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colorful〜rainbow stories〜  作者: 宮来 らいと
第2部 美園エリカ編
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第2章 紫色の空模様 (美園エリカ編) 後編

六郭星学園 屋上



屋上へ避難すると、全校生徒が避難しており、屋上から見えるグラウンドを覗くと、先生方が獣を捕らえていた。


先生方は矢次由佳里(やつぎ ゆかり)先生の指示に従って獣を捕らえていた。


矢次由佳里

「乙音!そこを抑えてて!……瑛久!しっかりして!」


先生方は何とか獣を捕えることができそうだ。

僕たちは辺りを見渡すと、姉さんたちが見つけた。


真瀬志奈

「莉緒!無事だったのね!」


真瀬莉緒

「姉さんこそ!大丈夫だったの?」


真瀬志奈

「ええ、何とかね……。」


姉さんは無事なようだが、他の人たちの様子が変な気がする。


浅越ハルト

「………………。」


小鳥遊カルマ

「………………。」


小鳥遊くんと浅越さんがだんまりとしている。何か心当たりがあるのだろうか?


真瀬莉緒

「小鳥遊くん?」


小鳥遊カルマ

「あ、いや、なんでもない……。」


真瀬莉緒

「浅越さんも少し様子が変ですけど……?」


浅越ハルト

「いや、なんでもない。ただ少しだけ疲れただけだ……。少しだけな……。」


真瀬莉緒

「………………。」


僕は何も言えなかった。


……そうだ。初杉さんにお礼を言わなくては……。


僕は初杉さんを探すこと数分。初杉さんを見つけた。


真瀬莉緒

「初杉さん。」


初杉ジロウ

「あ、ああ、ええと……。」


真瀬莉緒

「真瀬です。真瀬莉緒です。」


初杉ジロウ

「真瀬くん……か。」


真瀬莉緒

「先程はありがとうございました。初杉さんがいなかったら僕はそのまま襲われるところでした。」


初杉ジロウ

「礼なんて言わないで良いよ。当たり前のことをしただけだから……。」


??

「そう。当たり前のことをしただけだから。」


そう言うと見慣れない女子生徒がこちらにやってくる。


見えたのは夏目ホノカ(なつめ ほのか)さんだった。


夏目さんは以前の学校では生徒会長を務めており、本来なら六郭星学園の生徒会長も引き受ける予定だったが、何故か辞退をしている。


夏目ホノカ

「我が校のモットーは助け合い。当たり前のことをしただけなの。……まあ、こういうとき以外にもすべきだけどね。……それでは。」


夏目さんはそう言い残して去って行った。


初杉ジロウ

「…………そう言うことです。…………ごめんなさい。僕も失礼します。」


初杉さんも逃げるように去って行った。


真瀬莉緒

「やっぱりお互いの学校の価値観ってあるんだな……。」


そう思いながら僕は小鳥遊くんのところへ戻った。


小鳥遊くんのところへ行くと美園さんと話していた。


小鳥遊カルマ

「美園。お前……わかっているだろうな?」


美園エリカ

「………………。認めないわ。」


小鳥遊カルマ

「美園!!」


真瀬莉緒

「た……小鳥遊くん?」


急に怒鳴った小鳥遊くんに僕は思わず声をかけてしまった。


小鳥遊カルマ

「ま、真瀬……。」


美園エリカ

「私……認めないから……!絶対にこんなんじゃないから!」


小鳥遊カルマ

「美園!……おい!」


美園さんは人混みの中にへと逃げて行った。


真瀬莉緒

「小鳥遊くん……。美園さんは……?」


小鳥遊カルマ

「……………………。」


小鳥遊くんは首を横に振り、そのまま風亥さんたちの場所へと戻る。僕はそれをただ見ているだけだった。


真瀬莉緒

「小鳥遊くん……。」


まもなくして、避難指示が解除され、僕たちは自分の部屋へと戻った。



六郭星学園寮 莉緒・カルマの部屋



部屋に戻り、僕は改めて小鳥遊くんに話を聞いた。


真瀬莉緒

「それで……美園さんは?」


小鳥遊カルマ

「…………あいつ、頑なに認めなかったよ。今回のことについて……」


真瀬莉緒

「今回ということは研究の内容は獣に関することか……?」


小鳥遊カルマ

「ああ、そうだ。俺はあれを見てやめたんだ。中二病を。」


真瀬莉緒

「小鳥遊くん……。」


小鳥遊カルマ

「あの研究は危険だ!きっと俺たちにも襲いかかる!……いや、この街の人々にもだ!」


真瀬莉緒

「そんな……。そんな恐ろしい研究だなんて……。」


小鳥遊カルマ

「ああ、だから美園の中二病は構わない。けれど、憧れを持つのはやめてほしいんだ。」


真瀬莉緒

「……………………。」


小鳥遊カルマ

「真瀬……何とかならないか?」


真瀬莉緒

「…………わからない。失敗するかもしれない。……でもやってみないと……。」


小鳥遊カルマ

「頼むぞ……!」


僕は小鳥遊くんに言われたことを様子を見て話すことにした。



六郭星学園 音楽室



……とは言ったものの、言えずじまいで、作曲の方が順調に進んでいた。


相変わらず美園さんのフルートはプロに負けず劣らずだ。


真瀬莉緒

「さすがですね。」


美園エリカ

「ありがとう。まあ、私の左腕に頼ればこんなものよ。ふふふ……ふふふふ……。」


美園さんは中二病という割にはそこまで拗らせているわけではなさそうな気もする。


けれど、あの研究に対して憧れを持っている場合には必ず止めなければ……そう思った。


真瀬莉緒

「あの……美園さん……少しだけ言いたいことが……。」


そう言ったとき、学校のチャイムが鳴った。


真瀬莉緒

「時間か……。」


美園エリカ

「……………………?」


美園さんは僕を不思議そうな目で見ている。


美園エリカ

「真瀬くん……?」


真瀬莉緒

「あ、いや……すみません。なんでもないです。チャイムが鳴ったので、今日はもう帰りましょう。」


美園エリカ

「そうね……部屋に戻りましょう。」


音楽室を出ると、1人の男子生徒がいた。


??

「ん?なんだ?どうかしたのか?」


真瀬莉緒

「あ、いえ……特に……。」


顔を見ると思い出した。この人はEクラスの夜坂ケント(よるさか けんと)くんだ。ぶっきらぼうだけど、仲間思いの良い人だって聞いたことがある。


真瀬莉緒

「すみません……なんか……。」


夜坂ケント

「いや、こちらこそすまない。」


そう言うと僕たちはそれぞれの部屋に戻る。


数日後……


僕たちは再び音楽室にいた。


ここに来たのはもちろん作曲の練習だが、今回は全体を通しての練習をすることになった。


美園エリカ

「今までの経験を生かす時間が来たわ。真瀬くん頑張るわよ。」


真瀬莉緒

「はい。僕たちの練習の成果を見るときですね。」


美園エリカ

「ええ、行くわよ。」


僕たちは美園さんの合図で、演奏を始める……!



演奏が終わり、美園さんの顔を見た。お互いに笑みを浮かべていることがわかった。


美園エリカ

「これなら……!これならきっとみんなも満足できるし、オーディションにも合格できるわよね!」


真瀬莉緒

「そうですね!でも、まだ直すところはいっぱいありますからね!」


美園エリカ

「そうね。とにかく直していくわよ!」


真瀬莉緒

「はい!頑張りましょう!」


僕たちはそう言い、再び練習に取り掛かった。


ひたすらに練習していると、外の景色はすっかりと紫色に滲んでいた。


真瀬莉緒

「もうこんな時間か……。そろそろ戻りましょうか。」


美園エリカ

「そうね……。明日も早いし、部屋に戻って休んだ方が良いわね。」


真瀬莉緒

「では、今日はこれで。」


美園エリカ

「また明日。」


そうして僕たちは今日は解散した。


真瀬莉緒

「…………。」


僕は作曲の時は笑みを浮かべていたが、少しだけ心残りがある。


それは……


小鳥遊カルマ

「ああ、だから美園の中二病は構わない。けれど、憧れを持つのはやめてほしいんだ。」


真瀬莉緒

「やめる……か……。」


僕はいつ打ち明けるか……

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