲…………どうする?」
櫻井シオン
「そうね…………あ。確か音楽に詳しい先生がいたはず…………!」
真瀬莉緒
「音楽に詳しい?」
櫻井シオン
「確か……笛花奏先生って言って、音楽の指導はとてもためになるはず…………!」
真瀬莉緒
「笛花先生か……神谷先生に聞いてみようか。」
櫻井シオン
「そうね。明日、先生に聞いてみましょう。」
そうして、僕たちは帰り道も楽しく雑談をしながら、六郭星学園に向かった。
翌日…………。
六郭星学園 職員室
私たちは神谷先生に笛花先生に指導をお願いしたいことを話した。
神谷乙音
「なるほどね…………奏にね……。」
真瀬莉緒
「はい……。」
神谷乙音
「そうね…………ねえ、瑛久。奏は今、大丈夫かしら?」
神谷先生は姉さんの担任の先生。柿本瑛久先生に聞いた。
柿本瑛久
「うっ………………ううん…………難しいかも…………。奏さんは今、出張中だし…………。」
神谷乙音
「そうよね…………。あ!…………でも音源なら送れるかもしれないわ!」
櫻井シオン
「音源ですか?それでもありがたいです!」
神谷乙音
「それじゃあ、コンセプトを決めないとね!一体なんのために作曲をするのかも決めておかないと。」
真瀬莉緒
「コンセプトですか…………そうですね…………。」
実は1つ悩んでいることがある。知り合いのツテで声優さんに曲を作って欲しいとの依頼があったためだ。
この曲をシオンと作る…………それも1つの手かもしれない。
なぜならその声優さんはシオンが大好きな声優さんだからだ。
ただ依頼は僕だけの依頼だ。
僕は悩んだ末に考えた結論は…………
真瀬莉緒
「ねえ、シオン。1つ提案があるんだけれど…………。」
櫻井シオン
「提案…………?」
僕はシオンに声優さんに曲を作ることをシオンに話した。
シオンは驚いた表情を見せたが、すぐに喜びの表情を見せた。
喜びを見せた後、今度は疑問をシオンは抱いていた。
櫻井シオン
「本当に私が関わっても良いの?」
真瀬莉緒
「ああ、責任は俺が取るし…………シオン。お前が好きな声優さんだろ?関わりたいとは思わないのか?」
櫻井シオン
「………………そうね!私も作曲作りに関わりたい!そしてこの曲を声優さんに歌ってもらいたい!莉緒、私も混ぜて!」
真瀬莉緒
「決まりだ。…………先生。コンセプトはこれで良いでしょうか?」
神谷乙音
「もちろん!制作頑張ってね!」
柿本瑛久
「あ…………僕も応援してるよ…………!」
柿本先生は小声でそう呟いた。
真瀬莉緒
「ありがとうございます!」
神谷乙音
「それじゃあ、奏には伝えておくから、今日はゆっくりと休みなさい!」
櫻井シオン
「はい!」
シオンがそういうと僕たちは職員室を後にした。
六郭星学園 中庭
シオンと別れた後、僕は外の風を吸いに中庭に来た。
真瀬莉緒
「ふう…………風が気持ち良い…………。」
春の夜風を浴びていると…………眩い光が辺りを包み込んだ。
真瀬莉緒
「な…………なんだ…………!?」
光が消えていくとそこには1人の女性が立っていた。
真瀬莉緒
「あ…………あなたは…………?」
気がつくと、恐る恐る声をかけていた。
虹谷アヤ
「あなたが真瀬莉緒ね。私は虹谷アヤ(にじや あや)。」
真瀬莉緒
「は、はぁ…………それで、一体何をしに…………?」
虹谷アヤ
「私はある人物を追っていてね…………。その人物は容疑者なの。」
真瀬莉緒
「よ…………容疑者?一体誰が…………?」
虹谷アヤ
「その人物の名前は…………櫻井シオン。彼女よ。」
真瀬莉緒
「シ…………シオンが!?」
虹谷アヤ
「ええ、だから…………彼女を拘束させていただくわ。」
真瀬莉緒
「や、やめてください!!」
僕は思わず声を出した。
虹谷アヤ
「どうして止めるの?」
真瀬莉緒
「僕はシオンをよく知っている。シオンは悪いことをするやつではないです!」
虹谷アヤ
「……………………。」
真瀬莉緒
「僕はシオンを信じています。なので今日はお引き取りください。」
そう言うと虹谷という人はため息をつく。
虹谷アヤ
「仕方ないわね…………でも後悔するのは自分だということを忘れないことね!」
虹谷という人がそう言うと、再び眩い光が辺り一面を照らす。
そして、光が消えるとそこには誰の姿も見えなかった。
真瀬莉緒
「なんだったんだ………………?」
僕はよくわからない状況に対して、少しだけ苛立ちを覚える。
櫻井シオン
「莉緒…………?」
真瀬莉緒
「シオン…………!」
櫻井シオン
「何かあったの?」
真瀬莉緒
「いや…………なんでもない。」
僕は虹谷という人の件は伝えず、シオンと何気ない話をすることにした。
真瀬莉緒
「それよりもどうしてここに?」
シオンも何もなかったかのように僕の話に答える。
櫻井シオン
「私も夜風に吹かれたくてねー。そこにまだ莉緒がいただけ。」
真瀬莉緒
「そうか…………じゃあ、話しながら夜風に触れようか。」
櫻井シオン
「賛成!」
そういうと僕たちは桜が舞い散る、夜風のもとでたわいもない話をした。
藍色の空の下から見える、町中はライトの光でとても綺麗だった。
僕たちは黙ってその町中を眺めていた。
真瀬莉緒
「……………………。」
櫻井シオン
「……………………。」
僕たちは町中を眺め終わると、再び別れた。
六郭星学園寮 莉緒・ハルトの部屋
部屋に戻ると、ふと思いついたフレーズが降りてきた。
真瀬莉緒
「浅越さん。」
浅越ハルト
「ん…………?」
僕は浅越さんにそのフレーズを聞いたもらうことにした。
フレーズを弾き終えた後、浅越さんは驚きの表情を見せた。
浅越ハルト
「驚いた…………。さすがだよ。莉緒。」
真瀬莉緒
「はぁ…………どうも。」
僕は浅越さんの褒め言葉に少し戸惑いながらも、お礼を言った。
浅越ハルト
「じゃあ、それを櫻井に聞かせるんだろ?…………櫻井にねぇ…………。」
浅越さんは少し不服そうな感じを出していた。
真瀬莉緒
「あの…………何かあるんですか?シオンに?」
浅越ハルト
「あ、いや…………なんでもない。…………さあ、今日はもう遅い。寝るとしようか。」
真瀬莉緒
「…………はい。」
僕たちは寝床についた。
シオンと浅越さんの関係って一体何なんだろう…………そう思いながら、僕の意識は遠のいていく…………。