第1章 水色ピンにぶつかって (小鳥遊カルマ編) 後編
六郭星学園 Cクラス教室
翌日…………私は誰よりも先に教室に入ろうとすると、小鳥遊さんがいた。
小鳥遊カルマ
「真瀬か……。早いな……。」
真瀬志奈
「まあ……色々とあって……。」
そう言うと小鳥遊さんは思い切った発言をする。
小鳥遊カルマ
「なあ……よければだが……。」
真瀬志奈
「…………?」
小鳥遊カルマ
「スキンシップも兼ねてだが……どこかへ出かけないか?」
真瀬志奈
「あ、良いですね!行きましょう!」
小鳥遊カルマ
「よし、それじゃあどこに行くか…………?」
真瀬志奈
「それなら、私が行きたい場所があるんですけれど……。」
小鳥遊カルマ
「どこに行きたいんだ?」
真瀬志奈
「私、ボウリング場に行ってみたいんです。やったことなくて……一度行ってみたかったんです。」
小鳥遊カルマ
「そうか…………わかった。ボウリング場に行くか。」
真瀬志奈
「ありがとうございます!」
私たちは早速、ボウリング場に行くことにした。
ボウリング場
真瀬志奈
「ここがボウリング場ですか…………!」
初めて来たボウリング場はとても賑やかで、家族連れや熱心に練習する年配の方など、幅広い年代の方が来ていた。
小鳥遊カルマ
「せっかく来たんだ。楽しまないとな。」
真瀬志奈
「はい!早速やりましょう!」
私たちは靴を借りて、ボウリングを始めた。
真瀬志奈
「よし……じゃあ最初は私が投げますね。」
私はそう言うとボウリングの玉をレーンに転がした。
ボウリングの玉はゆっくりと転がっていき、ピンに当たった。
結果は8本となかなかの結果だった。
真瀬志奈
「やりました!次は小鳥遊さんの番ですよ!」
小鳥遊カルマ
「ああ、じゃあ……。」
小鳥遊さんはボウリングの玉を持つ。小鳥遊さんのボウリングの玉はとても鮮やかな黄緑色だった。
小鳥遊さんはその黄緑色のボウリングの玉を思い切り転がした。
玉は勢いよく転がっていく…………そして結果は、ストライクだった。
私は思わず拍手をしてしまった。
真瀬志奈
「ストライク!すごいです!」
小鳥遊カルマ
「ありがとう。……玉の相性が良かっただけだ。」
真瀬志奈
「玉ですか……?」
小鳥遊カルマ
「ああ、どういうわけか俺は黄緑色の物と相性が良くてな……。それに気づいて以来、俺は黄緑色が好きなんだ。この髪の先端もこの色が好きだから緑っぽく染めてあるんだ。この学校は髪の色について指定がないからな。」
真瀬志奈
「そうなんですね!黄緑色は私も好きです。とても鮮やかな色で心が落ち着きます。」
小鳥遊カルマ
「ありがとう。そう行ってくれると嬉しいよ。」
そう言うと、照明が暗転をした。
真瀬志奈
「な、なんですか?」
照明が明るくなると、ボウリングのピンが白から水色に変わっていた。
ホールスタッフ
「さあ、ここからはチャンスタイムです!この水色のピンをストライクで全部倒すと、景品が貰えます!制限時間は10分!それではスタート!」
真瀬志奈
「何か始まりましたよ!?急ぎましょう!」
小鳥遊カルマ
「ああ。真瀬。お前の番だ。」
真瀬志奈
「あ、はい!」
私はボウリングの玉を転がした。……結果はガターだった。
小鳥遊カルマ
「くっ……次は俺の番だ!」
小鳥遊さんはさっきの様に思い切ってボウリングの玉を転がす。
案の定、ストライクを出した。
小鳥遊カルマ
「……よし!」
残るは私だけ……だけれど自信がない……。
その様子に気づいたのか、小鳥遊さんは私の手を握る。
小鳥遊カルマ
「大丈夫だ。ボウリングの玉を意識しなければなんとかストライクは取れる。自分を信じるんだ。」
小鳥遊さんは私の目を見て、そう言った。
真瀬志奈
「小鳥遊さん……!」
小鳥遊カルマ
「さあ、やるんだ。」
真瀬志奈
「は、はい!」
そして私は、玉を転がした。
結果は……!
小鳥遊カルマ
「ストライク。やるじゃないか!」
真瀬志奈
「小鳥遊さん!やりました!」
ホールスタッフ
「おめでとうございます!景品をプレゼントです!」
こうして私たちは景品を貰った。中身は黄緑色のイルカのキーホルダーだった。
小鳥遊さんはお気に入りの色のためか、満足そうな顔をして、ボウリング場を後にした。
帰り道
私たちは帰りの帰路についていた。
真瀬志奈
「やりましたね。」
小鳥遊カルマ
「ああ、中身はキーホルダーだったが、変えられない物になった。……今日はありがとう。」
真瀬志奈
「こちらこそ私の行きたいところに連れてっていただきありがとうございました。とても楽しかったです。」
小鳥遊カルマ
「ああ、俺も楽しかった。課題もよろしくな。」
真瀬志奈
「もちろんです。よろしくお願いします!」
私たちは帰り道も和気藹々と過ごした。
六郭星学園寮 志奈・エリカの部屋
部屋に戻ると、相変わらず美園さんは舞を踊っていた。
美園エリカ
「あ、おかえり。」
美園さんは私に気づくと踊るのをやめた。
美園エリカ
「それで…………今日はどうだったの?」
真瀬志奈
「そうですね……今日は…………。」
私は今日1日のことを美園さんに話した。
美園エリカ
「そう……良かったじゃない。それにしてもカルマがね……。」
真瀬志奈
「意外なんですか?」
美園エリカ
「まあ……言っても昔のことだからね……。今と変わらないわけではないか。」
真瀬志奈
「…………?」
美園さんは1人で考え込んでいた。……そして唐突にもこんなことを言った。
美園エリカ
「ねえ、課題の件なんだけれど……コンセプトはもう出来ているの?」
真瀬志奈
「コンセプトですか?まぁ……なんとなくは……。」
私は課題は作曲ということを美園さんに話をした。
美園エリカ
「ねえ、それなら少し、メロディとか考えてはいるの?」
真瀬志奈
「メロディですか?」
メロディか……今日、小鳥遊さんと交流して、なんとなく考えているメロディはある。
真瀬志奈
「本当になんとなくですが……一応、あります。」
美園エリカ
「そうなのね。……聞かせてもらえるかしら?」
真瀬志奈
「え……今ですか?」
美園エリカ
「難しいかしら……?」
真瀬志奈
「い、いえ。そんなことはないですけれど…………。」
美園エリカ
「それなら……お願いできるかしら?」
真瀬志奈
「は、はい……わかりました。」
私は美園さんに言われるがままに、部屋にある、ピアノを使って演奏を始める…………
演奏を終えると美園さんはこう感想を述べた。
美園エリカ
「なかなかの曲じゃない。……なんとなくにしては上出来よ。」
真瀬志奈
「あ、ありがとうございます!」
美園エリカ
「これ……ドラムの音も混ぜるんでしょ?」
真瀬志奈
「はい。小鳥遊さんがドラムを叩けるので、ドラムをメインに曲を作ってみようと思いました。」
美園エリカ
「やっぱりね。でも……悪くないかも。」
美園さんはそう言って深く考え頷いた。
美園エリカ
「カルマのこと、よろしくね。」
真瀬志奈
「…………はい。」
美園エリカ
「それじゃあ……私も真瀬さんの弟さんと課題の打ち合わせにでも行くわ。」
真瀬志奈
「あ、莉緒のパートナーなんですね。莉緒のことをよろしくお願いします。」
美園エリカ
「もちろんよ。……じゃあ、行ってきます。」
美園さんはそういうと、出かけて行った。
ふと机に目をやると、さっき貰った黄緑色のイルカのキーホルダーがあった。
真瀬志奈
「楽しかったな。」
私はそう思い、課題も頑張ろうとそう思った…………。