第3章 ノワールナイト (風亥ノクア編) 前編
秋。残った学園キングのメンバーもあと5人。無事なのかがまだ心配だ。……けれど、課題の方も完成したが、定期的に演奏をする様になった。
真瀬志奈
「順調に進んでますね。」
風亥ノクア
「そうだね。これならみんなも喜んでくれると思うよ。」
真瀬志奈
「はい……。このまま行けば……ですね。」
風亥ノクア
「うん……。……よし、ご飯でも食べに行くか。」
真瀬志奈
「良いですね!行きましょう!」
私は風亥さんの意見に賛成して、音楽室を後にした。
六郭星学園 食堂
食堂に行き、私たちはそれぞれの食べたいものを注文した。
私はチャーハンを頼み、風亥さんはカレーを頼んだ。
風亥さんはカレーを食べるととても嬉しそうに食べていた。その様子を見て私は話しかけた。
真瀬志奈
「美味しいですね。」
風亥ノクア
「うん。すごく美味しいよ。誰と食べるかによって味も変わるよね。」
真瀬志奈
「ふふ……ありがとうございます。」
風亥ノクア
「いえいえ……。」
私たちは楽しく食事をしていると……。
??
「そこ!何をしているの!」
真瀬志奈
「えっ……?私たち……?」
その声は私たちに向かって発した言葉だった。
風亥ノクア
「やばい……三蜂に見つかったか。」
真瀬志奈
「三蜂って……三蜂レンカのことですか?!」
三蜂レンカ(みつはち れんか)。風紀委員であり、恋愛に対して異質な悪意を感じている。
三蜂レンカ
「あなたたち……恋愛してないでしょうね?」
風亥ノクア
「………………。」
真瀬志奈
「………………。」
三蜂レンカ
「言わないってことは恋愛しているってことね!あなたたちは……!」
??
「やめろ。」
真瀬志奈
「あ、あなたは……!」
そこにいたのはAクラスの浦川アイク(うらかわ あいく)さんだった。
三蜂レンカ
「何するのよ!!私はただ恋愛に対して……!」
浦川アイク
「恋愛は校則で禁止なんてされていない。あまり僕を怒らせないでくれ。」
三蜂レンカ
「…………覚えておきなさいよ。」
そう言うと三蜂レンカは食堂から出て行った。
真瀬志奈
「あの、ありがとうございます!」
浦川アイク
「構わないよ。…………まぁ、頑張ってね。」
浦川さんもそのまま食堂から離れた。
真瀬志奈
「なんとかなりましたね。」
私はひとまず落ち着いた。
風亥ノクア
「そうだね……ご飯も食べたし……寮に戻ろうか。」
真瀬志奈
「そうですね。戻りましょうか。」
六郭星学園 廊下
誰もいない廊下を2人で歩く。誰もいない廊下はこんなにも不気味なのだろう。
その廊下から走ってくる足音が聞こえる。
風亥ノクア
「あれは……?千葛ちゃん?」
千葛さん……?学園キングのメンバーで最年少女性メンバーの?
千葛
「見つけました!風亥さん!」
千葛さんは獣姿になっておらず、そのままの姿だった。
真瀬志奈
「これは……無事ってことなんでしょうか?」
風亥ノクア
「わからない……ただ……これまでの皆さんとは違って獣姿になってないことだね。」
千葛
「そんなことより……!萬さんが……!萬さんが!」
風亥ノクア
「萬ちゃんもいるのかい!?」
千葛
「萬さん……あのとき、私を庇って……。」
??
「ぐおおおおおお!!」
真瀬志奈
「この唸り声……!?」
姿を現したのは完全な獣の姿になっていた萬さんだった。
萬
「ぐぅ……ああ……。」
真瀬志奈
「萬さん!」
風亥ノクア
「萬ちゃん!」
千葛
「私が、チーフプロデューサーに襲われそうになったとき、半分獣の姿になっていた萬さんが、私を庇ってくれて……。」
真瀬志奈
「つまり、他の人よりも強めの呪いが……?」
風亥ノクア
「まずい……とりあえず逃げるぞ……!」
私たちは千葛さんを安全なところに連れながら逃げることにした。
六郭星学園 屋上
屋上に来たものの逃げ口がないところに来てしまった。
真瀬志奈
「ここは……危険です。今すぐ戻りましょう!」
風亥ノクア
「そうだね。ここは危険……しまった……!彼女が来た!」
萬
「ぐおおおお!」
他の人よりも強い洗脳をされているのか、言葉も通じない。
真瀬志奈
「ぐっ……。まずい……どうすれば……!」
萬
「ぐわぁ!!」
萬さんが襲いかかってくる……そう思ったとき。
??
「ええい!!」
萬
「ぐあああ!」
真瀬志奈
「浅越さん!?」
浅越ハルト
「今だ!彼女に薬を!!」
風亥ノクア
「あ、ああ!志奈さん!」
真瀬志奈
「はい!」
私は薬を飲ませた。
萬
「うう……ぐあああ。」
1錠飲ませたが、半分獣の姿に戻っただけだった。
私はもう1錠飲ませた。そうすると……無事に元の姿に戻った。
萬
「はぁ……はぁ……。」
風亥ノクア
「萬ちゃん!大丈夫かい?」
萬
「はい……なんとか……。私……私……。」
萬さんは気が動転しているのか、喋りに弊害が生じている。
風亥ノクア
「今は何も言わなくていい。ひとまずはみんなのところへ行くんだ。」
萬
「は……はい……。」
風亥ノクア
「千葛ちゃんも萬ちゃんと一緒に病院に行くんだ。みんなも待っている。」
千葛
「……わかりました。」
真瀬志奈
「風亥さん。浅越さんも……。」
風亥ノクア
「ハルト……お前……。」
浅越ハルト
「へへ……助けるんだろ?仲間を……。あの時はすまなかった。なんでも協力するよ。……痛てて……。」
風亥ノクア
「怪我をしているじゃないか!ハルト。お前も病院に行くんだ!」
浅越ハルト
「はいはい……。……すまないけど後のことは頼むぞ。」
風亥ノクア
「ああ……。」
3人はみんながいる病院へと搬送された。
真瀬志奈
「あとは3人……ですか。」
風亥ノクア
「そうだね……けど……無事では無さそうだね。」
真瀬志奈
「……きっとそうですよね。」
風亥ノクア
「萬ちゃん……何か言いかけたな……。少し落ち着いたら病院に行こう。」
真瀬志奈
「わかりました。行くときは教えてください。私は一旦部屋に戻ります。」
風亥ノクア
「ああ、わかったよ。少し休んでね。」
真瀬志奈
「ありがとうございます。」
私は自分の部屋へと戻った。
六郭星学園寮 志奈・ナツハの部屋
真瀬志奈
「ふう……。」
霧宮ナツハ
「ああお帰りなさい。……その様子だと今日も色々とあったみたいね。」
真瀬志奈
「ああ……はい……。」
霧宮ナツハ
「…………?何か迷っているわね?」
真瀬志奈
「えっ……。……まぁ……。」
正直なところ、作曲が進んでいないことに対して不安が募っている。
学園キングのメンバーを助けるのも大事だが、学生の本業をほったらかしにするわけにもいかない。
真瀬志奈
「私……どうしたらいいのか……。」
霧宮ナツハ
「…………ノクアを信じなさい。ノクアは……やり遂げることは必ず成し遂げる人よ。……面と向かっては言わないけれど。」
真瀬志奈
「ナツハ……。」
半年が経ちすっかりと下の名前で呼べるような仲になった。
霧宮ナツハ
「志奈。勝負しない?」
真瀬志奈
「勝負ですか?」
霧宮ナツハ
「勝負に負けたら私の言ったことを素直に認める。勝ったら……自由にして良いわ。」
真瀬志奈
「……わかりました。やりましょう。」
霧宮ナツハ
「決まりね。勝負はサイコロよ。多い目を出した方が勝ち。」
真瀬志奈
「簡単ですね。…………やりましょう!」
霧宮さんとの勝負……受けて立つ……!
勝負が終わる。結果は私の勝ちだ。
霧宮ナツハ
「負けね……でも、考えはまとまったんじゃないかしら?」
真瀬志奈
「…………私は…………。信じます。風亥さんはきっと皆さんを救って、課題曲も完成させます!」
霧宮ナツハ
「決まりね。それじゃあ、頑張ってね。私もそろそろ……」
??
「動くな。」
真瀬志奈
「……!?あなたは!?」
部屋に入って来たのは億寺さんだった。学園キングのメンバーで言葉を巧みに表現する人物だ。言うまでもなく……彼も同じように操られている。
霧宮ナツハ
「億寺くん……。」
億寺
「ふふ……薬を持っている貴様を倒せば、風亥さんを……!」
真瀬志奈
「くっ……。」
億寺さんはパワーが強い。私たち2人でも……負ける可能性が高い……!
一体どうすれば……!?
 




