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colorful〜rainbow stories〜  作者: 宮来 らいと
第2部 小鳥遊カルマ編
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第2章 グレーゾーンを踏み入れて (小鳥遊カルマ編) 後編

六郭星学園 Iクラス教室



部屋に戻ってから、美園さんに話を聞くことはできなかった。


それから数日が経ち、私は美園さんの憧れは何なのか知っているかもしれないと思い、莉緒たちに話を聞いてみることにした。


真瀬志奈

「ということですが……何か知っていますか?」


霧宮ナツハ

「憧れね…………。確かに彼女、中二っぽいところはあるけれど……もし彼女の憧れがこの間の騒動だとしたら、ちょっと考えたほうがいいわね。」


櫻井シオン

「そうね。私もそう思うわ。」


真瀬莉緒

「でも姉さん。俺らは彼女の憧れについてよくわからないんだ。カルマに聞いた方がいいんじゃないかな?」


莉緒の言う通りかもしれない。私は思い切って小鳥遊さんに話を聞いてみることにした。


真瀬志奈

「すみません、ありがとうございます。」


霧宮ナツハ

「何かあればまた言って。力になるわ。」


櫻井シオン

「私も!頑張ってね。」


真瀬志奈

「ありがとうございます。」


私は莉緒たちにお礼を言い、小鳥遊さんがいるであろう、寮の部屋に向かった。



寮へ行くと小鳥遊さんがいた。……が、何か揉めている様子が伺える。


よく見ると、揉めているのは生徒会の中神シンジ(なかがみ しんじ)さんとだった。


中神シンジ

「カルマ!あのときの騒動は貴様が原因だろ!どうしてくれるんだ!」


小鳥遊さんはそれを聞いて、ため息をついた。


小鳥遊カルマ

「被害妄想もこりごりだな。そんなことだから生徒会はダメなんだよ。」


中神シンジ

「き、貴様ァ!!」


中神さんが小鳥遊さんに殴りかかろうとすると、咄嗟に男子生徒が中神さんの手を掴んだ。


??

「やめろ。生徒会が手を上げて良いと思っているのか?」


中神シンジ

「う……浦川!」


止めに入ったのは浦川アイク(うらかわ あいく)さんだった。


中神シンジ

「離せ!貴様……何様のつもりだ!!」


浦川アイク

「君の思想は少し危険だ。頭を冷やせ。」


中神シンジ

「…………くっ!」


中神さんはどこかへと行ってしまった。


浦川アイク

「おい。」


小鳥遊カルマ

「…………?」


浦川アイク

「中神はああ言っていたが、今はどうなんだ?」


小鳥遊カルマ

「今は……考えてはいない。」


浦川アイク

「そうか……なら良い。」


浦川さんもそう言って、どこかへと行った。


小鳥遊カルマ

「……………………隠れていないでそろそろこっちに来い。」


真瀬志奈

「あ、すみません…………。」


私は小鳥遊さんに言われ、小鳥遊さんに近づく。


小鳥遊カルマ

「…………で、いつからそこにいた?」


真瀬志奈

「…………中神さんと揉め合っているところからです。」


小鳥遊カルマ

「そうか…………。」


小鳥遊さんは何かを考え込んでいた。何かを考え込んだのち、重い口を開いた。


小鳥遊カルマ

「俺の秘密を話そう。部屋に入ると良い。」


真瀬志奈

「は、はい…………。」



六郭星学園 莉緒・カルマの部屋



小鳥遊さんに言われ、私は部屋に入った。小鳥遊さんの秘密…………私はそれに不安を抱きながら聞くことになる。


真瀬志奈

「小鳥遊さん…………秘密って一体…………?」


小鳥遊カルマ

「これを見てくれ…………。」


小鳥遊さんは黄緑色の眼帯を私に見せてきた。


真瀬志奈

「これは一体…………?」


小鳥遊カルマ

「これは俺がかつて中二病を患っていた時に使っていた眼帯だ。」


真瀬志奈

「中二病を…………!?小鳥遊さんが?」


小鳥遊カルマ

「ああ……前に髪の先端を黄緑色に染めている話をしただろ。あの時は相性が良いと言ったが……本当は当時の名残が残っているんだ。」


真瀬志奈

「そうだったんですね…………。」


小鳥遊カルマ

「中神が俺を嫌がる理由は俺が美園と同じ研究に憧れを持っていたことからなんだ。」


真瀬志奈

「憧れ…………あの獣のことですか?」


小鳥遊カルマ

「ああ…………。けれど、あの獣を最初に見た時、俺は研究に憧れるのを……やめた。」


真瀬志奈

「そうだったんですね…………でもどうして研究のことを知っているんですか?」


小鳥遊カルマ

「俺も美園も親が研究員だったからだ。誤見というやつの下で働いていたよ。」


真瀬志奈

「そうなんですね…………。」


小鳥遊カルマ

「ただ、あの獣の研究を知った俺と美園の親はすぐにその仕事を辞めたよ。だけど、俺たちは違った。」


真瀬志奈

「憧れ……ですか。」


小鳥遊カルマ

「…………俺は親の仕事に対して憧れを持っていた。あの獣のことも知らなかった。だけれど美園は違った。あの研究の恐ろしさを知っても、変わらなかった。」


真瀬志奈

「…………。」


小鳥遊カルマ

「俺の言えることはここまでだ。真瀬はこの話を聞いて、美園に憧れを持つことをやめさせた方が良いと思うか?」


真瀬志奈

「…………はい。これは危険すぎます。止めないと…………。」


小鳥遊カルマ

「そうか…………。美園のこと……頼むぞ。」


真瀬志奈

「はい。」



六郭星学園 音楽室



あれから数日が経ち……美園さんとすれ違う日々が続き、話すことができなかった。


美園さんのこともあるが、課題のことも忘れてはならない。私は課題のアレンジを加えていた。


私は小鳥遊さんのことをより知り、小鳥遊さんのことを課題の曲に含めようとした。


真瀬志奈

「まあ……こんな感じかしらね。」


私はある程度完成させた作曲を弟の莉緒に聞いてもらうことにした。


…………数分後、莉緒がやってきた。


真瀬莉緒

「…………なるほど、カルマのことを入れた曲ね…………。」


真瀬志奈

「ええ、とりあえず聞いて欲しいの。」


真瀬莉緒

「わかったよ。早速……」


??

「俺にも聞かせてくれないか?」


声が聞こえる方向を向くと、そこには小鳥遊さんがいた。


真瀬志奈

「小鳥遊さん!?」


小鳥遊カルマ

「弟の真瀬が呼ばれたのを聞いてな。俺にも聞かせてくれ。」


真瀬志奈

「…………そうですね。わかりました。」


私は録音をした、音源を2人に聴いてもらう…………。



音源を聴いてもらうと、莉緒の反応は…………


真瀬莉緒

「すごいや……カルマにぴったりの曲だね。」


莉緒の反応はとても良かった。一方で、小鳥遊さんは…………。


小鳥遊カルマ

「…………この曲の雰囲気…………もしかして…………?」


真瀬志奈

「はい。小鳥遊さんのことを考えてアレンジしました。」


小鳥遊カルマ

「俺を…………?」


真瀬志奈

「はい。小鳥遊さんと作る曲です。お互いのエッセンスを大切にしていきたいんです…………。」


小鳥遊カルマ

「……………………。」


真瀬志奈

「ダメですか……?」


小鳥遊カルマ

「…………すまない。少しだけ考えさせてくれ。」


真瀬志奈

「…………わかりました。」


小鳥遊カルマ

「すまない…………。」


そういうと、小鳥遊さんは音楽室から離れていった。


真瀬莉緒

「姉さん…………。」


真瀬志奈

「大丈夫。小鳥遊さんは迷っているだけよ。きっと…………。」


そう…………きっと…………ね。


…………正直いうと、小鳥遊さんのことを考えた件はグレーなところにも踏み入っている。


怒られるかもしれないとは思ったが、なんとか穏便に済んだことにホッとしている。


真瀬莉緒

「何かあったら僕にも言って。なんとか考えるから。」


真瀬志奈

「ありがとう。でもきっと大丈夫だから。」


私は自分にそう言い聞かせた。


小鳥遊さん…………信じています。

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