第2章 縹色の景色に (風亥ノクア編) 中編
六郭星学園 Cクラス教室
私たちは浅越さんと小鳥遊さんにも協力してもらえるように頼もうとしたが2人の姿が見えない。
風亥ノクア
「2人とも寮に帰ったのかな……?」
真瀬志奈
「…………?手紙が落ちてますね。」
私は手紙を拾い上げた。
手紙にはこう書いていた。
君たちの仲間を預かった。返して欲しければ校庭まで来い。
四ツ谷
四ツ谷さん……?この人も学園キングのメンバーだったはず……。と言うよりも、預かった……?
風亥ノクア
「2人は誘拐されたのか……くそ……校庭に行くしかないのか。」
真瀬志奈
「そうですね……行きましょう。」
風亥ノクア
「あ、ちょっと待って。…………。」
真瀬志奈
「…………?」
風亥さんは誰かに電話をしていた。
風亥ノクア
「お待たせ。じゃあ行こうか。」
真瀬志奈
「はい……。」
お2人を助けるためにも私たちは校庭に向かうことにした。
六郭星学園 校庭
校庭に来た私たちは辺りを見渡す。
風亥ノクア
「いた……!」
校庭の隅に四ツ谷さんらしき人がいた。
その隣には小鳥遊さんと浅越さんだけでなく、櫻井さんと美園さん、霧宮さんが縄で縛られていた。
四ツ谷
「来たな……!あとは風亥ノクア……お前も俺たちみたいになれば……!」
風亥ノクア
「四ツ谷……!みんなを返せ!」
四ツ谷
「返して欲しいか?だったら風亥ノクア!こっちへ来い!」
風亥ノクア
「……わかった。」
風亥さんは四ツ谷さんの方へと向かった。そして、四ツ谷さんの前で足を止める。
四ツ谷
「よし……。仲間は解放してやろう。」
そう言うと小鳥遊さんたちは解放された。
解放された小鳥遊さんは私に問いかける。
小鳥遊カルマ
「真瀬!あいつは一体……!?」
真瀬志奈
「あの人は……すみません。詳しいことは後です!」
美園エリカ
「え、ちょっと、真瀬さん!」
私は風亥さんの所へ向かう。四ツ谷さんを助けるためにも……。
四ツ谷
「これで……貴様もこちら側に来るんだ!!」
そう言って、四ツ谷さんは錠剤を飲ませようとする。
風亥ノクア
「ぐっ…………。」
真瀬志奈
「風亥さん!」
風亥さんは必死に飲まないように取っ組み合いをしている。
真瀬志奈
「やめてくださ……!!」
そう言おうとした瞬間。1人の男子生徒が後ろから現れた。
四ツ谷
「な……貴様は一体!?」
現れた瞬間、四ツ谷さんの動きが止まった。
真瀬志奈
「あ、あなたは……?」
風亥ノクア
「真瀬さん!今はまず、四ツ谷くんに錠剤を!」
真瀬志奈
「は、はい!」
四ツ谷
「待て!やめろ!ぐあ……うぐ……。」
四ツ谷さんの獣姿は解けて、そのまま倒れ込んだ。
風亥ノクア
「ふう……。なんとか終わったか。」
??
「危ない所だったな。風亥。」
私は疑問に思っていたことを風亥さんに聞く。
真瀬志奈
「風亥さん……この人は?」
風亥ノクア
「ああ、こいつは月川タクト(つきかわ たくと)。僕と同じ高校だったんだ。」
そう言うと月川さんは笑顔で挨拶をした。
月川タクト
「はじめまして。月川タクトって言います。」
真瀬志奈
「真瀬志奈です。よろしくお願いします。」
挨拶を終えた後、四ツ谷は目を覚ました。
四ツ谷
「…………あれ、ここは……?」
風亥ノクア
「目が覚めたか?四ツ谷くん。」
四ツ谷
「風亥さん……!?……僕は一体……?」
風亥ノクア
「今はまだ思い出さなくていい。とりあえず病院へ行くんだ。」
四ツ谷
「……はい。」
四ツ谷さんは救急車に乗り込み、救急車を見送った。
六郭星学園 Cクラス教室
救急車を見送った後、私たちはことの経緯を小鳥遊さんたちに説明をした。
小鳥遊カルマ
「そんなことがあったのか……学園キングのメンバーが失踪したニュースは知っていたけど、まさかここまで大事だったとは……。」
櫻井シオン
「で……今はそのメンバーたちを解放して行っていると。」
真瀬志奈
「はい。この錠剤があればみなさんを助けることができます。」
私が錠剤を見せた瞬間……
浅越ハルト
「………………!!」
真瀬志奈
「あ!」
浅越さんは薬を奪ってそのまま教室から出てった。
風亥ノクア
「なっ……!ハルト!?」
霧宮ナツハ
「ノクア!あの薬が無いと救えないのよね!」
風亥ノクア
「ああ……。」
月川タクト
「だとしたら追わないと!」
私たちは浅越さんを追いかける。
……が、姿を失った。
風亥ノクア
「あいつ……どこに行ったんだ……?」
??
「騒がしい……一体何の騒ぎだ。」
真瀬志奈
「ああ……遊馬先生……。」
この人は遊馬雄三先生。少しだけ厳しいと言われている先生だ。
風亥ノクア
「実は……浅越と言うクラスメイトのことで……。」
遊馬雄三
「浅越か……。彼なら図書室の方に入って行ったぞ。」
風亥ノクア
「本当ですか!?ありがとうございます!」
遊馬雄三
「ふん……何があったか知らないが、規則正しくな。」
遊馬先生はそのままどこかへ行ってしまった。
私たちはそれを見送り、図書室の方へ向かった。
六郭星学園 図書室
図書室に入る。辺りを見渡すとすぐに浅越さんを見つけた。
風亥ノクア
「居た……。ハルト!薬を返せ!」
浅越ハルト
「くっ……。」
真瀬志奈
「浅越さん……。」
小鳥遊カルマ
「浅越……!」
小鳥遊さんたちが浅越さんから薬を取り返すため詰め寄る……。
薬を取り返すと浅越さんは涙ながらに膝から崩れ落ちた。
浅越ハルト
「ああ……妹が……妹が……。」
月川タクト
「妹……?」
浅越ハルト
「風亥……悪いが協力は出来ない。他を当たってくれ。」
浅越さんはそのまま図書室から出ていった。
櫻井シオン
「ハルトくん……。何があったのかしら……?」
小鳥遊カルマ
「しかし……こんなことがあった以上、あいつを巻き込む訳にはいかないな。」
美園エリカ
「全くね。」
月川タクト
「しかし……風亥。俺も少し時間をくれないか?今回は暇だったから引き受けたものの……。」
風亥ノクア
「そうか……。わかった。他のみんなは?」
小鳥遊カルマ
「俺は構わない。何かあったら呼んでくれ。」
美園エリカ
「私も。面白そう……左腕が疼くわ。」
櫻井シオン
「困ったら呼んで。力になるわ。」
風亥ノクア
「そうか……ナツハは?」
霧宮ナツハ
「……考えとくわ。」
風亥ノクア
「みんな……ありがとう。」
皆さんが協力をしてくれる。私はそれにホッとして、その日は解散となった。
数日後……
六郭星学園 Cクラス教室
授業が終わり、休み時間になる。あの日以来、浅越さんは私たちに近づくことはなかった。
小鳥遊カルマ
「…………。」
風亥ノクア
「…………。」
真瀬志奈
「浅越さん……。」
小鳥遊カルマ
「…………あいつにも色々とあるんだろう。今は距離を置こう。」
真瀬志奈
「……はい。」
そう言うと私は教室を離れ、中庭に行くことにした。
六郭星学園 中庭
中庭に着く。外の風は気持ちいい……。
真瀬志奈
「良い気持ち……。」
私は外の景色を見つめながら、考え込む。
学園キングのメンバーは全員無事なのだろうか……。
風亥さんとの作曲は順調に行っているのだろうか……。
六郭星学園から見える街の景色を見つめていると、
首をロープで縛られる。
真瀬志奈
「な……何!?」
??
「動くな。動いたら命は無いぞ。」
真瀬志奈
「そ……その声は八田さん……!?」
八田さんも学園キングのメンバーだ。見えないが、やはり八田さんも獣の姿にされているのだろう……。八田さんが握っているロープが私の首をきつく締める……。
八田
「さぁ……苦しいだろう!そのまま……堕ちろ!!」
苦しい……助けて……誰か……
風亥ノクア
「離れろ!!」
八田
「ぐああ!!」
真瀬志奈
「か……風亥さん……。」
私は首をおさえながら、風亥さんの名前を発した。
八田
「ぐっ…………くそ!離せ!」
風亥さんの近くには小鳥遊さんもいた。
小鳥遊カルマ
「真瀬。薬をよこせ。」
真瀬志奈
「は、はい!」
私は小鳥遊さんに薬を渡す。八田さんはその薬を飲み込む。
八田
「ぐっ……。」
他のみなさんの様に半分獣の姿が解けていった。
八田
「ここは……?……って風亥さん?」
風亥ノクア
「八田くん。大丈夫かい?」
八田
「え、えっと……はい。大丈夫だと思います。」
風亥ノクア
「そうか……なら良い……。真瀬さんは大丈夫かい?」
真瀬志奈
「はい……大丈夫です。」
小鳥遊カルマ
「……ったく。心配かけさせて……。」
風亥ノクア
「そう言うな。俺たちにも悪いところはある。さ、八田くんも病院へ行こう。」
八田
「は……はい。」
その後、八田さんも病院に行き、その日は寮へと帰ることにした。




