第４章 黄緑色のキーホルダー (小鳥遊カルマ編) 前編
冬。小鳥遊さんとの溝も埋まり、作曲の練習を毎日のように練習を繰り返した。
六郭星学園 音楽室
真瀬志奈
「順調ですね…………。」
小鳥遊カルマ
「ああ、恐ろしいほどにな…………。」
練習をもうしなくてもいいくらい演奏は完璧だった。
後はもう声優さんに聞いてもらうために演奏を録音するだけだ。
真瀬志奈
「じゃあもう早速、録音を…………。」
というと、柿本先生が音楽室に入ってきた。
小鳥遊カルマ
「柿本先生…………？」
柿本瑛久
「ああ…………ごめん…………急に…………。今日はちょっと気になることがあってね…………。」
真瀬志奈
「気になること…………？」
柿本瑛久
「もうすぐ期末テストだけど…………やっているかい………………？」
その言葉を聞いて、私たちは驚愕した。うっかり忘れていた。
柿本瑛久
「その様子だと…………まだみたいだね。」
真瀬志奈
「すみません。すっかり忘れていました。」
小鳥遊カルマ
「録音は後回しで…………勉強しようか。」
真瀬志奈
「はい…………。」
期末テスト…………六郭星学園は期末テストは年度末の１度のみ行われる。
しかし、１度だけであるため、範囲は１年分の授業内容となっており、かなりの難易度である。
私たちは教室でテスト勉強に励むことにした。
六郭星学園 Ｃクラス教室
勉強を始めると、私たちは無言のまま、勉強を進める。
しばらくすると集中力が切れたのか、小鳥遊さんは独り言が多くなっていた。
小鳥遊カルマ
「そうか…………ここはこういう公式で計算するのか…………。」
そうぶつぶつと言いながら、小鳥遊さんは勉強に熱心だった。
小鳥遊さんの表情はとても真剣で、こんな真剣な様子は初めてかもしれない。
こんな表情を見ていると、少しだけドキドキしてしまっている。
小鳥遊カルマ
「ん…………？何かあったのか？」
真瀬志奈
「あ、いえ…………何でもないです。」
小鳥遊カルマ
「そうか…………。」
小鳥遊さんがそういうと同時に風亥さんたちが教室に入ってきた。
風亥ノクア
「いたいた。お疲れ！」
真瀬志奈
「風亥さん。お疲れ様です。」
浅越ハルト
「勉強しているんだってな。」
小鳥遊カルマ
「ああ…………。まあな。」
風亥ノクア
「手伝おうか？」
真瀬志奈
「いいんですか！？ありがとうございます！」
風亥さんはクイズ番組の出演者であり、この間の放送でも大活躍だった。
そんな知識を持った風亥さんの助けを借りれるのはありがたい。それは小鳥遊さんも同じだった。
小鳥遊カルマ
「ありがたい。ここの化学式が分からなかったんだ。分かるか？」
風亥ノクア
「ああ、ここね…………ここはこう解くんだよ。」
小鳥遊カルマ
「なるほど…………。」
小鳥遊さんもこの１年で割と素直になったみたいで、ありがとうの言葉も増えてきている。
小鳥遊カルマ
「よくわかったよ。ありがとう。」
風亥ノクア
「いいんだよ。」
小鳥遊カルマ
「そうか…………いつかはお礼をしなくてはな。」
風亥ノクア
「ああ、その時は…………な。」
浅越ハルト
「それじゃあそろそろ俺たちはお暇させてもらう。」
小鳥遊カルマ
「ああ。ありがとうな。」
そういうと風亥さんたちは教室から出て行った。
その後も私たちは黙々と勉強をする。
日が暮れそうになった頃にこんな話を小鳥遊さんがした。
小鳥遊カルマ
「なあ…………今までずっと考えていたけれど…………。」
真瀬志奈
「………………？」
小鳥遊カルマ
「真瀬…………お前…………もしかしてだけど…………。」
真瀬志奈
「……………………？」
小鳥遊カルマ
「……………………」
中神シンジ
「おい！何をしている？」
小鳥遊カルマ
「…………貴様か。分かるだろ？テスト勉強だよ。」
中神シンジ
「……………………。ほお…………？」
小鳥遊カルマ
「学生の本分は勉強だろ？それは生徒会もわかっているはずだ。」
中神シンジ
「………………くっ…………！せいぜい頑張るんだな。」
中神さんは負け犬の遠吠えのような捨て台詞を吐いて教室から出ていった。
小鳥遊カルマ
「………………全く。いけすかないやつだ。」
真瀬志奈
「あの…………それで…………？」
小鳥遊カルマ
「ああ…………もういい。今日は切り上げよう。邪魔者が来たからな。」
真瀬志奈
「…………わかりました。小鳥遊さん。頑張りましょう！」
小鳥遊カルマ
「……………………ああ。」
小鳥遊さんはたった一言そういうと自分の部屋に戻って行った。
真瀬志奈
「私も頑張らなくちゃ…………！」
そう呟き、自分の部屋に向かった。
六郭星学園寮 志奈・エリカの部屋
真瀬志奈
「ただいま…………。」
美園エリカ
「あ、おかえり。今日はどうしていたの？」
真瀬志奈
「今日は小鳥遊さんとテストの勉強を…………。」
美園エリカ
「ああ、そういえば期末テストの日が近いわね。」
真瀬志奈
「そう。それで勉強をすることに…………ね。」
美園エリカ
「私も勉強をしないとね。…………ああ、そういえば…………あれはどうなったの？」
真瀬志奈
「あれ…………とは？」
美園エリカ
「勝負して勝った時、願いを１つだけ聞くって話。」
真瀬志奈
「ああ…………そういえばそんな話があったわね。」
美園エリカ
「あれ…………どうなったの？」
真瀬志奈
「もういいのよ。だってもうやめたじゃない。…………憧れ。」
美園エリカ
「…………ああ、願いはそれね。…………じゃあこの話はおしまいね。」
真瀬志奈
「ええ。変わったわね。」
美園エリカ
「ふふふ…………お互いにね。」
真瀬志奈
「ええ。」
そういうと私はもう少し美園さんと雑談を交わして、再び勉強に取り組んだ。
