第1章 藍色の夜空に見惚れて (櫻井シオン編) 中編
翌日…………
六郭星学園 音楽室
真瀬莉緒
「ここが、音楽室か…………。さすがに広いね。」
櫻井シオン
「6つの高校が合併したんだもの。これぐらいの広さじゃないと。」
真瀬莉緒
「じゃあ、早速…………シンセサイザーはあるのかな…………?」
僕たちはシンセサイザーを探し始めること数分。
櫻井シオン
「あったあった。状態も良いし、これなら演奏できるわ。…………じゃあ、莉緒。シンセサイザーの演奏を。」
真瀬莉緒
「はいはい。」
僕はシンセサイザーを演奏する…………
さすがのシオンだ。完璧な演奏にも驚きはしない。
櫻井シオン
「完璧ね。次は私ね。」
シオンがシンセサイザーを弾く。見事な演奏だった。
真瀬莉緒
「完璧だな。シオンはさすがだよ。」
櫻井シオン
「ありがとう。それじゃあメインの楽器はシンセサイザーであとは…………」
??
「何をしている…………?」
声が聞こえた方を向くとそこには姉さんと、髪の毛が濃い紫色をし、白いネクタイをつけた男子生徒がいた。
真瀬莉緒
「姉さん!?」
真瀬志奈
「莉緒!あなたも作曲の練習を?」
真瀬莉緒
「ということは姉さんも?」
真瀬志奈
「そうだけど……。」
??
「なるほど……俺たちと同じことを…………か。まあいい、終わるまで待っている。終わったら呼んでくれ。」
そういうと白いネクタイの男子生徒は音楽室から出ていった。
真瀬志奈
「ごめんね…………ところで莉緒。もしかしてあなた、シオンとペアなの?」
真瀬莉緒
「うん。そうだよ。だから作曲なんだ。」
櫻井シオン
「志奈。久しぶりね!元気してた?」
真瀬志奈
「うん。まあね。」
シオンは姉さんとも交流があり、お互いのことはよく知っている。よく音楽の相談は同性である姉さんに相談するほどの仲だ。
真瀬志奈
「あ、そうだった。浅越さんのところに行かなくちゃ……。じゃあ、2人とも頑張ってね!」
姉さんは僕たちにエールを送り、音楽室を後にした。
櫻井シオン
「ふぅ……。」
真瀬莉緒
「しかし、あの男子はいったい…………?」
櫻井シオン
「ハルトよ。」
真瀬莉緒
「え?知っているの?」
櫻井シオン
「浅越ハルト(あさごえ はると)。私の古くからの知り合いでね。学者になりたいんだって。」
真瀬莉緒
「へえ…………学者ね…………。夢を持つっていいよね。」
櫻井シオン
「でもね。ハルトの前では妹の話は禁句よ。」
真瀬莉緒
「え……?妹さんがいるの?仲が悪いの?」
櫻井シオン
「逆よ。仲はすごく良くて、お兄ちゃんと結婚するんだって、言うくらいの妹なの。」
真瀬莉緒
「それは仲良しだね。それで…………どうして禁句なんだ?」
櫻井シオン
「それは…………言えない。」
真瀬莉緒
「…………ふうん。そうか。」
櫻井シオン
「…………さ、ハルトも待っているし、少し練習して切り上げましょうか。今日から寮生活になるし。」
真瀬莉緒
「はいはい。」
僕たちは少し練習をしてから、寮生活をするそれぞれの部屋へと向かった。
六郭星学園寮
真瀬莉緒
「ここが1年間、住む部屋か…………。」
部屋は広くリビングとベッドルームが2部屋あり、両方防音になっているらしいのでベッドルームからもう一つのベッドルームからは何も聞こえない。この部屋に2人1組というのがこの寮のルールらしい。僕と相部屋の人は…まだ来ていない。
ゆっくりするか……。そう思った時、部屋のドアが開いた。
??
「ん……君は…………?」
真瀬莉緒
「あなたは…………浅越さんですか?」
部屋に入ってきたのはシオンが言っていたさっきの人だった。
浅越ハルト
「どうして俺の名前を…………?…………ああ、櫻井が話したのか。浅越ハルト。よろしくな。」
真瀬莉緒
「真瀬莉緒です。よろしくお願いいたします。」
浅越ハルト
「真瀬…………?………………もしかして双子か?」
真瀬莉緒
「はい。姉は真瀬志奈って言います。」
浅越ハルト
「そうか…………顔が似ているから妙だとは思ったんだ。」
真瀬莉緒
「はい…………よく言われます。」
僕は少し照れながらそういった。
浅越ハルト
「…………ま、同じ部屋のよしみだ。改めてよろしく。」
真瀬莉緒
「はい。」
浅越ハルト
「ところで…………櫻井から聞いたと言うことは、妹のことも聞いたのか?」
真瀬莉緒
「……………………。」
少し黙ったが、嘘をつくわけにもいかなかった。
真瀬莉緒
「はい。聞いています。」
浅越ハルト
「そうか…………すまないが……妹の話はしないでくれ。この通りだ。」
浅越さんは頭を下げた。慌てて僕は頭を上げるように言った。
真瀬莉緒
「だ……大丈夫です!話しませんから!!」
浅越ハルト
「お…………そうか……ありがとう。」
真瀬莉緒
「ふぅ…………。」
浅越ハルト
「悪いが、そろそろ出かけるよ。志奈が待っているんだ。曲の練習があるからな。」
真瀬莉緒
「あ、はい。わかりました。お気をつけて。」
浅越ハルト
「ふっ…………相部屋同士だ。フランクで良い。」
真瀬莉緒
「あ、はい…………。」
浅越ハルト
「じゃあ……出かけるよ。」
浅越さんは音楽室へ向かった。
真瀬莉緒
「さて…………どうするか…………。」
僕は悩んだ末に、休憩がてら動画を見ることにした。Vtuberの動画鑑賞だ。
名前は綺羅星メルマ(きらぼし めるま)。ここ最近で登録者数が60万人を超えた、今1番勢いのある女性Vtuberだ。
綺羅星メルマ
「星々のみんな〜!みんなのアース。綺羅星メルマで〜す!」
いつものかけ声にいつもの挨拶。最近の心の拠り所だ。
綺羅星メルマ……癒されるな……。
メルマの動画をひと通り見終わると僕はすぐに寝床についた……。
六郭星学園 Iクラス教室
朝、教室に着くと、シオンがすでに教室にいた。
櫻井シオン
「あ、おはよう。どうだった?相部屋の人は?」
真瀬莉緒
「ああ、浅越さんだったよ。」
櫻井シオン
「ハルトと…………!?」
シオンは目を丸めて驚いていた。
櫻井シオン
「それで…………妹の話は…………?」
真瀬莉緒
「頭を下げながら言われたよ。話さないでくれって…………。」
櫻井シオン
「そう…………なんとかやっていけそう?」
真瀬莉緒
「とりあえずはね。なるべく妹さんのことは話さないでおくよ。」
櫻井シオン
「そう…………あ、そうだ。スキンシップを兼ねて、放課後にラーメンでも食べにいかない?」
真瀬莉緒
「ラーメンか…………いいね。それじゃあまた、放課後で。」
櫻井シオン
「ええ。」
そして…………放課後。