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colorful〜rainbow stories〜  作者: 宮来 らいと
第2部 風亥ノクア編
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第3章 ノワールナイト (風亥ノクア編) 中編

億寺

「さあ……薬をよこせ!痛い目に遭いたくなかったらな!」


真瀬志奈

「………………。」


薬を渡せば……みんなを救うことは出来なくなってしまう……。どうすれば……?


小鳥遊カルマ

「何をしている……?」


真瀬志奈

「小鳥遊さん!」


億寺

「なっ……貴様一体!?」


小鳥遊カルマ

「……!?獣の姿!?ええい!とにかく倒すしかない!!」


億寺

「くっ……やめろ貴様!」


小鳥遊さんと億寺さんが取り組み合いをしている。この隙に風亥さんに助けを……!


風亥ノクア

「億寺くん……!」


真瀬志奈

「風亥さん!」


風亥さんはこの様子を見て、すぐ理解した。


風亥ノクア

「真瀬さん。例の薬を!」


真瀬志奈

「は……はい!」


私は風亥さんに例の薬を渡した。


億寺

「ぐあ……くっ……。」


億寺さんはあっさりと薬を飲み込んだ。


そしていつものように元の姿に戻っていく。


真瀬志奈

「億寺さん……。」


億寺

「…………。」


億寺さんの意識がない。


小鳥遊カルマ

「気絶しているんだろう。そのまま救急車で運んでもらおう。」


風亥ノクア

「そうだね。億寺くん。悪く思わないでくれ……。」


億寺さんはそのまま救急車に運ばれていった。


億寺さんが運ばれたあと、風亥さんは小鳥遊さんにお礼を言った。


風亥ノクア

「ありがとう。2人を襲われているところを助けてくれて。」


小鳥遊カルマ

「構わないよ。……それに、浅越のやつも助けたらしいな。」


風亥ノクア

「……ああ。」


小鳥遊カルマ

「俺も見直したよ。浅越のこと。もう一度寄り添えることができるかな?」


真瀬志奈

「きっと大丈夫だと思います。みなさんの絆はそんなものじゃないと思いますから。」


霧宮ナツハ

「絆……ね。」


小鳥遊カルマ

「そうか……そうだな。俺たちも浅越と話してみようかな。」


風亥ノクア

「ああ、退院したら話してみよう。」


真瀬志奈

「素敵です。私たちも浅越さんと話してみましょう。」


霧宮ナツハ

「…………そう。頑張ってみてね。」


真瀬志奈

「はい!」



そうして浅越さんは翌日退院した。



六郭星学園 Cクラス教室



浅越ハルト

「………………。」


退院した浅越さん。私たちは勇気を出して声をかけた。


小鳥遊カルマ

「浅越……。」


浅越ハルト

「カルマ……。」


風亥ノクア

「この間はありがとう。俺たち……少しだけ不安だった。このままハルトが孤立してしまうのではないのかって。」


浅越ハルト

「…………。」


小鳥遊カルマ

「けど……助けたんだってな。みんなのことを。」


浅越ハルト

「3人とも……。」


風亥ノクア

「協力してもらわなくてもいい。けど……前みたいに仲良く話をしてくれないか?」


浅越ハルト

「…………ああ。こちらこそすまなかった。またよろしくな。」


真瀬志奈

「はぁ……良かった……。」


浅越ハルト

「ああ……本当に良かったよ。」


??

「ずいぶんと仲良さげですなぁ!」


振り向くとそこには学園キングのメンバーの兆野さんがいた。兆野さんはいじられキャラではあるが、いざというときは必ず仕留める仕事人だ。


真瀬志奈

「兆野さん……。」


兆野

「よくも仲間たちを倒してくれたな!だが……ここで貴様らの人生は終わる……!」


カチャ……。


小鳥遊カルマ

「な……拳銃!?」


拳銃……!?今までそんなのを使う人なんていなかった……!これは最大のピンチだ。


真瀬志奈

「やっやめてください!」


兆野

「やめろ……?やめろと言ってやめる奴はいる訳ないだろ!」


浅越ハルト

「くっ……。」


全員が何も言えない状況になった……。


考えろ……考えないと……!どうすればいいのか……!


浅越ハルト

「…………。」


真瀬志奈

「あ、浅越さん……?」


浅越さんは何を思ったのか、椅子から立ち上がって兆野さんのところへ近づく。


兆野

「おい!来るな!近づくと撃つぞ!」


浅越ハルト

「…………。」


浅越さんは何も言わずに兆野さんの目の前に立つ。


浅越ハルト

「撃てるものなら撃ってみろ。」


風亥ノクア

「き……危険すぎるぞ!今すぐ離れるんだ!」


兆野

「……………………。」


真瀬志奈

「…………!?」


兆野さんが躊躇っている……?


兆野

「……………………。」


浅越ハルト

「撃たないのか?」


兆野

「……………………くっ。」


真瀬志奈

「兆野さん……?」


兆野

「………………もういいよ。負けだ……。俺には撃てない。」


兆野さんは拳銃を床に置いた。


小鳥遊カルマ

「風亥。薬だ。」


風亥ノクア

「ああ……。」


風亥さんはすぐに薬を兆野さんに飲ませた。


兆野

「うえ……ぐっ……。」


戸惑いながらも兆野さんは薬を飲み込んだ。


真瀬志奈

「兆野さん……。」


私はすかさず兆野さんに声をかけた。


兆野

「ふう……。ようやく落ち着いたよ。ありがとう。風亥さん。」


風亥ノクア

「構わないよ。それにしても……兆野くん。京田さんはどこに……?」


兆野

「京田くん……?わからないな……。」


風亥ノクア

「そうか……自力で探すしかないのか……。」


京田さん…………学園キングメンバーの最後の1人。ひらめきの天才で、他のメンバーとは違った視点での解答力を持つ。


小鳥遊カルマ

「しばらくは……後回しになりそうだな。」


風亥ノクア

「ああ、そうだな。どうすればいいのか……。」


すると……突然。Iクラスの櫻井さんが、教室に入ってきた。


櫻井シオン

「志奈!いるの!?」


真瀬志奈

「シオン!……何かあったの?」


櫻井シオン

「ナツハが誘拐されたの!」


それを聞くと風亥さんも驚いた様子を見せる。


風亥ノクア

「ナツハが……?!」


櫻井シオン

「なんというか……学園キングの京田さんがナツハを誘拐したらしく……こんな手紙も……。」


風亥ノクア

「貸して!」


風亥さんは奪うようにシオンから手紙を取り上げて、手紙を読み始めた。


風亥ノクア

「屋上か……。真瀬さん。京田さんはこの学園の屋上にいるらしい。」


真瀬志奈

「京田さんが?…………行きましょうか。」


浅越ハルト

「風亥。何かあったらすぐ呼んでくれよな。」


風亥ノクア

「ああ、もちろんだ。行くよ真瀬さん。最後の1人だ。全員必ず助け出すよ。」


真瀬志奈

「はい。」



六郭星学園 屋上



京田

「ふふふ……よく来ましたね。」


霧宮ナツハ

「ノクア……!志奈……!」


真瀬志奈

「霧宮さん……!」


風亥ノクア

「京田さん……。どうしてナツハを?」


京田

「ふっ……理由なんてないさ。ただ単に目に入っただけさ。」


霧宮ナツハ

「迂闊だったわ……まさか京田さんがこんなにパワーが強かったなんて……。」


京田

「おっと、動かないでください。僕は獣の姿で、力を手に入れた。僕に力で勝とうなんて思わないことですね。」


霧宮ナツハ

「くっ……。」


真瀬志奈

「霧宮さん!」


京田

「動くな。彼女の命はタダじゃすまないですよ。」


真瀬志奈

「うっ……。どうすれば……?」


私は風亥さんと霧宮さんの顔を見た。


風亥ノクア

「…………。」


霧宮ナツハ

「…………。」


2人は……笑っている?どうして……?


霧宮ナツハ

「今よ!」


風亥ノクア

「ああ!」


霧宮ナツハ

「えい!」


京田

「うっ……。」


霧宮さんは京田さんのお腹に肘打ちをくらわせた。


京田さんは身動きが取れなくなった。


その隙に風亥さんが京田さんに近づく。


風亥ノクア

「これを……ええい!」


京田

「うぐ……!」


京田さんに薬を飲ませた。そして……獣の姿から元に戻った。


京田

「いてて……。」


真瀬志奈

「京田さん大丈夫ですか?」


京田

「えっ、ああ……はい。大丈夫ですよ。しかし、相変わらず2人はコンビネーションは抜群だね。」


風亥ノクア

「まあね。腐れ縁ってところかな。」


霧宮ナツハ

「そうね。まあ……そんな感じね。」


京田

「はは、まあいいか。」


風亥ノクア

「京田さん。まずは病院に行って、みんなのところに行くんだ。」


京田

「……はい。」


京田さんは病院へと運ばれて行き、私たちはひと段落した。


風亥ノクア

「これで全員か……。みんなの話を聞いてみないと。」


真瀬志奈

「そうですね。それに……」


そう言った途端。


ギギ……ガガ…………。


ぐっ……頭が……!耳鳴りが……!


苦しい……!


倒れそうになったとき……


風亥ノクア

「危ない!」


倒れそうになった私を腕で支えてくれた。


風亥ノクア

「大丈夫かい……!?」


真瀬志奈

「…………はい。なんとか……。」


風亥ノクア

「疲れたんだね。今日はゆっくり休もう。みんなに話を聞くのは明日でも遅くはない。」


真瀬志奈

「風亥さん…………わかりました。お言葉に甘えさせていただきます。」


風亥ノクア

「良かった……。無理をさせすぎたね。……ごめん!」


真瀬志奈

「謝らないでください。ここまできたのは風亥さんのおかげですから。」


風亥ノクア

「…………。ありがとう。」


霧宮ナツハ

「…………。うん。きっと大丈夫ね。」


真瀬志奈

「えっ……?それって……?」


霧宮ナツハ

「ううん。なんでもない。ノクアの言う通り、休みなさい。」


真瀬志奈

「……はい。」


そう言われて今日は私は休むことにした。



……一眠りすると、早く休んだためか、まだ暗い夜で、空は真っ黒だ。


真瀬志奈

「……やな予感がする。」


その嫌な予感を払拭するため、私は再び眠りについた。

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