第4章 輝く黄色い星 (風亥ノクア編) 中編
六郭星学園 音楽室
テストが終わった数日後……私たちは作曲の練習をしていた。
と言っても、ある程度が完成しているため、最終確認の方向に進んでいる。
練習の最中には柿本先生が様子を見に来てくれたり、浅越さんや小鳥遊さんたちから差し入れをもらったりした。――そして。
風亥ノクア
「ここはこうして……こうだな。」
真瀬志奈
「はい。これなら……。」
風亥ノクア
「ああ、これできっと大丈夫だろう。」
私たちの曲が完成した……!これなら文句の言いようが無い……はず。
風亥ノクア
「これで完成か……。あとは練習をして、みんなに披露をするんだね。」
真瀬志奈
「はい!あと少しだけ頑張りましょう!」
そう言うと、音楽室のドアが開いた。入って来たのは柿本先生だ。
柿本瑛久
「あれ……もう出来たの?……おめでとう。」
真瀬志奈
「ありがとうございます。」
私たちは素直にお礼を言った。
柿本瑛久
「良いんだ……それより……伝えたいことが……。」
風亥ノクア
「伝えたいことですか?……何でしょうか?」
柿本瑛久
「学園キングのチーフプロデューサーが……音楽の件でお話したいと……今すぐに病院に来て欲しいとのことです……。」
風亥ノクア
「チーフプロデューサーが……?……わかりました。」
柿本瑛久
「でもきっと……良いお話だと思うよ……。じゃあね。」
柿本先生はそのまま音楽室から出て行った。
真瀬志奈
「チーフプロデューサーが私たちに……?」
風亥ノクア
「ああ、とにかく行ってみよう。」
私たちは不安と期待を抱えたまま、チーフプロデューサーがいる病院へと向かった。
来川医療センター 病室
案内された病室に入ると、チーフプロデューサーが迎えてくれた。
チーフプロデューサー
「やあ。この間は悪かったね。」
風亥ノクア
「プロデューサー!……無事で何よりです。」
チーフプロデューサー
「今日来てもらったのには訳があってね……。」
真瀬志奈
「訳ですか……?」
チーフプロデューサー
「この間の曲のことでね。」
風亥ノクア
「曲ですか?」
チーフプロデューサー
「うん……ちょっとこの曲をこの声優さんに歌ってもらえないかとオファーをしたいんだけど……。」
風亥ノクア
「本当ですか!?」
チーフプロデューサー
「ああ、本当だよ。君たちがよければの話だけれど……。」
真瀬志奈
「ぜひ!その声優さんとは……?」
チーフプロデューサー
「この声優さん。割と有名な人だと思うよ。」
私と風亥さんはプロデューサーが見せた写真を覗き込むように見つめる。
私たちも知っている声優さんだった。
風亥ノクア
「この声優さんか……ぜひお願いします。」
チーフプロデューサー
「ありがとう。ちなみにだけど……歌詞とかはあるのかい?」
真瀬志奈
「歌詞ですか……?それは……」
風亥ノクア
「歌詞はまだ出来てませんが、僕が作ります。なので少しだけ時間をください。」
チーフプロデューサー
「そうか……わかったよ。楽しみにしているからね!」
風亥ノクア
「ありがとうございます!」
風亥さんの作詞か……。楽しみだな……。
そう思うまま、私たちは病院を後にした。
帰り道
風亥ノクア
「作詞か……どうしようかな……。」
風亥さんは悩んでいる……ここは私も考えなくては……。
真瀬志奈
「そうですね……。」
私たちは悩んでいると気がつけば日が沈みはじめていた。
真瀬志奈
「もうこんな時間ですね……。」
風亥ノクア
「そうだね……。」
上を見上げると星が見えていた。
空を見上げていると風亥さんが閃く。
風亥ノクア
「山の上の展望台に行こう。もしかしたら……!」
真瀬志奈
「展望台ですか?」
風亥ノクア
「ああ、少しだけ行かないかい?」
真瀬志奈
「わかりました。行きましょう!」
風亥ノクア
「ありがとう!それじゃあ早速行こう!」
私たちは山の上の展望台へと向かう……
展望台に着くとそこには満天の星空が輝いていた。
真瀬志奈
「わぁ……綺麗……。」
風亥ノクア
「ああ……とても綺麗だ。」
星空は1つ1つキラリキラリと黄色く輝いている。
真瀬志奈
「星々が綺麗ですね……。」
風亥ノクア
「ああ……ここに来て良かった……。」
真瀬志奈
「あ、流れ星……?」
風亥ノクア
「いや、流星群だ!」
星空は私たちを迎え入れるかのように流星群が流れていった。
風亥ノクア
「お願いごとをしなくちゃ!」
真瀬志奈
「そうですね!早速しましょう!」
私たちは空に向かってお願いごとを心の中で唱える。
真瀬志奈
「………………。」
風亥ノクア
「………………。」
互いに何も言わないが、考えていることはきっと一緒だろうと思う。
私のお願いごとは…………
風亥さんと一緒になれますように。
私はそう願った。風亥さんと一緒にいた1年間は色々なことがあったけれど、冒険をしているみたいでとても楽しかった。
そんな彼と一緒にいれたら……そう思うと私は胸が熱くなります。
風亥ノクア
「お願いごとは唱えられた?」
真瀬志奈
「はい。バッチリです。」
風亥ノクア
「ここに来たおかげで、作詞も思いついたよ。……ありがとう。お願いごとも唱えられたし。」
真瀬志奈
「風亥さん……!」
風亥ノクア
「さあ、戻ろう。みんなも待っているから……。」
真瀬志奈
「そうですね。戻りましょう。」
私たちは唱えたお願いごとを心の中にしまって、六郭星学園へと戻った。