第1章 黒い制服 (風亥ノクア編) 中編
六郭星学園 音楽室
私たちは音楽室にやってきた。音楽室はかなりの広さで、色々な楽器が置かれていた。
風亥ノクア
「それじゃあ……これを。」
風亥さんからトランペットを渡された。
真瀬志奈
「これを吹けってことですね。わかりました。」
私はトランペットを軽々と吹いてみせる……。
風亥ノクア
「おお……これはすごい。これなら文句なしだ。」
真瀬志奈
「ふふ……ありがとうございます。」
私がお礼を言うと後ろから声が聞こえた。
??
「ふーん。あなたがノクアのペア?」
真瀬志奈
「えっ……?」
風亥ノクア
「ナツハ……!」
そこにいたのは霧宮ナツハ(きりみや なつは)さんだった。モデルをやっていて私も知っているほど有名だ。
霧宮ナツハ
「トランペット。やるじゃない。」
真瀬志奈
「あ、ありがとうございます。」
風亥ノクア
「何をしたいかわからないけれど、邪魔をしないでくれ!」
霧宮ナツハ
「わかってるわよ。ま、頑張ってね。」
霧宮さんはそのまま音楽室を離れて行った。
風亥ノクア
「なんだったんだ一体……。まぁいい……。今日はありがとう。明日からだね。寮生活。」
真瀬志奈
「そうですね。こちらこそありがとうございました。課題は作曲という方向で行きますか?」
風亥ノクア
「そうしよう。真瀬さんに負担がかかるかもしれないけれど、俺も頑張るから。」
真瀬志奈
「わかりました。では……今日はこれで……。」
風亥ノクア
「ああ、ありがとう。じゃあ、またね。」
課題は作曲という方向で解散となった。
翌日……
六郭星学園寮
真瀬志奈
「ここが私の部屋ね……。」
今日から寮の暮らしが始まる。
部屋は2人1組の構成になっている。私の部屋のパートナーはどんな人なのだろうか。
そんな期待を込めて扉を開ける。
真瀬志奈
「失礼します……。」
??
「あら。あなたは……。」
部屋にいたのは霧宮さんだった。
真瀬志奈
「霧宮さん……!?」
霧宮ナツハ
「どうやら……私たちルームメイトのようね。よろしく。」
真瀬志奈
「は、はい。よろしくお願いします。」
霧宮ナツハ
「そんなに固くならないでよ。ルームメイトなんだから。」
真瀬志奈
「あ、は……うん。」
有名人にタメ口を使う日が来るなんて……。
霧宮ナツハ
「ふふふ……。まあ、とりあえずテレビでもつけましょう。」
霧宮さんはそう言うとテレビをつけた。
テレビをつけるとニュースが流れていた。
キャスター
「本日のニュースです。今朝方から学園キングの出演者でもあります、学園キングのメンバー11名が行方不明になったとの情報が流れております。」
学園キングのメンバーが行方不明に?
キャスター
「なお、学園キングのメンバーの風亥ノクアさんのみが消息がわかっており、現在も異変は無いと、六郭星学園の職員は証言しております。」
真瀬志奈
「行方不明に……?」
霧宮ナツハ
「不思議ね……。」
真瀬志奈
「私、風亥さんのところに行ってきます。」
霧宮ナツハ
「え、あ、ちょっと……。」
私は風亥さんのところへ向かった。
六郭星学園寮 ノクアの部屋
真瀬志奈
「ここね……。」
私は風亥さんの部屋のドアをノックする。
??
「はい……って姉さん?!」
真瀬志奈
「莉緒!?どうしてここに?」
話を聞くと風亥さんと莉緒はルームメイトらしい。
真瀬莉緒
「風亥さんならいるよ。結構深刻な様子だけど……。」
真瀬志奈
「やっぱり……。入って良いかしら?」
真瀬莉緒
「うん。良いよ。」
許可をもらい部屋に入ると風亥さんが椅子に座り悩み込んでいた。
真瀬志奈
「風亥さん……。」
風亥ノクア
「ああ……真瀬さん。志奈さんの方が良いのかな?」
真瀬志奈
「やっぱりあのニュースですか……?」
風亥ノクア
「うん……実は昨日が学園キングの収録だったんだけど、僕だけ欠席だったんだ。それで僕だけ無事なのかもしれない……。」
真瀬志奈
「そうだったんですね……。」
風亥ノクア
「……学園キングの制服見てみるかい?」
真瀬志奈
「え、制服ですか?」
風亥ノクア
「うん。みんな衣装は自己管理なんだ。」
風亥さんはクローゼットを開けて制服を着た。
風亥ノクア
「はい。これが学園キングの制服。」
真瀬志奈
「わあ……これが……。」
目の前にはいつもテレビで見る黒い衣装の風亥ノクアさんがいた。テレビで見る風亥さんはいつも真剣に挑んでいるが、目の前の風亥さんはとても穏やかな様子と焦りの様子が見れた。
風亥ノクア
「どうかな?」
真瀬志奈
「素敵です!とても良いと思います。」
風亥ノクア
「ありがとう。」
風亥ノクア
「…………。」
風亥さんは黙り込んでしまい、そのまま制服をクローゼットにしまった。
真瀬志奈
「他のみなさんは大丈夫でしょうか……?」
風亥ノクア
「わからない……。けれど無事を祈るしかないよ。」
真瀬志奈
「……そうですね。では私はこれで失礼します。」
風亥ノクア
「うん。おやすみ。」
真瀬志奈
「はい。」
私は部屋に戻り、霧宮さんに話をして、寝床についた。
六郭星学園寮 志奈・ナツハの部屋
起きると霧宮さんの姿はなかったが、部屋のドアの前に手紙と数錠の錠剤が落ちていた。
真瀬志奈
「手紙……?」
手紙の中身はこう書いていた。
気をつけろ――学園キングのメンバーは洗脳され、姿も少し変えられている。それを解くにはこの薬を使え――
この手紙は一体……?
真瀬志奈
「宛先も書いていないし……これは一体……?」
するとどこかから爆発音が聞こえる。
真瀬志奈
「……何!?」
部屋を出ると校庭に1人の男性がいた。
私は慌てて校庭へと向かう。
六郭星学園 校庭
真瀬志奈
「これは……!?」
校庭へ向かうとそこには学園キングのメンバー。
十森さんがいた。姿は半分獣の様な姿になって。
十森
「くくく……!良いねぇ!破壊!破壊!」
十森さんは校庭を色々と破壊し続ける。止めなければ……!
真瀬志奈
「やめてください!」
十森
「………………!」
十森さんは私に気づくと私の首を掴んだ。
真瀬志奈
「くっ…………苦しい……。」
十森
「邪魔をするな。俺のことを!」
いつもテレビで見るニコニコした十森さんとは違い、憎しみがとても強く感じられた。
そして……意識が遠のいていく……
そう思ったとき。
風亥ノクア
「やめてください!!」
真瀬志奈
「風亥……さん……!!」
私は首を痛めながらも風亥さんと声にすることができた。
風亥さんは私の様子を見て安心すると十森さんに止めにかかった。
しばらく見ていると、私は部屋にあった錠剤を思い出した。
真瀬志奈
「風亥さん!これを十森さんに飲ませて!!」
私は1錠の錠剤を風亥さんへ投げた。
風亥さんは無事にキャッチした。
風亥ノクア
「これは……!…………ええい!」
十森
「なっ……うぐっ……。」
十森さんはその薬を飲みこむと元の姿へと戻っていった。
十森
「ん……あれ……?俺は一体……?」
風亥ノクア
「十森さん!」
どうやら十森さんは正気に戻ったみたいだ。
風亥さんは十森さんにこれまでのことを話した。
十森
「そうか……俺……やらかしたんだな。」
風亥ノクア
「十森さん……気にするのは後だ。まずは病院に行こう。」
十森
「ああ……。」
十森さんはそのまま救急車で運ばれた。
真瀬志奈
「風亥さん……。」
風亥ノクア
「志奈さん。その薬はどこでどう手に入れたの?」
真瀬志奈
「これは……。」
風亥ノクア
「………………ふぅ。まあいいか。おかげで十森さんも無事だし。」
風亥さんは何かを察したのか、聞くのをやめた。
真瀬志奈
「あの……もしかすると他のみなさんも……?」
風亥ノクア
「そうだね……もしかするとそうかもしれない。」
真瀬志奈
「そんな……!?」
風亥ノクア
「一旦部屋に戻ろう。僕の部屋で少しだけ休むと良いよ。」
真瀬志奈
「わかりました。そうします。」
私たちは風亥さんの部屋へと向かうことにした。




