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colorful〜rainbow stories〜  作者: 宮来 らいと
第2部 小鳥遊カルマ編
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第1章 水色ピンにぶつかって (小鳥遊カルマ編) 中編

六郭星学園 音楽室



私はひと足先に音楽室に入ろうとする。扉を開けるとそこには1人の女子生徒が妙な舞を踊っていた。


??

「はああああああ!!」


真瀬志奈

「え……?」


奇声をあげて踊る女子生徒は私の方を見ると舞い踊るのをやめた。


??

「見ましたか?」


真瀬志奈

「ええ……まあ……。」


??

「見られたなら仕方ないわね。この私の……」


小鳥遊カルマ

「なにをしている。」


??

「カ……カルマ?」


真瀬志奈

「小鳥遊さん。この方とお知り合いなんですか?」


小鳥遊カルマ

「まあな。こいつは美園エリカ(みその えりか)。軽度ではあるが、いわゆる中二病だ。」


真瀬志奈

「ちゅ……中二病!?」


中二病は聞いたことはあるがまさか本当にいるとは思わなかった……。


美園エリカ

「何よ!邪魔しないでよ!」


小鳥遊カルマ

「それはこちらのセリフだ。こっちは課題のために来ているんだから、邪魔をしないでくれ。」


美園エリカ

「そう……。」


美園さんは興奮から覚めたのか、落ち着きを取り戻した。


美園エリカ

「好きに使うといいわ。私は寮の方に戻るから……。」


そう言うと美園さんは音楽室から出て行った。


小鳥遊さんはそれを気にせず準備に取り掛かった。


小鳥遊カルマ

「さてと……ドラムは……ああ、目立つところにあったな。まずは俺からドラムを叩くか。」


小鳥遊さんはそう言うとドラムを叩き始めた。


ドラムの音を聞いてみるとなかなかのドラム捌きだ。


小鳥遊さんのドラム捌きはプロに負けず劣らずの才能があるかもしれない。


真瀬志奈

「すごいですね。なかなかのテクニックですね。」


小鳥遊カルマ

「ありがとう。前に色々とやっていたからな……。」


真瀬志奈

「……………………?」


小鳥遊さんはどこか辛そうな様子が見れた。何かあったのだろうか?


小鳥遊カルマ

「いい……とにかく今度は真瀬だ。ドラム……叩けるんだろ?」


真瀬志奈

「まあ……。一応は。」


小鳥遊カルマ

「それじゃあ叩いてみろ。」


そう言って小鳥遊さんはドラムスティックを私に差し出した。


私はドラムスティックを受け取ると、ドラムの前に座り、演奏を始める……



演奏を終えると小鳥遊さんは少し驚いてはいたが、すぐに正気を取り戻して感想を述べた。


小鳥遊カルマ

「さすが豪語するだけのことはあるな、なかなかのドラム捌きだ。」


真瀬志奈

「あ、ありがとうございます。」


小鳥遊カルマ

「……課題は作曲にするか?でもそれだったらもっと高い目標を立てたいな……。」


??

「だったらこの声優さんの曲を作ってみたらどうかしら?」


声の聞こえた方へ顔を向けると見慣れない先生がいた。


神谷乙音

「ごめんねー。急に話しかけちゃって!私は神谷乙音かみや おとね。Iクラスの担任をやっているの。よろしくね!」


小鳥遊カルマ

「はあ……どうも。」


神谷乙音

「それでね、その作曲の話になるんだけれど……同僚で声優さんの知り合いがいるの。その声優さん、新曲を考えているみたいなの。だからその声優さんに同僚から話を通してみることもできるんだけれど……どうかしら?」


小鳥遊カルマ

「そうですね……。その声優さんとは?」


神谷乙音

「ええとね……この声優さん。」


神谷先生がその声優さんの写真を見せると小鳥遊さんの表情が変わった。


小鳥遊カルマ

「…………この声優さんは…………!?」


神谷乙音

「…………?…………知っている人?」


小鳥遊カルマ

「あ、いえ……失礼、取り乱しました。……その声優さんに曲を作ってみようとのことですね。」


神谷乙音

「そうよ。どうかしら?」


小鳥遊カルマ

「真瀬。君はどう思うんだ?」


真瀬志奈

「わ、私ですか?」


別に断る理由も見つからない。だけど私は少しだけ考えたのち、こう発言した。


真瀬志奈

「…………少しだけ時間をいただけませんか?まだ少しだけ不安が強いんです。」


私がそう言うと、小鳥遊さんは目を瞑り、少しだけため息まじりに息を吐いた。


小鳥遊カルマ

「まあ、色々とあるからな。少し考えてみるといい。」


真瀬志奈

「すみません…………。」


神谷乙音

「それじゃあ……また会った時にでも話を聞くからね!じゃあね!」


そう言うと神谷先生は音楽室から出て行った。


小鳥遊カルマ

「俺たちもそろそろ戻ろう。今日から寮生活だからな。」


真瀬志奈

「そうですね。ではこれで…………。」


そう言って今日は切り上げた。



六郭星学園寮



真瀬志奈

「ここが私の部屋ね…………。」


部屋は広くリビングとベッドルームが2部屋あり、両方防音になっているらしいのでベッドルームからもう一つのベッドルームからは何も聞こえない。この部屋に2人1組というのがこの寮のルールらしい。


真瀬志奈

「部屋のパートナーはもう来ているのかな?」


私はそういうと部屋のドアを開ける…………。


部屋に入ると、そこには…………


真瀬志奈

「あ、あなたは……!?」


美園エリカ

「あら、さっきの人?」


部屋にいたのはさっき音楽室で舞い踊っていた子だった。


美園エリカ

「改めて……私は美園エリカ。よろしくね。」


真瀬志奈

「は、はい……真瀬志奈です。よろしくお願いします。」


この人と1年過ごすのか…………。


美園エリカ

「ところで……真瀬さんは双子なの?」


真瀬志奈

「は、はい。真瀬莉緒って弟がいます。」


美園エリカ

「やっぱりね。私、真瀬莉緒のクラスメイトなの。」


真瀬志奈

「そうなんですね。」


そうか……莉緒も苦労するのかしらね……?


私は思い切って、気になることを聞いてみた。


真瀬志奈

「あの……美園さんは……中二病なんですか?」


美園エリカ

「なかなか思い切った質問ね……。」


美園さんは少し不満げな様子だ。


美園エリカ

「まあ……そう言われることは多々あるわね……。でもこうなった理由にも色々あるのよ。」


真瀬志奈

「色々とは……?」


美園エリカ

「まあ色々と言っても1つなんだけれど……。」


真瀬志奈

「その1つとは?」


美園エリカ

「憧れがあってね……。それに近いような印象にしようと頑張っているの。」


真瀬志奈

「そうなんですね……。」


憧れか……一体なんだろう?


美園エリカ

「それじゃあ、私は出かけるから。あとは好きに使って。」


真瀬志奈

「あ、はい。」


そう言うと美園さんは部屋から出て行った。


この1年……どうなるかわからないけれども、頑張っていくしかない。


私はそう思いながら寝床につき、1日を終えた。

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